急展開
今回は、サブタイトル通り急展開となっております。
そして、重要回です。
ついでに今回はちょっとだけ書き方を変えてみました。
どうなんでしょうか?
喋り方とか調べながら書いたんですが
方言とか入ってるかもしれません。
誤字脱字、方言、その他おかしな所など
ご報告頂ければ修正いたします。
「・・・っはあはあはあ!
ったくもう!見失っちゃったじゃない!」
梨華は、そう言いながら、
馬車が通ったはずの道をひた走る
・・・と、言っても、実際には走っている訳ではなく
浮遊魔法で宙を飛んでいるのだが
「うーん、この道で間違いないはずなんだけどな〜。
見当たらない・・・か。」
そう辺りを見回しながら言う
「もうちょっとスピード上げるか。」
そう言って、ぴゅう、と風切り音を立てて
さらに高速で飛んで行く
そして・・・・
「居たーっ!
よかった〜。何ともなさそうね。」
そう安堵して呟いた瞬間
小さく風を切り裂く音が聞こえて・・・
・
・
・
「・・・あっ!ついたみたいですよ!
ここがポスルスウェイス辺境伯のお屋敷です。」
「えっ!もうついたの?」
アンの声を聞いて、
ポスルスウェイス領の予習をしていた琉斗が
顔を上げ、窓の外を見る
「はい!
じゃあ、支度をして降りましょうね。」
「うん!」
アンは、琉斗の元気な返事を聞くと、
櫛を取り出し、琉斗のその、
黒くて柔らかい髪を、手早くサッと整える
「はい、いいですよ。
では、おりましょうか。」
「うん!」
琉斗は、返事をして立ち上がり
脇に置いておいた、飾り剣を腰に差す
アンも、それを見て立ち上がり、
馬車の扉を開け先に降りる
「・・・王子様、お気をつけ下さい。」
アンは、先ほどまでとは異なって礼儀正しく言う
「うん、ありがとう。」
琉斗も、いつもの明るく高い声ではなく
落ち着いた声で返して馬車から降りる
「・・・兄上!
兄上は、平気でしたか?
僕は、少し酔ってしまいました。」
馬車から降りると、すぐに琉斗の弟の、
翔斗が駆けよって来る
「僕は平気だよ。
それより、翔斗は大丈夫?」
琉斗は、少し心配そうに聞く
「はい!兄上の顔を見たら楽になりました!」
「あはは、僕じゃなくて、
このポスルスウェイス領のきれいな空気のおかげだよ。」
琉斗は、弟の元気そうな声を聞いて苦笑いして言う
「・・・はっはっはっは!
嬉しいことを仰ってくれますな~!」
すると今まで黙って見ていた
ポスルスウェイス領の領主である辺境伯が
突然大声でがっはっは、と笑い出す
「・・・!あなたが辺境伯ですか?」
驚いて二人とも数瞬固まっていたが
琉斗が先に気を取り戻し尋ねる
「そうですとも!
私がポスルスウェイス辺境伯領、
領主、ポスルスウェイス辺境伯にございます。」
辺境伯は、その恰幅のいい体で
右足を引き右手を体に添えて、
左手を横へ水平に差し出す正式なお辞儀をして言う
「僕は、第一王子の琉斗です。」
それを見て、琉斗も同じく正式なお辞儀をして名乗る
「ぼ、僕は、第二王子の翔斗です!」
それを見て、翔斗も慌てて同じようにする
「はっはっは!元気そうで何よりですな。
二人とも陛下によく似ておられる。」
辺境伯は、そう目を細めて言う
「・・・辺境伯は、父上とは仲がいいと聞きました。」
琉斗は、先ほど予習した時に知った事を聞く
「ええ、ええ、そうですとも!
陛下とは、懇意にさせて頂いております。」
辺境伯は、実に嬉しそうに答える
「では、父上の幼い頃を知っていますか?」
「陛下と懇意にさせて頂く前の話しですが
何度かお見かけしたことがあります。」
「では、その頃の父上と僕は似ていますか?」
「ええ、目の色以外はそっくりですとも。」
「・・・そうですか。」
琉斗は、ホッと安堵のため息を漏らす
「それがどうかなさいましたか?」
辺境伯が怪訝そうな顔で聞いてくる
「いえ、僕は父上よりも母上に似ていると
言われることが多いので。」
「ほぅ・・・!お母上ですか・・・
確かにそう言われるのも無理はありませんね。
陛下にもそっくりですが
お母上の方がより似ておられる。」
「そんなにですか?」
「ええ、一目見れば、
お母上と陛下のお子だと分かりますよ。」
「・・・そうですか!」
それを聞いた琉斗は、明らかに顔をほころばせて言う
「・・・それでは、よろしければ屋敷へ
ご案内させて頂いてもよろしいでしょうか?」
それを見た辺境伯が聞く
「はい!申し訳ありません。
お待たせしてしまって。」
「いえいえ、構いませんよ。
殿下とお話しさせて頂いてとても楽しかったですよ。」
「ありがとうございます。」
「では、ご案内させて頂きます。
翔斗殿下もおいでください。」
「はい!」
そう翔斗が返事して二人とも歩き出そうとした瞬間・・・
ピタッと琉斗が足を止め
「・・・何か聞こえる。」
そう言ったのを聞いて、辺境伯も護衛の兵士や翔斗も
同じように耳を澄ませる
そして、真っ先に声を上げたのは
「・・・っ!敵襲だ!
