オトナ星人
成人式の日。
寝坊してしまい遅れて会場に入ると、式典参加者が皆、直立していた。斜め上を見ている。全員が全員、同じ角度で。視線の先には、銀色の巨大な球体が浮かんでた。
あまりの異様さに俺は隠れた。観察してると、球体からわらわらと何か現れた。人形くらいの大きさで、黒い出目と小さい体に対してバランスの取れてないでかい頭、無毛でグレーの肌。服なんて着てない。全裸。そいつらが無数に降りてきた。カマキリの卵が孵化する時みたいだった。奴らは同級生たちの顔面に飛びつくと、指から青い光を発して、ぱっくりと頭を割った。
そして、みんなの頭部の中に入っていったんだ。入りきると顔面はゆっくりふさがって元に戻り、何事もなかったみたいに動き出した。
俺は怖くて逃げた。
あれはエイリアンだ。大人はエイリアンに操られてる。おかしいとは思っていた。尊敬できる大人が一人もいないんだ。そんなのあり得ないだろ?
俺の使命が決定した。エイリアンの存在を暴き、世界に真実を伝えるんだ。
調査開始だ。まず成人式に参加していた同級生の橋本を誘拐した。泣いて助けを求めていたが、そんな演技には騙されない。カメラをセットしてから、橋本の頭を斧で割って中身を開いた。血が顔にかかった。
「わっ」
頭の中からエイリアンが姿を現した。俺は斧を振って応戦。だが、小さくてすばしっこい。躱されて逃げられた。
映像も見てみたけど、エイリアンは映ってない。光学迷彩のようなものをつけているのか。やはり捕まえなければ。
また誘拐してきた。同級生の木村だ。今度は完全密室のコンテナで再挑戦だ。木村の頭をたたき割ると、エイリアンが飛び出した。コンテナの中を逃げ回っていたが、出口はない。数分格闘して捕獲した。
エイリアンは手の中でもがいている。侵略者め。
「警察だ!」
突如、コンテナの扉が破られた。
殺人鬼だと勘違いした警察が俺を捕まえて連行した。あと少しだったのに。
取り調べで、刑事は俺のことを統合失調症だと言った。
「はあ? そんなわけないだろ。この目で見たんだ。この国の大人は操られているんだよ!」
「いじめが原因? 適当なことを。俺はいじめられてなんかいない。刑事を操っているお前……こんなこといつまでも続けられると思うなよ。俺がダメでも、いつかきっと誰かがお前らを倒してくれる。俺はそう信じてる。人間を舐めるなよ」




