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ピクニック

前回の続きです。

「うーん。風が気持ちい。

 お天気もよくて、風も強くないし、

 今日は、絶好のピクニック日和だね。」

「うん。そうだね。

けど・・・あの人達はなんとかならなかったの?」

梨華はあたりを見まわして、苦笑した。

「うーん、あればっかりはどうしようもないよ。

 だって仮にもあなたは一国の王子なのよ。

 護衛がつくのは当たり前でしょ。」

「それはわかってるけど、あれはないでしょ。」

周りを見渡すと、そこには大勢の兵士たちがいて

私たちの周りをぐるりと囲っている。

「確かにあれは物々しいね。

 これじゃあ気になってしょうがないよ。

 それに囲まれていては景色もろくにみえない。

 これじゃあ楽しくないよね。」

「うん、せっかくお姉ちゃんとのピクニックなのに

 これじゃあ王宮にいるのと何も変わらないよ。」

「・・・よし、分かった。

 何とかならないか聞いてみるよ。」

「うん。お願い。お姉ちゃん。」

よいしょっと立ち上がり護衛長に声をかける

「あの、ちょっといいですか?

 お願いしたいことがあるのですが。」

「はい。何なりとお申し付けください。」

「護衛のことなのですが、もう少し数を減らすか、

 見えないところに配置していただけませんか。」

「それはできかねます。

 いくらあなた様のたのみでも、

 それではいざというときに

 王子さまをお守りできません。」

「それなら大丈夫ですよ。

 こんなに平和なご時世に

 王子を狙おう何て輩そうそういませんよ。」

「そういうわけにもいきません。

 万が一があってはいけないのです。」

「大丈夫です。

 何かあったときは、私が王子を守りますから。」

「あなた様にそんなことはさせられませんし

 それに、私たちの任務には

 あなた様の護衛も入っているのですよ。

 それに、失礼ですがあなた様には

 王子様を守れる力があるとは

 到底思えないのですが。」

「ふふっ。おじさんが相手じゃない限りは

 大丈夫だと思いますよ。」

そう言うと梨華は男の耳に顔を近づけささやいた。

「あまり知られたくないことなのですが、

 私は、魔術のLVは5に達しています。

 ですから、大賢者であるおじさん以外に

 遅れをとることは無いと思います。」

すると男は震えながら反論した。

「そんな馬鹿な。

 第一LV5に達しているものは、

 三賢者以外にはいなかったはず。」

「それは陛下に頼んで伏せてもらっていたから。

 知られるといろいろ困るからね。」

「でも・・・『お姉ちゃんまだお話終わらないの?』

「もう終わったから大丈夫だよ。

好きに遊んでいいって!」

「ホント?じゃあ遊具で遊ぼうよ。」

「うん。分かったすぐ行くね。」

「っつ。ちょっとまっ

『それじゃあ私たちはあっちで遊ぶので。

 その辺で見えないように護衛していてください』

「じゃあ行こう。どの遊具で遊ぶの?」

「うーんっとね。全部。」

ニコッと笑い走り出した琉斗をみて

私も笑いながら後を追いかける

「もう。まってー!走ったら転んじゃうよー。」

「だいじょうぶ、うわあっ。

 いてて、転んじゃった。」

「あーあー。もういわんこっちゃない。

 ほら、けがしたところみせて。」

「はぁい。」

「うわーっ!痛そう、これはひどい。

 多分骨が折れてるよ。」

「えっ、骨折れてるの?」

琉斗は、自分の足をそーっとさわると

「いったぁーい。痛いよーうえーん。あーん。」

と大泣きしてしまった。

それを見た兵士たちがとんでくるが、

無視して梨華はこう言った。

「嘘だよ。嘘。

 骨なんか折れてないし、ただすりむいただけ。

 あははは。傷もそんなに痛くないはずだよ。」

「ホントだ、そんなに痛くない。

うう・・・だましたなーっ!」

琉斗が半泣きで抗議してくる。

「ふふふっ。琉斗は泣き虫さんだね。

 ほら治してあげるから許して。」

「よーく見ててね、いくよ。

 痛いの痛いのとんでけ。痛いの痛いのとんでけ。」

すると瞬く間に傷が癒え痛みもなくなった。

「わぁっ。すごい、一瞬で傷が消えちゃったよ。」

「ねえ。今のどうやったの?」

「秘密って言いたいところだけど、

 琉斗が可愛いから教えてあげる。

 あのね、これは一番簡単なLV1の治癒魔法と

 LV3の無言呪文を組み合わせたものだから。

 りゅうちゃんでも頑張れば簡単に出来る魔法だよ。

 使えると便利だから覚えておくといいよ。」

梨華は簡単に言っているが

それは、並大抵のことではない。

普通の魔法使いなら20年はかかるもので、

王家の英才教育を受けても10年はかかるものだ。

「うん。分かった。

 僕、頑張って将来は

 お姉ちゃんのような魔法使いになる!」

「うん。がんばんなさい。

 お姉ちゃんも応援してるよ。」

「うん。早く魔法を覚えて、

 僕がお姉ちゃんを守るんだから!」

「ははは。たのしみだな。

私がおばあちゃんにならないうちにお願いね。」

「むぅー。お姉ちゃん僕のこと信じてないでしょ。

 いいんだ!

 絶対お姉ちゃんより強くなってみせるから

 覚悟しておいてね!」

「ふふふっ。そうだねー、待ってるよー!」

「もぉう。おねえちゃんっ。」

「ははは、はははははっ。」

そして二人は日が暮れるまで遊び王宮へと帰って行った。




六月二十三日修正しました

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