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Hey Ya! 夢追う友人

 俺、見浦ゼンはカフェインが苦手だ。

 コーヒー缶を一本でも飲み切ると最低でも六時間は込み上げてくる感じの頭痛に悩まされるんだ。


 俺みたいなオタクが愛飲しているイメージのあるエナジードリンクなんてもってのほか。

 一度街中で無料のやつを貰って飲んだら、二時間くらいスプレー食らった虫けらみたいに横になったんだからよ。


 けれども今日は悪魔と契約する思いで買った。妥協してあったか~いカフェラテではあるけどね。


 果たして五時限目以降、これが眠気覚ましの範疇に収まってくれるかどうか。

 そんな心配をしながら俺はこのカフェラテをお弁当の合間にちびちび飲んでいる。


「でさでさでさ! 昨日の配信は神回だったよな!」

「ホントそれ! あのスパチャ、タイミングが神がかってたもんな!」


 俺はクラスメートの野郎二人と机をくっつけて昼飯を食べていた。

 

「マジでマジでそれな! あれは事務所から感謝状やってもいいくらいだったよな!」

 この感動詞が余計な人な大野。


「それだな! アレは本当にそんくらい凄かったよなぁ! その後の反応含めてさぁ!」

 このまあまあの尺を取りつつもあんまり深いこと言わない人が駒井。


 二人は恐らくバーチャル配信者の昨日の配信について、ヒートアップ気味に話しているようだ。

 この好きなことについては前のめりになる感じから察するように、この二人もオタクだ。


 けれども俺と二人じゃ思想が違い過ぎる。

 コイツらの話すことはだいたい三パターンある。

 一、さっきみたいなバーチャル配信者の話。


「この前さ、こないだ石貯めてなんとか十連引いたんだけど、二ヶ月前の産廃が出てきやがってさー」

「うわ! もしかして夏祭り元浪? それもう弁償もんじゃん! ゼッテー当分救済強化入んないしさぁ!」

「イラストはいいのにさぁ、運営は何考えてスキル作ったんだろうな?」

「どうせ元浪の可愛さで馬鹿がつられてやってくるとでも思ったんでしょ! あのプロデューサー、FAX(旧Mutter)で客を金づるだと言ってたし!」

 二、そんとき流行っているアニメ・ゲームの話。(今はスマホゲーム『クリアーリバティ』がトレンド)


「そういや確か多分さ明日ライブあるよな? しかも新キャラ発表の……」

「あーあったね。俺はみんけど。出演者リストにブッサイクな歌い手男の彼女いたじゃん。アイツ早く代役立てて廃業しろよマジで」

「言うな言うな、アイツの事務所、名誉毀損罪使って荒稼ぎしてるから」

「そうだった。ごめんごめん。いやあ、芸能人って特権多いから怖いなあ」

 三、声優・クリエイター・配信者の心底どうでもいいゴシップ。


 俺も『クリバテ』はやり込んでるから、今期は『二』が引ければギリ会話についていける。

 けれど一と三については本当に合わせる気力がない。

 バーチャル配信者の何がいいのかコンテンツが成熟しつつある今でもわからんし、ゴシップなんて居酒屋の飲んだくれが話すことだろマジで。

 

 だから俺は基本、こいつらが話しているのを見ていることしかしない。


 なのにどうしてこいつらと弁当を食っているのか?

