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誕生日会

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

「琉斗殿下、並びに梨華・カルヴァート公爵ご入来!」

カチャッ

扉の前に立つ兵士の声によって

会場に繋がる大きな扉が開けられ

会場のまばゆい光が目に入ってくる。

と、同時に、こちらに大勢の目線が向けられる。

気にせず奥まで進み、王様の横に並ぶ。


王様の左隣が琉斗で、その横が梨華。

そして、王様と一緒に入場して、

先にいた翔斗しゅうとが右隣でその横が王妃様。


琉斗と、梨華がその位置についたのを確認すると、

「まずは、我が息子、

 第一王子である琉斗の

 誕生日を祝いに来てくれた皆に礼を言おう。」

王様は、そう口を開く。


「我が息子はこの琉斗と、第二王子の翔斗しゅうと

 共に今日と明後日で、

 節目である五歳の誕生日を迎える。

 よって、盛大に祝いたいと思う。

 皆、そのように祝ってやって欲しい。」

王様が、そう言って締めると、


「陛下、お言葉ありがとうございます。

 では、陛下のお言葉に従い、

 琉斗殿下に、順にお祝いの言葉を頂戴いたします。

 では、フィルス王国、

 クライラス大臣からお願いいたします。」

この国の大臣が後を引き取り、

黒を基調とした、上等な服を着た

フィルス王国の大臣に言う。


一番最初に祝いの言葉を述べるクライラス大臣は、

最前列に、他の大国の大使達と共に並んでいて

「承りました。」

そう言って頷くと、琉斗の元へ向かう。

そして、胸に手をあててお辞儀をすると、

「私は、フィルス王国の大使であり、

 大臣のクライラスと申します。

 このたびは、五歳の誕生日、

 真におめでとうごさいます。

 私が、我が国フィルス王国を代表して、

 お祝い申し上げます。」

そのまま、礼儀として頭を少し下げて言う。

「はい。ありがとうございます。

 これからは、第一王子として、

 誠心誠意、公務を務めさせて頂きますので、

 どうかよろしくお願いします。」

琉斗が、外行きの顔と言葉使いで

五歳の子どもの言っているとは

思えないほど完璧な返答をすると、

「ほぉぅ!」

大臣は驚愕の表情をうかべて感心した声を上げ、

周りの他の大使達も、同じ様な声を上げ、

ザワザワと少し騒がしくなる。

「なるほど。聞いてはおりましたが、

 これほどまでに聡明でおられたとは。

 噂によれば、四歳で魔法が使える様になったとか。

 いやはや。将来が楽しみですな〜。」

大臣がそう言うと、

『四歳で魔法が使える』の辺りで

周りが、さらにざわめきつく。


四歳で!

いや、そんなバカな!

