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番外編  慧が×××したり***したり……

風呂から上がり、おれはいつものように寝室へ向かった。


手拭いで濡れて重くなった髪をぐしゃぐしゃにしながら、ふすまを開ける。


自然と体が緊張する。


撫子に悪夢をみさせないためとはいえ、


やはり好いている娘の近くに行くというのはどうにも落ち着かない。


視線を部屋の中に向ければ、布団が二組敷いてあった。


それのうちの一つの上に撫子がちょこんと座りこんでいる。



「……先に寝とけって言っただろ」



おれが来るまで従順に待っていてくれていたのかと思うと、どうにも照れてしまって


ぶっきらぼうな口調になってしまう。



「慧のこと、待ってたの」



可愛らしいことを言うからうっかり撫子を正面から見下ろしてしまった。


夜の薄暗さのせいか、撫子の瞳がかがり火の光を受けて妖しく輝いている。


濡れているように潤っている唇が目に入り、あわてて視線をそらす。


平静を装って、撫子の隣に敷いてある布団に腰を下ろす。


口の中が乾いてしょうがない。


緊張しているのだなと自分でもわかり、


枕元に置いてある水の入った竹筒を手に取って中身をのどに流し込む。



「……んだよ」


「慧に、私のこと見てほしいの」


「ぐっ……っ!?」



思いがけない言葉に、おれは口の中の水を吹いてしまいそうになった。


数度咳き込んでから、竹筒を床に置き、すぐさま撫子の目を見る。


色もおかしくない。


焦点もあっている。


術にかけられたわけでも、具合が悪いわけでもないようだ。



「おい、酒でも飲んだか?」


「飲んでないよ?」



……酔っているわけでもないようだ。



「何があった?」


「ただ、慧に私の全部を見てほしいなって」



おれは片手で顔を覆って低くうめいた。


神よ。


一体、撫子に何があったというのだ。


ちらりと撫子に視線を戻すと、何故か小袖の帯に手をかけようとしている所だった。



「お、おい!!


 なにしてる!!」


「だから、私の全部を……」


「おっ、おまえ!!


 理由は何でもいいから脱ぐな!!」


「……ひどい。


 慧は私の事なんかどうでもいいんだ」


「どうでもいいわけないだろうが!!」



好いた娘が今、目の前でみずから衣を脱ごうとしているのに、


どうして意識をそらすことができようか。


脱ぐのをやめさせたいが、それだと撫子に触れなければならない。


今の状態の撫子に触れたが最後、何が起こるかわからない。



「じゃあ、脱ぐ」


「脱ぐな!!」


「慧。


 私のことちゃんと見て。


 そんな風に目、そらさないで」


「そらさなかったら、おれはただの変態だろうが!!」



はらりと静かな音がした。


あわてて目を向けると撫子の帯が解けたところだった。


その拍子に撫子の小袖の衿が緩み、


華奢きゃしゃな鎖骨と真っ白な肌がのぞいて頭も真っ白になる。




「うおおおおああああああああああっっ!!!!!!??????


 それ以上脱ぐなあああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!」


































「っは!!??」



隣を見たら、撫子が小さく寝息をたてて眠っていた。







「…………………………夢かよ」


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