小さな密告者
クラスメイトがいじめられた。
犯人たちはわかってる。ケンゴだ。それにユウキやイツキも。みんな一緒になってコウをいじめた。
それでコウは自殺しちゃった。
先生にばれないようにコウが嫌がるようなことを言ったり、こっそり仲間外れにしたり、ずる賢い。先生たちも、誰がやったのかちゃんと把握しきれてない。
なんとかしないと。
おとうさんからいつも言われているからぼくは知ってる。悪い人は、さいばんってのでやっつけるんだ。
そのためには証拠がひつよう。
先生はいま大変だから、事件が解決に進むような証拠をもってきたら喜んで受け取るはず。
でも、ケンゴたちだって簡単に証拠が残るようなやり方はしていない。LINEやSNSでも何もしない。主犯の間だけで約束して、誰にも言わないように合わせてるんだ。クラス全体でコウを仲間はずれにしてバカにしないといけないような空気づくりをして、犯人をわかりづらくしてた。
だけど、ぎゃくにいえば、ぼくは直接手は下してないけど、ケンゴはクラスメイトを共犯だと思ってる。
いとこの兄ちゃんにお願いしてボイスレコーダーをもらった。理由を言ったらすぐOKしてくれた。
翌日の休み時間、ぼくはケンゴに近づいた。
「コウのことでいろいろ聞かれて大変だよ」
「おい、あいつの話はするな! チクってないだろうな?」
「もちろん。でも、なんであんなことやったの?」
「あいつが陰でこそこそ俺の悪口言ってたからだ! それだけじゃねえ。嫌がらせみたいに絡んできただろ。それに最初にやってきたのはあいつなんだよ。ある日突然な。意味わからねえ。俺はあんな奴どうでもよかったんだ」
「でも、裸にして……虫とか食べさせたんでしょ?」
「やりすぎたとは思ってる。死ぬなんてな」
これでいい。ぼくはその音声が入ってるレコーダーを先生に渡した。ぼくが提出したことは伏せてくれるようだ。
事件はすぐに解決して、ながいさいばんが始まった。
ふう。
これで、あのうざったいコウも、リーダー気取りのケンゴたちもまとめていなくなった! まったく、厄介なやつらだったよ。