 それは自衛のためである。


 理論はシンプル。昼休みという学生が休日に次いで最も友情を味わうべき時間に、一人でメシ貪ってるヤツは即刻、『煮ても焼いてもいい雑魚』と認定されるからだ。


 それに遺伝子レベルで危機感を覚えた俺たちは入学当初から、特にきっかけもなくこうして肩身を寄せ合い、昼休みをやり過ごしているのだ。


 だから、これは到底口には出せない申し訳ないことだが、仲良く騒いでいる二人とは違って、俺はこの関係は『見大駒三陰同盟』としか思っていないんだ。


 それと別に俺はこの二人以外にも、昼休みの居場所はあるにはある。今日、そいつらは食堂に行ったので、弁当持ってきた俺は合流できなかったが。


 と、人間関係を整理しつつ、弁当箱に入った最後の食べ物――カップ入りのグラタンのエビを飲み込んだり


 俺は弁当箱を片付けて、机にカフェラテ缶以外物がない広々とした空間にする。

 そこに俺は新たに、スケッチブックを置く。


 さらにカバンから絵描き用のペンケースを立てて机に置き、B鉛筆を一本取り出す。


 まっさらなケント紙の一ページに、俺は手始めにぼんやりとしたイメージを下書きしていく。

 ここから、俺の耳にはクラスメートの声は入らなくなっていく。



 五、六時限目、それと帰りのHR後。

 俺は美術室へ行き、適当に空いていた机に座り、昼休みに進めていた作業を再開する。


 この時間帯の美術室は、俺たち美術部の本拠地になっている。どこの高校もだいたいそうだろうけど。


 俺たちの活動内容は、『一月一枚イラスト描く』。それだけさ。


 それも描くイラストは公序良俗に反するもの以外なら漫画でも二次元キャラのイラストでも、もちろんザ・絵画でもいい(最後は誰も描いたの観たことないけど)。


 俺はここで堂々と、近日またネットに上げる予定の、完全趣味のイラストを描こうとしている。

 今、着手しているのはそのペン入れ――イラストの大まかな構図を決める、下書き中の下書きだ。


 だが、これが思うように進まなかった。

 コンセプトは頭の中で決まっている。ただこれを完璧に表現できる構図をどれにしようか判断しかねていた。


 俺みたいな無名の絵師が目立つにはコンスタントに作品を出すしかない。

 前回投稿したのは今から五日前。一週間が経つまでに新作を出しとかないと間が空きすぎてやる気のない奴と思われてしまう。

 かといっても雑に出しときゃいいってわけじゃない。質と量、その両立が絵師に必要なんだ。


 そう自分に言い聞かせ、俺はますます悩みに悩みまくった。


 一時間――部活動時間の半分が経った。にも関わらず、進歩はなかった。

 それどころか、昼休みにやっていた分も『こんなんじゃダメだ!』と消してしまいマイナスにしてしまった。


 やがて白紙となったスケッチブックを見るのも苦痛になってきた俺は、いつの誰が残したかもわからない机の絵の具の汚れを眺めたりした。

 時々、イラストレーターが、気まぐれの落書きやテープの剥がし跡を参考に作品を思いついたという話を聞いたことがあるという。

 俺はそんな奇跡を願ったわけでもないけど。


 他の人はうまくいっているのだろうか。俺はこっそりと周りの机を見渡す。

 右隣の机には緑色の髪の女子がいつの間にか座っていた。

 彼女も俺と同じスケッチブックに、マーカーペンを次々と持ち替えては走らせていた。まるで距離と弾数に応じて適材適所の武器を使い分けるバトルロイヤルゲームのプロみたいな手際だった。


