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叔母と甥

5月13日編集しました

王宮の王子の部屋でのこと

琉斗がたいそう怒りながら梨華を待っている

「・・・遅いよー、お姉ちゃん。

 まだ帰ってこないのっつ!」

「王子様・・・もうすぐ帰ってきますから。

 少し落ち着いてください。」

兵士がなだめるが琉斗は怒りをおさめない

「そんなこと言って・・・」

ガチャッ

「・・・っつ、はぁはぁはぁ

 お、遅くなったね、今帰ったよ。」

琉斗が言い返そうとする突然ドアが開き

激しく息を切らせた梨華が部屋に入ってくる

「お姉ちゃんっつ、もうっつ、遅いよ。

 遅すぎるよっ!

 何で速く帰ってきてくれなかったの?」

「・・・ごめんね、すっかり忘れてたよ。」

梨華は息を整えてから

うつむきながら遅れたことを謝る

「ひどいっ、酷いよ。ひどすぎるつ。

 僕ずっと待ってたんだよっつ。」

琉斗は泣きながら梨華の服をつかみ揺さぶる

「ごめん、ごめんね。琉斗・・・

 あのね、えっと、そう。

 冒険者たちと付き合いでお酒飲んでたのよ。

 だから抜けられなくてね。

 わ、分かってくれた?」

「・・・おねえちゃん、分からないよ。

 僕よりその人たちのほうが大切だっていうのっ!?」

「違うよっつ、違う。そうじゃないけど・・・」

「じゃあ、じゃあ何でっつ。」

「・・・ごめんね、

 お姉ちゃんにもいろいろあったんだけど、

 そんなことあなたには関係ないもんね。

 ホンットにごめん。ごめんなさい。」

梨華は、琉斗の背に合わせてかがみこんで

琉斗に抱き付き頭をなでる

「・・・おねえちゃんっつ、

 今度どこかへ行くときは

 ちゃんと速く帰ってきてね」

「琉斗っつ、許してくれるの?」

「うん、わがまま言ってゴメンね。」

琉斗はごしごしと目をこすり涙を拭う

「・・・琉斗、ありがとう。

 お姉ちゃん今度からは絶対しないからね。」

「うん、気をつけてよね。

 次やったら僕本気で怒るからね。

 嫌いになっちゃうからね。分かったー?」

琉斗は腰に手を当て胸を張り右手の人差し指を立て

ピシッと目の前に出す

「うん、分かった。

 でもね、琉斗あんなにごしごしこすっちゃだめだよ。

 目を傷つけたらどうするの?」

「はあーい。

 じゃあ、これからは気をつけるね、僕も。」

言った後に、琉斗は『あはは』っと笑う

「それじゃあ顔を洗ってこようね。

 目、真っ赤だよ。」

「うん、じゃあ洗ってこようっ。

 さあ、お姉ちゃん行こう。」

「えっ、私も行くのっつ!」

「うん、そうだよ。

 お姉ちゃん手伝ってよ。

 いいでしょー、ねえ!」

「・・・分かったよ、じゃあ行こうか。」

「わーい、やったー。

 久しぶりにお姉ちゃんに洗ってもらえる」

琉斗は飛び跳ねて大げさなくらい喜ぶ

『こうやって見るとやっぱり子供なんだな。

 いつもは大人みたいに振る舞っていて、

 私以外の人の前では弱みなんか見せずにいるけど

 考えてみればまだ五才なんだもんね。

 甘えたい年ごろだよね

 琉斗にはお母さんもいないし、

 お父さんは王様だからなかなか難しいしね。

 私がそのぶん愛してあげないと・・・』

梨華はしばらく考えてから立ち上がる

「・・・じゃあ、行こうね。」

「うんっ、行こうっつ。」

そう言うと琉斗は梨華の手を引っ張って

洗面所まで連れていく

洗面所といってもとても広く豪華な造りになっている

そこで琉斗は普段

侍女たちに手伝われて顔を洗ったりしている

「よっしゃあ、じゃあ座ってー」

梨華は洗面台の前に置いてある椅子を引き

椅子をポンポン叩き座るように促す

「うん!」

琉斗は椅子のほうに向かって歩き出し

ふかふかの椅子に座る

その椅子も洗面台も

琉斗の体に合わせて低く作られていて

まだ背の低い琉斗にも簡単に座れるようになっている

「はい、タオル。

 服が濡れないように首に巻いておきなさい。」

