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犯された禁忌
とある魔術師が禁忌を犯した。その禁忌とは、全世界の理に背いたモノ。
生きとし生けものは皆死したのちは二度と生き返らない。輪廻転生を繰り返し世に存在し続けるのだ。違うモノとなって。
だがその魔術師はひとつの命を甦らせてしまった。
――己の命と引き換えに。
犯された禁忌は時空の歪を生み出した。
様々な事柄を巻き込み、やがて歪は大きく広がっていく。
世界の創造主は悩んだ。このままでは世界の均衡が崩れてしまう。この世の理を外れた『運命を変える者』が生まれてしまうかもしれない。
それを防ぐ為、創造主が軍を作った。世界の均衡を保つための軍を。
それでも歪は広がるばかり。
そしてとうとう、恐れていたことが起きてしまった。
狂い始めた運命。
時空の歪に生まれた『運命を変える者』は、まだ何も知らない。
そう、何も知らない内は幸せだったのに。
そうして悲劇の幕は上がる。
生きるべきでは無いモノが生まれた時、何かが崩れる音がした――。