ありえん。

いや、しかし。王族であるし、

後見人には凄腕の魔術師がついているらしいし、

ありえなくはないのでは・・・


等と、話し合っている大使達の言葉が、

ハーフエルフで、耳が良い梨華と、

クォーターエルフで、梨華には及ばないものの、

普通の人間よりは圧倒的に耳の良い琉斗には

とてもよく聞こえる。


そして一通り聞き終えると、

琉斗は、その大臣の言葉に返事をするべく、口を開く。

「・・・ありがとうございます。

 これは、皆さんのご推測通り

 後見人であり、僕の母の妹である

 おね、・・・叔母上のおかげです。」

琉斗は『お姉ちゃん』と言い間違えそうになりつつも、

そう言って、さりげなく梨華を紹介する。

「ほぅ・・・

 やはりそうでしたか・・・

 何でも、凄腕の魔術師とお聞き及びしておりますが、

 失礼ですが、お顔を拝見させて

 頂いてもよろしいでしょうか?」

大臣にそう聞かれた琉斗は、

「はい。いいですよね?叔母上。」

今度は『お姉ちゃん』と、間違えずに

叔母上と呼んで梨華に尋ねる。

「ええ。もちろん。」

梨華がそう言って頷くと

「では、顔を上げてください、クライラス大臣。」

琉斗は大臣にそう声をかける。

「はい。では、お言葉に甘えて。」

大臣は、そう言って顔を上げ、

「ほぅ・・・

 この方が殿下の後見人で、す・・・か?」

梨華の顔が目に入ると、言いかけていた言葉を

途中で驚きと疑問に変え、しばらくじっと見つめる。

「・・・失礼いたしました。

 あまりに、私の知っている方と似ていたもので・・・」

そして、王族を見つめる事が

無礼にあたると気づいて、ハッとして

それから、そう言って謝る。


「いえいえ。お久しぶりです。

 梨華・カルヴァートです。

 この名前では初めましてですね。」

梨華がそう言って微笑みながら名乗って、

ドレスの端を軽く持ち上げて挨拶する。

「・・・!すると、やはり梨華殿ですかな?」

クライラス大臣はさらに驚いて問う。


他の大使達にも驚きが広がり、

まさか・・・!

いや、そんな・・・馬鹿な!

梨華殿は孤児だったはずでは・・・!?

と、梨華の『知り合い』と思しき大使達が口々に囁く。


「はい。お久しぶりです。

 確か、以前に会ったのは五、六年前でしょうか?」

「あ、ああ。

 そうでした、そうでした!

 ええ。近頃全く来られなくなって

 話しも聞かなくなっていましたので、

 どうされたのかと心配していたのですよ。」

「それは・・・

 ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。」

「いえ。それはいいのですが、

 一体どうしてこの様な事に・・・?」


「ええ。私自身もおじさんに、

 家の前に捨てられていた孤児だと言われて

 育てられていたので知らなかったのですが、

 どうやら、前カルヴァート公爵の庶子だった様で。

 それで、五年前から

 甥の琉斗の後見人をする事になりまして。

 それで、陛下に公爵位を頂いたのですが・・・」


「ほうほう。・・・そうでしたか。

 この国では未だに双子の差別が根強いそうですからな。

 なるほど。

 陛下の側室であった

 姉君は認知されていた様ですが・・・それで。」

大臣は、言いにくそうではあったが、

納得した様に言うと、

「ええ。姉は認知されていたので、

 庶子という扱いだった様なのですが、

 私は、認知はされなかったので

 庶子ではなく私生児といった方が

 正しいんでしょうがね。」

梨華も、そう言って大臣が言った事を認める。

「・・・しかし、そうでしたか・・・・

 五、六年前は、男爵令嬢でしたが、

 それが、公爵とは・・・

 面白いものですね。」

「ええ。その時はおじさんが

 男爵位を持っていましたから、

 一応男爵令嬢ではありましたけど、

 まさか自分がこんな事になるなんて

 思いもしませんでしたよ。」

「ええ。そうでしょうね。

 あの時の女性冒険者の格好も中々良かったが、

 今のドレス姿の方が似あっておられる。

 あの時は、可愛らしいといった印象だったが、

 今は、とても美しくおなりになった。」

大臣は、梨華が実は今も普段はしている

動きやすい半袖に短パンの、

『女性冒険者の格好』を思い浮かべて少し笑い、

今の、淡い黄緑色のドレス姿を見て、

冗談でもお世辞でもなさそうな調子で言う。

「そ、そうですか?」

「ええ。だれもがそう思っている事でしょう。」

「そうだよ!

