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壁人間  作者: 大窟凱人


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9/10

オトナ星人

 成人式の日。


 寝坊してしまい遅れて会場に入ると、式典参加者が皆、直立していた。斜め上を見ている。全員が全員、同じ角度で。視線の先には、銀色の巨大な球体が浮かんでた。


 あまりの異様さに俺は隠れた。観察してると、球体からわらわらと何か現れた。人形くらいの大きさで、黒い出目と小さい体に対してバランスの取れてないでかい頭、無毛でグレーの肌。服なんて着てない。全裸。そいつらが無数に降りてきた。カマキリの卵が孵化する時みたいだった。奴らは同級生たちの顔面に飛びつくと、指から青い光を発して、ぱっくりと頭を割った。


 そして、みんなの頭部の中に入っていったんだ。入りきると顔面はゆっくりふさがって元に戻り、何事もなかったみたいに動き出した。


 俺は怖くて逃げた。



 あれはエイリアンだ。大人はエイリアンに操られてる。おかしいとは思っていた。尊敬できる大人が一人もいないんだ。そんなのあり得ないだろ?


 俺の使命が決定した。エイリアンの存在を暴き、世界に真実を伝えるんだ。



 調査開始だ。まず成人式に参加していた同級生の橋本を誘拐した。泣いて助けを求めていたが、そんな演技には騙されない。カメラをセットしてから、橋本の頭を斧で割って中身を開いた。血が顔にかかった。


「わっ」


 頭の中からエイリアンが姿を現した。俺は斧を振って応戦。だが、小さくてすばしっこい。躱されて逃げられた。


 映像も見てみたけど、エイリアンは映ってない。光学迷彩のようなものをつけているのか。やはり捕まえなければ。



 また誘拐してきた。同級生の木村だ。今度は完全密室のコンテナで再挑戦だ。木村の頭をたたき割ると、エイリアンが飛び出した。コンテナの中を逃げ回っていたが、出口はない。数分格闘して捕獲した。


 エイリアンは手の中でもがいている。侵略者め。


「警察だ!」


 突如、コンテナの扉が破られた。


 殺人鬼だと勘違いした警察が俺を捕まえて連行した。あと少しだったのに。




 取り調べで、刑事は俺のことを統合失調症だと言った。


「はあ? そんなわけないだろ。この目で見たんだ。この国の大人は操られているんだよ!」


「いじめが原因? 適当なことを。俺はいじめられてなんかいない。刑事を操っているお前……こんなこといつまでも続けられると思うなよ。俺がダメでも、いつかきっと誰かがお前らを倒してくれる。俺はそう信じてる。人間を舐めるなよ」

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