 なるべく気配を殺してその内容をよく見ると、前、横、後から写したキャラの立ち絵があった。

 そういえばこの人、こないだの文化祭の展示で二十ページくらいのしっかりした漫画を出してたな。

 きっとあれは新作のキャラの設定画だろう。律儀なことだと思うが、あの人のあの作業速度を見ると、それくらい朝飯前なんだろう。


 それに比べて俺と来たら、既にデザインが定まっているキャラの絵を描こうとして全く筆が動かずにいる。これが天才と凡人の差だということだろうか……


 結局、部活動の二時間、俺はスケッチブックをほぼ白に戻したことと、机に消しカスを作ったという成果だけ得られた。



 家に帰るとキッチンの方からトマト系の香りがした。恐らくナポリタンかチキンライスだと推測する。

 けれども夕食まで何が出るかわからないワクワク感を持ちたいので、


「ただいまー」


「おかえりー」


 ひょこっと母さんに顔を見せて、二階の自室に行った。


「お帰りなさいませ。ゼン氏」

 で、そこで、紺色スーツの少女が俺のベッドに座って、本を読んで待っていた。


 そうだそうだ。部活での無成果ぶりが頭を締め付けすぎて吹っ飛んでたが、家にはこの人が現れていたんだ。


「ただいま……約束通り、親にバレてないよな」


「ああ、どうにか対処した」


 急にクローゼットから現れた女の子なんて、両親に知られたらとんでもないことになるしかない。

 かといって追い出すこともできない。俺が鬼みたいになるからというのもそうだが……


「では、今から作品に取り掛かっていただけないだろうか」


「待ってくれ。着替えとか色々先にやることあるんだから」


 この少女――マンセルさんは、アルストリートなるマルチバースの美術品をいっぱい集めてるすっごい美術館から来たエージェント。

 俺の家にやってきたのは、俺がいずれ書くらしい作品がそこに収蔵されるに相応しいから、回収しにきた。とのこと。


 だから彼女は俺を監視しているんだ。俺がその作品を完成させるまで。


「見えないようにしておいてあるから安心してくれ」


「ありがとうございます。別に見えたところで何なんだって身体してますけどね!」


 俺は制服一式をクローゼットに戻し、私服に着替える。

 来たときから読んでいた美術の本で顔を丸ごと隠すマンセルさんの姿をシュールだなーと思いつつ、俺の城であるデスクの前に座る。


「もういいですよ」

 マンセルさんが顔から本を取り外したところで、俺は美術部でやりそこねた作業を再開する。


 いやこれ再開って言葉で合っているか? 学校でできなかったことが家でできるわけがない。


 結果俺はとうとう鉛筆を置き、スマホをダラダラ触ってしまった。


 三桁に辛うじて届いたものの、そこからまるで伸びがない、五日前に上げたPV数。

 つい数分前に上げたにも関わらず、PV数が六桁に達している人気絵師のイラスト。

 この二つを何度も何度も繰り返して見て、俺はとことん無駄に時間を浪費していた。


「今は何をしている。ゼン氏」


 そうしてグダグダやってると、マンセルさんが上から俺の手元を覗いてきた。


 俺は叩くようにスマホを胸に押し付けて隠す。

「ああ、これはですね……創作のヒントを……」

 ごもっともらしい理由でもあるが、相手はハッキングから口封じまでスピーディーにこなすエージェントだぞ。

 こんな見え透いた嘘、見破れるに決まってるだろ見浦ゼンさんよ。


「創作が行き詰まっているのか?」


 そこまでお見通しだとは脱帽だった。


「はい、そうなんですよ。描く内容は考えてあるんです。どうイラストに起こそうか迷っていまして……」


「君が直感でいいと思った方法で描けばいいのでは?」


「とは言われましても、自分で納得がいかないと描けない気がするんですよ」


「そうか。それは深刻だ。」


 ずっと首を上げて会話している俺が辛そうに見えたのか、ここでマンセルさんは俺のチェアの横で膝立ちになる。


「だが安心して欲しい、我々の情報によると、君はマルチバース全体を見ても価値のある作品を作り上げるはずだ。そう焦ることはない」


 そうマンセルさんに言われて、俺はほんの少し心のモヤが静まったような気がしなくもない。

 せっかくの機会なので俺は一番不明瞭なモヤのことを確認してみる。

「あの、マンセルさんが回収しようとしている作品って、『作者:見浦ゼン』であっているんですよね?」


「そうだ。以前話した通り、誕生した座標もこの一室で合っている」


「そうですか……けど俺、別に名の売れた絵師でもないですし。急にいきなりあんな偉業を成し遂げられると思えないんですよ」


 俺はマンセルさんがいる方じゃない左へ立ち上がり、部屋の壁の一面にある、天井に届くスレスレのデカさを持つ本棚へ歩く。

 そこには絵の参考になりそうな真面目な本、完全に趣味のラノベとか雑誌、それとメジャーな漫画がある。

 それらはカテゴライズこそされてはいるが、全体的に見るとカオスな順序で並べられていた。

 俺は迷わずそこにある一冊の漫画を手に取る。日本人なら誰でも知ってる漫画の主人公が背表紙に写っている二十七巻を。

 