梨華は言いながらタオルを取り出して琉斗の前に出す

「はーい」

琉斗はすぐにタオルを受け取り自分の首に巻く

「それじゃ、顔出してー。」

「うん」

そう言って琉斗は顔を洗面台に突き出す

「じゃあ、お湯出すよ。」

キュッツ

銀でできていて美しい細工が施されている

蛇口を横にひねり水を出す

シャーッ

するとみるみるうちに

下に置いた洗面器に水が溜まっていく

「さてと、これくらいでいいかな。」

そう言いながら蛇口を再度ひねり水を止める

「よし、じゃあ温度をみようかな。」

そう言って洗面器の中にそっと手を入れる

「・・・キャッ、何これ。

 冷った、水じゃんこれ。

 あーあ、もう、やんなっちゃう。」

「もうお姉ちゃんったら何やってるの!?

 大丈夫?冷たいでしょ。」

「うん、冷たい。とっても冷たいよ。

 あはは、あは、はははははっ・・・

 はあ、まったく何でお姉ちゃんは

 こんなにそそっかしいんだろうね。」

梨華はひとしきり笑った後表情を消す

「・・・お姉ちゃん」

琉斗は梨華の様子がおかしいことに

気が付いて梨華の顔を見上げる

「・・・流しちゃうね」

梨華はしばらく黙った後、話をそらす

バシャー

洗面器をかたむけ水を流し

蛇口をひねりお湯を出す

すぐにお湯がたまり湯気があがる

「よし今度こそ・・・

 うん、温かい。これでOKっと。

 ずいぶん待たせちゃったね。

 ほら、顔を戻して。」

「・・・うん、お願い。」

お湯を両手ですくい上げる

どんどん水がこぼれていっているが

気にせず、右手で右頬を左手で左頬をなでる

「次、上のほう洗うから目を閉じて。」

「うん・・・閉じたよ。」

それを聞いて実際に確認してから

手を琉斗の瞼の上に持って行く

そして優しくおでこをなでる

「よし、とりあえずこれでいいかな。

 今、石鹸泡立てるからそのまま待っててね。」

「うん、しみないようにしっかりつむってるね。」

「そうしててー、しみると痛いからねー。」

そう言うと石鹸を泡立てるのをやめ

泡がいっぱいついた手で琉斗の顔を洗い始める

「よし、流すよー。いい?」

しばらく洗ってから琉斗に声をかける

コクリ

琉斗は泡が口に入り込まないように頷きで答える

それを確認して手でお湯をすくい

ゆっくりと顔についた泡を落としていく

「・・・もう目を開けても大丈夫だよー

 どうだった?」

「・・・とっても気持ちよかったよ、

 お姉ちゃん。」

「そっか、よかった。

 あ、そうだ。まだ顔拭いてなかったね。

 今拭いてあげるからねー」

そう言ってから新しいタオルを取り出し

琉斗の顔を丁寧に拭く

「じゃあそろそろ寝ようか。

 眠いの我慢してたでしょ、

 いつもならもうとっくに寝てる時間だもんね。」

「えへへ、うん実はとっても眠かったんだ。

 けど、顔を洗ったらなんか眠くなくなっちゃった。」

そう言うと琉斗は眠くないのをアピールするかのように

母親譲りであり梨華の瞳ともそっくりな

大きな黒色の瞳をパッチリと開ける

「そっか、どうしようかなー。

 眠れるまで絵本でも読んであげようか?」

「うんっ・・・

でも絵本じゃなくて何かお話を聞かせてほしいな。」

「・・・お話?」 

「うん、お姉ちゃんのお話ならなんでもいいよ。」

「お話・・・か。

 うん、じゃあ何か話してあげるね。」

「うん、ねえ何のお話、何のお話なの?」

琉斗は瞳をきらきら輝かせて急かす

「・・・琉斗、その前に寝室に行って

 ベットに入りましょう。

 お話はそれからよ。」

「はーい、ねえ速く行こうっ。

 それでお話を聞かせてよ。」

琉斗は返事をするとすぐに椅子から

立ち上がり梨華の服の袖を引っ張る

「うん、そうだね。行こうか。」

梨華は微笑みながら立ち上がる

そして二人は手をつなぎながら洗面所を後にする





ここまで読んでくださってありがとうございます。

どうか続きも是非お読みください。

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