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鍛冶

1万8000円のうち1500円で、ラーメンと餃子を食べる。


『なんで、すぐお金を使ってしまうんですか…?』


「…つい。」


『はあ…。まあいいです。残りのお金は、鍛冶道具を買うのに使いますよ。』


鍛冶道具?


『はい。この世界で生きるためには武器は必要ですから。』



…というわけで、携帯鍛冶セットを1万5000円で購入。


早速、自室で広げた。


カバンを開けると、鍛冶の魔道具が広がる。


『この携帯鍛冶セットは、5回鍛冶が出来ます。鍛冶というと、火や釜が必要なイメージもあると思いますが、この携帯鍛冶セットでは、セットの中で、色々やってくれます。子どものごっこあそびの要領で、簡単に鍛冶が出来てしまうんです。』


へー。

でも、1回3000円か。

どの程度の武器ができんの?


『材料があれば、普通に使うレベルの物は作れます。』


材料ないんだけど…。


『ありますよ。まだまだ、異空間収納にたくさん入っているスライムもどきの体液だって立派な材料です。』



俺は、携帯鍛冶セットの材料投入口に、スライムもどきの体液をひたすら入れていく。

その数、1万。


…これって大丈夫なの?


『大丈夫ですよ…多分。仕上げに武器の元を入れてください。あなたの中学で使っていた武器でいいですよ。』


軽い金属の棒。

皆に配られる打撃武器。

それを、スライムもどきの体液がたくさん入った投入口に入れる。


『あとは、時間が経てば武器が出来ます。』




…6時間後。

夕食の支度をしたり、洗濯をしたり、勉強したりしていたら、いつの間にか時間は過ぎていた。


『鍛冶LV1→LV34になりました。』

『武器が出来たようです。驚きました。…成功してます。』


…それって、失敗する確率もあったってこと?


『…はい。失敗しても鍛冶の経験値は得られるんで、それを狙ったんでけどね。まさか、成功するとは…。どれだけ運がいいのか…。』


出来た武器を持ってみる。

白透明な金属製の棒。


1万のスライムもどきの体液を消費して、作った武器。




夕食。

他愛ない家族の団らん。

なんというか、こんな時間は、落ち着く。

食事が終わったあと、リビングに残る妹に声をかける。


自分でもどうしてそうしたのかわからない。

有意義な選択肢は他にもあったはずだ。


「兄貴、何?」


「いや、今日、鍛冶をして上手くいったんだ。」


「そう。よかったね。」


「ああ。…完成した武器、やるよ。」


「…えー。私は、魔銀刀あるからいいよ。」


「そっか…。…まあ、そうだよな。」


ちょっと寂しさが出てしまう俺。

妹は、それを見逃さなかったようだ。


「…見せてよ。一応。」


妹に気を使われるのは何ともなさけない。

が、まあ、珍しいものではあるので、見せたい気持ちも強い。

俺は、自室から、棒を持ってくる。


妹は、棒を受け取ると、それを振ったり、叩いたり、じっと観察したりした。

そして。


「兄貴、やっぱりこれちょうだい!」


嬉しそうに、笑った。


「いいぞ。」


俺は、何か努力を認められたような気持ちがして、少し誇らしい気持ちになった。


『運任せの偶然の産物ですけどね…。』


うるさい、運もステータスのうちだ。

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