「ほら、こういうものとかの方が収蔵する価値がありそうなんですけど……」


 マンセルは少し俺の手元を凝視していった。

「それは既に収蔵されている」


「え? マジで? けど漫画だよこれ?」


「漫画にも美術的価値はあるというのがアルストリートの考え方だ。絵画や彫刻などと比べると、認定されてから比較的若いカテゴリではあるが」


 そういやそうか。ルーブルとかでもたまに日本の漫画とコラボした展示をやってるとか聞いたことあるもんな。


「それに君の絵も、先人たちには届かないかもしれないが、決して魅力が薄いわけでもない。その辺りは気後れしないでいただきたい」


「わかりました。ありがとうございます」


 俺はすぐに単行本を戻し、デスクに掛け直して再びマンセルさんの元へ。

「それと細かい話なんですけど、俺、オリジナルの絵を描いてるんじゃないんですよ」


 前回ハッキングした時見たと思いますけど。と、言うのは一応止めておいて、俺はパソコンを立ち上げ、過去作の元データを保存しているファイルを開く。


「俺の描いてる絵はいわゆるファンイラストってヤツです」

 俺が今まで『ちゃんと』描いてきた五十二枚のイラストの内、九割は『クリアーリバティ』関係のもの。

 そのさらに九割はミア・ロマネスク様のものだ。


 そうだ、ここで一つ解説を入れておこうか。


 クリアーリバティというのは配信中のスマホゲーム。架空の国『ヒノモト』に多発する災獣というモンスターを撃退するのが基本的な流れだ。

 その撃退を担う組織がいくつか存在し、だいたい四、五人の美少女でチームを組んでいる。

 このチーム内での友情と、災獣撃退の方針などの思想の違いによる組織間対立が、ストーリーのもう一つの軸であり、ファンを引き付ける魅力だ。


 その中での俺の推しキャラがミア・ロマネスク様(属:BIGエンタープライズ)。

 ヒノモトでの対災獣戦に感銘を受けて他国からやってきた外国人キャラで、海のように寛大な御心を持つ御方なのです。

 ところがこのクリアーリバティ、意外なことに外国人キャラが多い。しかもミア・ロマネスク様よりもインパクトがある人がわんさかいる。

 だからミア様は、それらと比較すると人気が低めで、影が薄いのだ。


 ファンイラストのコミュニティにおいても、ロマネスク様のイラストは数が少ない。

 人気キャラ、イコール、かわいいとならないのが世の常だ。

 個性が強く、イジり甲斐のあるネタを持っているキャラだけが、多くの人気、それと二次創作を得られる。

 そういうわけで皆、ロマネスク様には全く興味を持たない。ロマネスク様はにわかにでも雑に振れるネタなど持たないのだから。


 だから、俺がロマネスク様を救うのだ! 俺がロマネスク様のイラストを描き、この界隈にロマネスク様の魅力を知ろしめるのだ!