殿下を守れっ!」
緊迫した様子の辺境伯だった
「王子様!馬車にお乗りください!速くっ!」
アンも緊迫した声で二人に声をかける
「っ!馬車はダメだっ!
丸焦げにされるぞっ!」
そこへ、訳も分からず呆然と眺めていた
領民達の中をかき分けながら
一人の男がこちらへ向かって叫ぶ
「っ!じゃあどうすればっ!?」
アンが悲鳴のような声を上げる
「誰か魔法を使える奴はいないのかっ!」
男も叫びながらこちらへ向かってくる
場が混乱を極めたその時
ついに敵の放った氷の矢が
目に見える位置にまで飛んできて・・・
男が琉斗と翔斗を抱えて背中でかばう
そして・・・
誰もがもうダメだ!と思い、あきらめかけた
その時、ついに現れたその者の名は!
「「・・・!『女神様!?』
『お姉ちゃん!?』」」
琉斗とその男・・・ウィルクは、
二人同時にそう叫ぶ
二人とも数瞬前に突然現れ、
「っ!プロテクトッ!」
と叫び琉斗の眼前にまで迫っていた数十本もの矢を、
その場にいる者の、誰もが知らない魔法で、
まるで分厚い壁にぶつかったかのように
撃ち落としてしまった、
その場にいるはずのない者を驚愕の眼差しで見つめる
「・・・っ!
ここは大丈夫だから速く刺客を追って!」
そして、その者・・・梨華は、
その場に呆然と立ち尽くす兵士達に指示する
「・・・えっと、大丈夫だった?
琉斗に・・・翔斗くん?」
梨華は言いづらそうにそうに尋ねる
「うん!大丈夫だった!
・・・けど、どうしてここにいるの?」
琉斗が答え、不思議そうに聞く
「ええっとね、これは、偶然というか何というか・・・」
梨華がしどろもどろに答える
「・・・偶然?」
琉斗がさらに不思議そうに尋ねる
「王子様、梨華様はまた、
心配性をこじらせたんですよ。」
そこへ、アンがピシャリと
琉斗に答えると言うよりは梨華に対して言うように言う
「あー!なるほど、そういうことか。」
琉斗は、納得と言った風に頷く
「そこで納得しないでよ〜!」
「だってホントのことですもの。
そうですよね〜。」
アンがそう、琉斗に向かって言うと
「そうだよね〜。」
琉斗も同意して
「「ふふっ、ふふふふっ!」」
二人でおかしそうに笑い出す
「むー、二人して笑わなくてもいいでしょ〜。」
梨華は、拗ねたような顔で言い
琉斗のほっぺをぐにぐにと撫でる
そんな和やかな雰囲気になっていた中
今まで呆然としていた辺境伯が声を上げる
「・・・そ、その方はどなたですか?
も、もしや、琉花様ではありませんか!?」
やっと気を取り戻した辺境伯は、混乱したように聞く
「えっ?いや、私は・・・」
梨華は、突然のことに驚いて口ごもる
「こちらは、琉花様の妹の梨華様でございます。
現カルヴァート公爵でもあります。」
そこへ、アンが助け船を出して
さらに大きな爆弾を落とす
「ちょ、ちょ、ちょっと!
それは言わないでよ~!恥ずかしい・・・!」
梨華はそれを聞いて
恥ずかしそうに顔を手で覆いながら言う
「そ、それではあなたがあの・・・!?
本当にあの方に似ておられる・・・」
辺境伯は、感慨深そうに言う
「えっと・・・初めまして。」
梨華は、戸惑いつつも挨拶する
「おお・・・
先ほどは、助けて頂きありがとうございます。」
辺境伯も今だ驚きが覚めないものの感謝の言葉を述べる
「いえ、琉斗を守るのは私の役目ですから。」
「本当にありがとうございました。
それに、あなたも。」
辺境伯は、そう言って、
今回のもう一人の功労者にも感謝を伝える
「・・・あ、ああ・・・」
そう短く答えたのは、
今まで驚きと衝撃で固まっていたウィルクだった
「って!?ウィルク!!??
何でこんなところに!?」
そこへ大声で驚きの声を上げたのは梨華だった
「め、女神様こそ!?」
ウィルクも動揺し、聞き返す
「わ、私は琉斗が心配で来ただけで・・・」
「お、俺は魔物の討伐依頼で来ただけで・・・」
そしてそれっきり二人は口ごもってしまう
「・・・はぁ・・・しょうがない人達ですね〜。
ここでは目立ちますから、
あっちで二人で話してきてください。」
そう言って、アンが指さしたのは
乗ってきた自分達の馬車だ
「言っときますけど!
なぁんにも話さないで帰ってきちゃだめですよ!」
そう言って、文字通り二人の背中を押して
馬車に押し込む
「アン〜!」
梨華がすがるような目で見てくるが
それも無視してアンはさっさと扉を閉めてしまう
そして、ふぅと小さく息を吐くと
掃除が終わった後の様に
パンパンと手を払うようにする
「お姉ちゃん達、うまくいくといいね。」
「そうですね。
でも、二人共不器用そうですからね〜。」
「そうだよね〜。」
と、二人で意気投合しているそばでは
急展開に何が何だか訳が分からない様子の
辺境伯が二人と、馬車を見比べて立っていましたとさ




