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『徒花』の世界  作者: ホレッサ
フォレスタルの章・前編
2/6

第一次遭遇


ぺら…ぺら…


今日も無事あのやろー(主人公)に話しかけられる事なく放課後になりました。


今、教室には僕1人しかおらず、静かな教室に紙を捲る音だけが響いています。


帰宅部である僕は、別にここに残っている必要はないんですが…


今。本がいいところなんです。犯人がそろそろ分かりそうなんです。ここで止めてはもやもやが残ってしまいます!


読書はいいものです。本やゲームは現実の嫌な事(主人公とか寿命とか)を忘れさせてくれますからね…


おお!この人がはんに…


ガララッ!


…?おや?誰か入ってきましたね…部活が終わる時間にはまだ早…


そんな疑問を抱きながら音のした方を見ます。

…逆光になって見づらいです…けど…あの顔は…


…あのやろーですね。なんでここにいるんでしょうか?忘れ物でしょうか…まぁ何にせよ、僕には関係ありませんね…読書に戻りましょう。遂に動機が明かされる…!


「なぁ、フォレスタルさん。何読んでるんだ?」

「えっ…別に…なんて事のない推理物ですよ。」


…なんで話しかけてくるんですか!さっさと帰って下さいよ!


「へぇ〜。推理は苦手だけど…面白いか?」

「えぇ。普通に…あの、何の用ですか?」


僕が質問を投げかけると、このやろーはキョトンとした顔をしました。そういえばこいつの名前はなんなんでしょうか?


「いや、ちょっと話してみたかったからさ…迷惑だったか?」

「迷惑ではありません。しかし、僕は生憎雑談など諸々が苦手でしてね。できれば用事のない会話は避けたいんです。」


…こいつの名前はユウタというらしいです。やっぱりカタカナなんですね…この世界の名前はみんなそうなのでしょうか?


「…そうか。それは悪かったな。」

「すぐ謝れるのは素晴らしいと思いますよ。評価できるのはそこだけですが。」

「…な…なんか怒ってるのか…?」


…こいつは何を言っているんでしょうか?別に怒ってる訳ではないのですが…このユウタは冷たくされるのに慣れてないんでしょうかね?


…あれだけ女の子に囲まれてればいつも誰かが慰めるでしょうしね。そういえばまだユウタの周りに居る女の子達を調査するの忘れてましたね…まぁ、それはまた今度にしましょう。


今はこのアホをどうにかしなくては。


「推理小説を読んでいて、あと少しで犯人が分かるというクライマックスのシーンで、いきなり声をかけられ現実に戻されて、不機嫌にならない人はどれくらいいると思いますか?」


「…少ない…かもな…」


「よく分かってるじゃないですか。…それでは、僕は帰りますので。」


「あ…あぁ…」


本を閉じて教室を出る。


…やれやれ。教室で本を読んだのが間違いでした。ユウタとやらに話しかけられてしまいました。


…さて、家に帰るとしましょうか。あのやろーは教室に居る筈ですので…何も気にせず帰れそうですね。ありがたい事です。


…おっと。そういえば夕飯の買い物を頼まれていたんでした。危うく忘れてしまうところでした。






スーパーに入って真っ直ぐ進むと、野菜売り場があります。


今日の買い物メモは…


『人参・ジャガイモ・玉ねぎ』


…ふむふむ。予想するに今日の夕飯はカレーか肉じゃがですね。僕はどっちも好きです。

今日の夕飯は楽しみですね。


…あぁ、なんという平和…買い物を頼まれその中身から夕飯を予想しワクワクする…死が近いとはとても思えません…


しかし、僕達の死は確定なのでしょうか?僕という転生者が居るという事は運命を変えられる可能性もある。という事なのではないでしょうか?


…そうなら嬉しいのですがね…いつ死ぬかが分からない以上どうしようも…まぁ、僕に死が近づけば分かるかもしれませんね。


…おっとぉ!考え事をしていたらレジを通さずに外に出てしまう所でした。万引き、ダメ。絶対!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


るるるん♪るるん♪るんるるん♪


…ダメですね。歌を脳内で流してみても気分は晴れません。まぁいいです。今の僕の使命はこの夕飯の材料を無事に家に届ける事…


それに今はまだ春です。この世界がゲームである事を考えると序盤みたいなものです。流石にここで死ぬという事はないでしょう。


…さて、明日はヒロインの1〜2人に接触…まではいかなくとも、接近くらいはしておきましょうか。もしかしたら何か分かるかもしれませんし…


しかし、ヒロインの近くには大体あのやろーが居ます…気づかれないようにしなくては…


ゴン!


「痛いっ!?」


…どうやら電柱にぶつかったようです。考え事をしてると周りが見えなくなる僕の悪い癖…直さないといけませんね…


さて、そろそろ僕の家です。ご飯楽しみですね…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「できたわよー」

「はーい。」


…ん。この部屋を出た途端分かるスパイシーな香りは…


これはきっとカレーです!


急ぎ足で階段を降り、リビングのドアを開ける。


「…カレーですね!頂きます!」

「フォレスタル、カレー好きよねぇ…ブレザー汚れちゃうから脱いで食べなさい?」

「…もぐもぐもぐ。」

「…分かった。汚さないようにね。」


…カレーって美味しいですよね。まぁもちろん他にも好きなものはたくさんありますが。


因みに僕はカレーに生卵をかけます。マイルドになって美味しいですよ。出来れば黄身だけをかけたいんですけど…ちょっと難しいですからね。白身ごとでも充分美味しいです。


…牛丼屋で出てくるあの、卵の黄身と白身を分けるヤツ…あれ、欲しいですねぇ…何処かに売ってるんでしょうか…


「…おかわりです。」

「あんまり食べ過ぎないようにねー」


食べ終わったら…お風呂入って布団に入って寝てしまいましょう。


…明日は…誰に接近しましょうか?

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