「すまない。〇.七五倍速で今の内容を喋っていただけないだろうか」


「ハァハァ、すいやせん……オタクの悪いところが出やした……」


 適正速度に戻しての説明後。

「つまるところ、君の作品は全てミア・ロマネスクという他作品の登場キャラクターを元にしたもの。

 だから、自分が描いた作品とはきっぱり言いにくいのではないか。ということか?」


「はい、そういうことです! 話が脱線して忘れてましたけど、そういうことです!」


 一応、クリバテは二次創作に寛容であり、露骨に公序良俗に反したり、露骨に営利目的でなければ活動は認められている。

 だからパクリとかそういうことには繋がらないとは思うけど……やっぱりパブリックドメイン入りしていない人のものをあからさまにモチーフにした作品が果たして美術館に飾っていいのか。

 そこが絵師としての感覚で気になっていた。


 対するマンセルさんの暫定的な回答はこうだった。

「けれども、君が近日中に描く作品が美術館に収蔵されるのは間違いない。細かい法的精査はそのタイミングで行えばいい。

 だから、とにかく君にはできるだけ早く、その作品を完成させて貰いたい」


「ははぁ……」

 自信なさげな返事をすると、マンセルさんは俺が座る椅子を、俺ごとデスクにピシッと正面にくっつけた。


 とはいっても、やっぱりまだ構図が決められないんだよなぁ……

 そうこう悩むこと十九秒後、デスクの隅に置いていたスマホが、SMSアプリの通知を映す。

 ハンバーガーの絵文字だけのメッセージ。

 このパターン――食べ物一個の絵文字だけを送るのは、母さんがご飯の時間を知らせるときによくやるヤツだ。


「ごめんなさい、俺晩ご飯があるから、一旦作業止めますよ」(もともとミリも進んでないけど)


「……? 何も謝ることはないだろう?」


 俺はスマホをズボンのポケットに押し込みつつ、急ぎ部屋を出て、ドタドタと一階へ降りていく。

 リビングに入ると、

「おかえり父さん」

「おお、ただいまゼン、ベルタ」

 まずいつの間にか帰ってきた父さん、次にその前のダイニングテーブルに並ぶ、本日のメインおかず『トマトソースのハンバーグ』に目が行った。


 なるほど、あのトマト系の香りはあれだったのか。でもってさっきの絵文字はハンバーグのことを指してたのか。(ハンバー『グ』の絵文字はないから『ガー』を使ったわけね)


 そして、俺はその献立セットの数の異常さに気づいた。

 四つ、ある……今日は家に、俺と父さん母さんしか人がいないはずなのに。


 いや、二人候補がいる。

 一人は、俺の兄さん。大学に入ってから一人暮らししているが、月一くらいで定期報告を兼ねて帰って来ることがあるんだ。

 もう一人は、マンセルさん。いずれかのタイミングで存在がまたバレて、居候でもすることになったパターンだろうか。

 この二択の内、有力なのはやはり兄さんの方だろう。今日はたまたま俺にだけ連絡がなかっただけなのだろう。うん、きっとそうに違い……


「OH! ゼンズマムのお料理おいしそうデース!」


 俺は真後ろからのハイテンション声から耳を守りつつ、頭を抱えた。

 ずっと後ろにいたんかい……じゃなくて、やはりお前だったんかいッ、マンセル!?


「今日はベルタちゃんのホームステイ一日目を祝ってちょっぴり頑張ったからね!」


「これから二週間よろしく頼むよ。あ、ゼンとも仲良くしてあげてな」


 俺は脳細胞が直列回路のようになったような感触を覚えた。一瞬だけ、天久鷹央や小鳩常悟朗に負けないくらいの推理力を発揮したような気がした。


 マンセルさんは、俺が学校に行っている間に、両親に記憶改ざんクラスの細工を行って、自分が見浦家にホームステイに来た外国人ということにしたんだ。

 そうすればコソコソ俺の部屋に隠れることなく、堂々と俺が作品を仕上げるまで『見守る』ことができる。

 流石はエージェント。抜け目ねぇ野郎だ……Q.E.D.


 俺は錆びついたようにゆっくりと首を回し、満面の笑顔を浮かべるマンセルに目を向け、あちらがエージェントらしく読唇術を身につけていることを前提に、口パクで言い放った。


(マンセルさん! 俺が学校行っている間に家族になにか仕込んだな!)


「ハーイ! こちらこそよろしくお願いデース!」


「どっちに対するハーイだ!?」


【完】

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