表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壁人間  作者: 大窟凱人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/8

心ないヒト

 精神科医なるものをやりはじめてはや十年。ほんとうに世の中には苦しんでいる人が多い。私の力が一助になればいいのだが。


 今日も笑顔で優しく、患者が安心するように心がけて職務にあたる。




 やってきた子は、クラスに上手くなじめなくて不登校になった女子高生だ。まずは話を聞いてあげたが、薬に頼るのは少し早いかもしれない。とはいえ、次の予約はずっとあとになってしまう。医者に対して患者の数が多いのだ。病んでいるねこの国は。仕方ないから薬を処方しよう。




 次の日は会社でひどいカスタマーハラスメントにあった男性がやってきた。聞くと、上司は顧客至上主義で、行き過ぎた客に迎合したらしい。ひどい。ダブルバインドを喰らうと人は普通に壊れてしまう。診断書を出すから訴訟しようね。




 仕事が終わって同業の飲み会に行ってきた。そしたら、来月で精神科医を辞めるらしい。なんでも、患者が自殺したり、うつ病が長引いたりして、自分の方がしんどくなったらしい。ここではよくある話だ。




 噂をすれば。今日やってきた男性の患者を診断したら、うつ病だった。睡眠障害も併発している。職場の人間関係のこじれだ。よくここまで耐えたね。ゆっくり休もう。




 次の患者は風俗嬢をやっているらしい。病んでしまうのは、想像に難くない。




 男子中学生が来た。いじめを受けたみたいだ。犯罪だそれは。診断書を書くので親御さんと協力しよう。




 幻覚を見るようになった女性がやってきた。統合失調症の前触れだ。しばらく通院してもらおう。長くかかりそうだ。




 毎日毎日こんな感じだ。


 よくない知らせも多い。


 この間来た女子高生の彼女が自殺した。


 カスハラとパワハラに悩んでいた会社員も自殺。


 いじめを受けていた子は、事件を握りつぶされたらしい。


 


 同業の友人が無力感にさいなまされてしまったのもうなずける。


 


 私はどうかって? さいわい、私は生まれつき人間の感情ってのがよくわからないからね。所謂、サイコパスだよ。脳が少しおかしいんだ。


 この仕事は天職だといえる。どんなに病んでいる人がいても、私にはデータの一つに過ぎない。別に珍しいことじゃないよ。医者や経営者にそういう人は多い。私ほどじゃないかもしれないけどね。




 さて、次の患者が来たようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