公爵邸にて
更新、大変遅くなって申し訳ありません。
屋敷の中に入ると、そこには外から見た屋敷の外見に違わず豪奢かつ優美な内装が施された空間が広がっていて、大勢の使用人が主人を待ち受けていた。
そのうちの一人、主人には劣るものの、どれも上質な燕尾服やメイド服を着た使用人の中でも一際上質な燕尾服を身に纏った執事長が、「おかえりなさいませ、旦那様。」と出迎えの挨拶をし、下げていた頭を上げると同時に目を見開き、動揺した様子で「お嬢様!?」と叫び声の様な驚きの声を上げた。
「これは琉花ではない。琉花の妹だ。」
公爵は、動揺する執事長に、自分も先程はこの執事長と同じ様な反応をしたというのにもかかわらず、冷静で素っ気ない声音で告げた。
「は、初耳です。」
「当たり前だろう。
言っていないのだから。」
執事長が未だ興奮冷めやらぬ様子でつぶやく様に言うと、
公爵は、またも冷淡な声音で答える。
「そうでございますよね。
ですから私、お嬢様が生き返ったのかと思いました。
・・・しかし、旦那様に隠し子ですか。
これは奥様がどうおっしゃるか・・・・・」
ようやく少し落ち着いてきた執事長がそう懸念を示した途端、階段の上の方から金切り声のような怒鳴り声が聞こえてきた。
「・・・いったい何を騒いでいるのっ!!!
もうっ!あの娘が死んでから苛立つことばかり!
そもそもあの娘がいなかったらこんな事にはならなかったのよっ!」
その怒鳴り声の声の主を見ると、化粧を厚塗りした顔を醜く歪めて怒り狂う公爵と同じくらいの年齢の女だった。その女は、怒鳴り終わってその騒ぎの元の人物達を見ると、まず公爵に向かって皮肉げに唇を歪めて言った。
「あら、お帰りなさいませ旦那様。
出来たらもう少し静かにして欲しいのだけど。」
「丁度いい。
お前ももう、そのような事で苛立たなくてよくなるぞ。」
公爵は、女の言う事には耳を貸す事なく、そう言い放った。
当然、何の事だと疑問を抱いた女に、くいっと指をさし梨華の事を指し示した。
「な、なによコレッ!
亡霊でも出たというのっ!?
私の前に現れるなんてどういつつもり?
まさか、仕返しでもしようって言うんじゃないでしょうね!」
女は、梨華の顔を見た途端、目に見えて取り乱し、
梨華にとっては訳の分からない事を言う。
「落ち着け。みっともなく取り乱すな。
コレは、琉花ではない。
琉花の妹だ。・・・双子のな。」
公爵は、執事長だけでなくその女にも冷淡で、
・・・いやそれ以上に僅かに
嫌悪感を抱いているような様子で告げる。
「はあっ!?あなた、あの娘だけじゃ飽き足らずもう一人作ってたってわけ!?」
女の方も公爵には嫌悪感を抱いている様で、
怒り狂い、口調は乱れに乱れている。
「仕方がないだろう。できてしまったのだ。私だってコレの事は今まで必要としていなかった。娘は一人いれば充分だったのだ。だが、今はコレの存在が素晴らしいとしか言い様がないだろう?コレが琉花の変わりになれば、我々は争いに勝ち、琉斗を無事王位につける事が出来るのだからな。そうすれば、お前ももう影で笑われる事はない。だからそう苛立つな。目障りだ。」
「っ!なによっ!私はあの娘の子が王位についたって嬉しくも何ともないわっ!そもそも双子だなんて気持ち悪いっ!お前たちが双子だからあの娘も死んだのよっ!そのうち、お前も死ぬでしょうね!精々惨たらしい死に方で無様に死ぬといいわ!」
女はいきり立ち、梨華にその場で思いつく限りの罵詈雑言を投げつけた。
「行くわよっ!
・・・・・ソフィー!
何をやっているの!速くしなさいっ!」
パシンッ
そして、ソフィーと呼んだ侍女に苛立ち紛れに平手打ちをすると、叩かれて呆然としている侍女を置いてさっさと先に行ってしまう。
「も、申し訳ありません!」
侍女は、そう謝りながら急いで女の後を追いかける。
私は、その様子をただ呆然と見ているしかなかった。
「・・・あの女は、未だに根に持っているのか。
王族が妾を作るのも、子を孕ませるのも当たり前だというのに」
公爵は呆れた様に、そして当然の様に言う。
実際その通りなのだとは思う。王族と言うものは国内でも国外でも普通に妾を持って、それが公に認められているのだから。
そのような制度があるから跡目争いとか・・・今回の騒動とか、色々と問題が生まれるのだと思うと辟易とする。
「…そうでございますね。
やはり、奥様のご家系には王族の血が流れておりませんから、理解して頂くのは難しいのかもしれませんね。」
執事長は、やれやれとしたり顔で言う。
「そうであろうな。
やはり、妻は王家の血筋の者を娶ればよかった。
父上は間違っておられたのだ。」
公爵もそれに同意し、妻を悪しざまに言う。
つくづく最低な奴。と思いつつ今はその気持ちをぐっと押さえ込み、このままでは埒が明かない、と公爵に指示するよう促す。
「それで、私はどうすればいいのですか?」
「まあ、そう焦るな。
とりあえず、お前に世話係をつける。
ついてこい。」
できるだけ押さえつけたが、それでもなお苛立ちの混じった声で訊ねると、公爵はそう言ってとっとと先へ歩き始めてしまう。
「待ってください。」
私は置いて行かれないように、駆け足でついて行く。
公爵はフンと鼻息を鳴らし、数秒だけ止まって待ってくれるようだ。この機を逃さぬようにと、そのまま駆け足で駆け寄るとすぐに公爵はまた歩き始める。今度こそ置いて行かれまいと赤い綺麗な絨毯を踏みしめ、私は公爵の斜め後について歩き出す。
中途半端かとは思いますが、どこで区切っていいのか分からなくなったので一旦ここで投稿します。




