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酒場での危機

今回いつもよりは長めです



梨華と冒険者たちはある一軒の酒場に集まっていた

その酒場は安くてうまいことで有名で、

冒険者ギルドにも近く

普段冒険者たちのたまりばとなっている

酒場では普段よりも

もっと多くの冒険者たちが集まっていて

店は冒険者たちの貸し切り状態となっていた

その中でもリーダー格の男、

ウィルクが乾杯の音頭をとりみんなで乾杯する

「それでは、A、Bランクおよび魔物の討伐を祝してー・・・」

「「「かんぱーい」」」

皆でそろって酒樽を打ち付けあい乾杯をする

(ここでいう酒樽は木製で樽のような形をしていて

 取っ手がついているRPGとかみたいなコップのことを指す)

あまりにも豪快にするもので中には半分以上お酒を

地面にこぼしてしまっているものもいる。

「女神様ここのお酒は口にあわなかったか?」

ウィルクが、梨華がお酒に一切口をつけていないのを見て問いかける

「えっ、いやそうじゃないよ。」

「ならなんで?」

ウィルクは訝しげに梨華を見る

「あはは、それはね私がまだ未成年だからだよ。」

梨華はウィルクから目をそむけながら

苦笑いしつつ説明する

「ん?どういうことだ。確かに20歳までは未成年だが

 酒は18から飲んでいいんだぞ。」

この国はここしばらく平和で法律が変わり

今まで成人は16だったが、今では21歳の誕生日で成人ということになっている

なぜ平和だと成人になるのが遅くなるかというと

未成年では戦争などが起こったときに徴兵しづらいからだ

戦争などが起こったときは少しでも多くの兵が欲しかったのと

戦争で多くの孤児が出たため国はそれに対応しなければならず

予算の問題で少しでも面倒を見る孤児たちを減らそうという

言うなれば口減らしのような目的もあった

そのようなことがあって、未成年の年齢を引き下げたのだ

しかし時代が変わりその行為が問題視されるようになり

またそのような事があるのではないかという民衆が暴動を起こしかけた

ために法改正が行われた

「・・・まあ、そうなんだけど。

 もう、そこはもうちょっと察してよ。

 私はお酒が飲めないの。

少し飲んだだけでも大変なことになっちゃうから」

「おいおい、そんなにひどいのか。

すまんな、余計なこと聞いちゃって」

「いいよ、大丈夫。

けど、これはほかの人には・・・」

梨華が真剣な表情でウィルクに頼む

「ああ、分かってる。言わないよ、約束する。」

ウィルクも真剣な表情で約束する

二人がこんなにも真剣に隠そうとする理由は

この世界では

大人になってもお酒が飲めない人は

良いようには扱われない

お酒は適度に飲めば良薬だとされていて

それを飲まない人や飲みすぎる人は敬遠されるのだ

「おい、二人で一体何話してんだよ。」

突然ほろ酔い気分なおっさんが二人に声をかけてくる

「いや、何でもないよ。」

「そうだ、何でもない。」

梨華とウィルクが瞬時にそう答える

「いいや、俺は聞いてたぜ。ヒック。あんた、酒が飲めないんだってな。」

ざわり

回りにいた冒険者たちが騒ぎ出す

「どういうことだ。女神様が酒を飲めねえってのは本当なのか。」

そのうちの一人がそのおっさんに問いただす

「ああ、本当だとも。俺はこの耳でちゃんと聞いたんだ」

おっさんは自分の耳を指差しながらそう答える

「本当なのか、女神様。」

冒険者の男が半信半疑で尋ねる

「・・・本当だよ。私はお酒を飲めない。

 ていうか、飲んだらすぐに

 べろんべろんに酔っちゃって

 その間の記憶がなくなっちゃうんだ。」

梨華は真実を述べそのあとに起こるであろう嘲笑の嵐をうつむきながらじっと待った

しかし、次に聞こえたのは予想外の言葉だった

「おい、まじかよ。そんなことってあるんだな。」

「ああ、ホントにな。・・・大変だっただろう。」

「おい、大丈夫だぞ。この中にはそんなことで

 お前を罵ったり笑ったりする奴はいないからな。」

「そうだそうだ。第一酒なんか飲めなくても何も困らないじゃないか。」

「ああ、飲んだくれよりは全然ましだ。」

「違いねえ。」

「おい、こいつを見てやってくれ。こいつも下戸なんだ。」

「こいつもだ。」

「俺も飲めねえ。」

「なっ、だから大丈夫だ。」

「・・・」

梨華は自分の周りにこんなにも

たくさん理解者がいたこと

同じ下戸がいたことに驚き何も言えないでいる

「ここはな、店主が下戸を理解している奴なんだ。

 だから、下戸の客が来たらこっそり

 ジュースやノンアルコールを出してくれる

 だから、この店に来る客はほとんど下戸か

 それに理解ある奴ばかりなんだ。」

ウィルクはそう梨華に説明する

「ウィルク・・・そうならそうと言ってくれれば良かったのに。」

「いやあ、後で落ち着いてゆっくり話そうと思ったんだが・・・」

「まあ、話してくれたし、素敵な店も発見できたからいいけど」

「ところで、この店の事は他言無用で頼む。

 下戸否定派の連中に狙われたら大変だから」

「ええ、分かってるわ。」

「それじゃあ、ジュースと取替えさせていただきますね。」

「え、ああ。ありがとうございます。」

「いえいえ、何ジュースがよろしいですか」

「えっと、それじゃあオレンジジュースでお願いできますか」

「はい、承りました」

    ・

    ・

    ・

数十秒後、オレンジジュースをお盆にのせた酒場のおじさんがやってくる

「おお、すごい。カクテルみたい。」

梨華はその見た目に驚いて思わず大声を上げる

そこには、カクテル用のコップに入ったオレンジジュースがあった

まるでそれは本物のアルコールが入ったカクテルのようになっていて

一度見ただけでは絶対に分からないだろうというくらいだった

「飲んでみてください。」

ゴクゴクゴク

梨華はうなずきそれを一気に飲み干す

「・・・すごいっ。まじでオレンジジュースだ。」

「それは、私が長年をかけて作ったものだよ。

 これを求めて国中の下戸たちが集まってくる」

「そんなに、すごいお店だったなんて知らなかった

 もっと、お話聞かせてください。」

梨華はすっかり、この店のファンになったようで

冒険者たちそっちのけで、しばらく店主と話し込んでいる

     ・

     ・

     ・

その様子をしばらく見た後足早にその酒場を去ろうとするものがいる

その者は周りに人がいないか確認してから魔道具を取り出す

その魔道具は丸い石版のような形をしていて

それと対になるもう一つの魔道具を使うことによって

その相手と話ができるという優れものだ

しかし、とても庶民が手を出せないようなとんでもない

金額であるためまったく普及はしていない

持っているのは王族と三賢者、大賢者、貴族の一部のみである

貴族の一部といってもごくごくわずかな上級貴族の中でも

一番家柄やお金コネを持っている人物に限られる

そんなものを堂々と街中で使っている人物など怪しくてしょうがない

いつもの梨華であれば決して見逃すことのないことだが

色々な事が一気にありすぎて気づかなかった梨華は

まんまとその人物を目の前で取り逃がしてしまったのだ

それが、後に自分や冒険者たち、国王たちまでもを

巻き込むことになるとはその時は夢にも思わない梨華であった










伏線、伏線(^-^)

お酒のことに関しては飲んだこともないし

カクテルなんかは見たこともないので

変なところが有っても勘弁してください

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