 お姉ちゃんはとっても綺麗なんだから!」

梨華の疑うような様子にたまらなくなった琉斗は、

そう言って信じさせようとする。


事実、長身痩躯で、目鼻立ちが整っているとされる

エルフの血が流れている梨華は、

その特徴をしっかり受け継いで、

背は女性の平均身長よりも高く、

体重も、身長から計算しても低く、

顔も一般的に整っているとされる女性の顔よりも

数段美しく整っているのだが、

本人には、あまりその自覚が無いようなのだ。

実際に何度か誘拐されかかった事があるらしい。


「りゅ、琉斗!」

が、しかし今は王太子として

相応しいか試されている最中なのだ。

「あっ!お姉ちゃんじゃなくて・・・」

だから、約束した通り、会場では

『お姉ちゃん』ではなくて、『叔母上』と

呼ばなくてはいけなかったのだが、

口が滑ってしまったようだ。

「そう。叔母上って呼んでね。」

「はい。叔母上。」

「よしよし。」

梨華はそう言っていつもの通り

琉斗の頭を撫でようとして、途中で手を止め、


そうだ。頭を撫でたりなんかしたら

やっぱり子どもだな。

なんて思われてナメられちゃう。


そう考えて手を下ろす。

「まあ、それはいいとして、

 先程、凄腕の魔術師なんて言って頂きましたが、

 どうやら、私や琉斗の魔力が多く、

 人より早く魔法を習得出来るのは

 エルフの血が流れているからのようです。」

そして、撫でようととしたのを誤魔化すためと、

琉斗を王太子選びで

少しでも有利にするために話題を変える。

「・・・!?エルフの血ですか!?

 梨華殿と殿下には、

 エルフの血が流れているのですか!?」

大臣は、びっくり仰天して叫ぶように聞く。


そして、今度は梨華の事を知らない大使達も、

梨華の『知り合い』の大使達も、

もんのすごぉ・・・っく、驚いていた。


「これも最近知った事なのですが、

 どうやら、私の母がエルフだった様で、

 私はハーフエルフ、

 琉斗はクォーターエルフ

 という事になるらしいんですけどね。」

「ほぉ・・・そうでしたか・・・

 なるほど、それで・・・」

クライラス大臣が納得した様な声を出して

「ええ・・・」

梨華もそう言って頷いていると、

「失礼ですが、

 梨華様は、クライラス大臣と

 お知り合いだったのですか?」

先程、クライラス大臣を梨華と琉斗に紹介した

この国の大臣が聞いてくる。

「ええ、ええ。

 実は、私の子どもたちがさらわれた時に

 助けて頂きましてな。」

「そんな事もありましたね〜。」

と、相槌を入れる梨華に、

「なんと!そんな事が!」

この国の大臣が驚いた様子で言う。

「ええ。それに、我が国を襲う

 A級の魔物を二体同時に倒して頂きました。」

その様子に、満足した様で、

クライラス大臣はさらに続けて言う。

「ほほぉ・・・なるほど!

 その様な事が・・・」

「ええ。大賢者にも世話になっておりますしなぁ。

 いやはや、梨華殿がいれば

 このフローリッシュ王国も安泰ですなぁ!」

クライラス大臣はそう言って、

梨華、ひいては琉斗を支持する考えを示す。

これで一人、王太子選びでの琉斗支援者が出来た。


「・・・ほぅほぅ。

 なるほど、そうですか。」

この国の大臣もそれを聞いて、

クライラス大臣が琉斗派に入ることを理解し、

納得してそう言う。

「ええ。

 では、後もつかえている様ですし、

 私はこれくらいで、挨拶を終わらせて頂きます。」

クライラス大臣が、そう言って締めると

「ええ。

 また時間のある時に

 ゆっくりお話しさせてください。」

梨華も頷き、今後の王太子選び等の

相談をしようと示唆する。

「ええ。そうさせて頂きましょう。

 それでは、失礼いたします。」

クライラス大臣はそう言って頷き、

「はい。」

梨華も頷いたのを確認して、

くるりと踵を返し、他の大使達のいる

元の場所へと戻ろうとして、

ピタッと止まり、振り返って琉斗の前まで戻り、

「殿下も、今後とも宜しくお願いいたします。」

そう言って、頭を下げ礼をする。

「はい。どうかよろしくお願いします。」

琉斗もニコリと笑って答える。

「では、今度こそ失礼いたします。」

クライラス大臣はそう言うと、

今度こそ他の大使達の居並ぶ元へと戻って行った。






次話も、誕生日会続きます。

変な切り方ですいません。

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