触法少年の証拠資料No.4
証拠資料 No.4:作文原稿(実物から翻刻したもの)
件名: 市立■■■小学校毒殺事件
押収元: 教室。触法少年の机の上
状態: 良好
「将来の夢」
6年2組 ■■ ■
ぼくの夢は、クラスのみんなが苦しんで死ぬことです。もちろんぼくの目の前で。
みんなはぼくをいじめました。
毎日仲間外れにして、無視して、いやなことをいって、物をかくして、からかって。
ほんとうにひどいと思います。
相手がぼくじゃなかったら。
もしふつうの子だったら、不登校になってるか自殺してるかもしれません。
でもざんねんですが、ぼくには「感情」というのがありません。
これはお父さんとお母さんに言ってないし、今日初めて言います。
みんながぼくにどんなことをしようとも、なにも感じないんです。
なのになんで、みんなが死ぬところを見たいのかというと、気になってきたからです。
自分自身が傷つけられても、何も感じないぼくですが、みんなが苦しんでるところを見たら、
もしかすると「悲しくなる」かもしれません。
じつは、今まで虫を殺しても、動物を殺しても、下級生をいじめても、何も感じませんでした。
でも、殺したら? それもすごく苦しむ方法で。罪悪感が芽生えるかもしれません。
もう少し大人になったら試すと死刑になってしまうかもしれないので、試すならいまだと思いました。
これはすごく大事なことで、ぼくが人間になれるかどうかの瀬戸際なんです。
もしだめだったら、あきらめて、そういうばけものだと思って生きていきます。
お父さんとお母さんにもバレなかったから、うまく隠しながら、楽しく生きていけると思います。
心はなくても、ドーパミンとかはでるみたいだから。
そういうわけで、ぼくの夢はもう少しで叶います。
給食のスープに毒を入れておきました。
遅効性という特徴があって、そろそろ効いてくると思います。
今日の作文発表の日を選んだのは、みんなにぼくの気持ちを分かってもらったほうが、
わけが分からないまま死ぬよりも、もっと絶望してくれると思ったからです。
叫んだり逃げようとしても無駄です。無駄というより、からだがマヒするので、できません。
毒の効きが弱い人は、ぼくが直接やります。
夢がかなう瞬間が楽しみです。ぼくは人間なのか、そうでないのか。
今日、ずっと考えていた面倒な疑問から解放されます。
■資料補足
少年はその後、息のあった生徒2名をコンパスの針で殺害。6年2組の教師1名と生徒33名は全員死亡した。
悲鳴や物音はなく、授業が終了して休み時間になってから、隣のクラスの生徒が気付いて発覚。通報。
現在、触法少年は施設に送られているものの、SNSで身元や動機が拡散され、彼の処遇について議論が活発化している。裁判はまだ始まったばかりである。
触法少年の両親は資産家であり、それを加味したうえでの犯行だと推測される。




