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第10話 朝の光と占い師

「ふぁあ〜……まだ寝みぃなあ。

昨日走り回った疲れ、ぜんぜん取れてねぇ……」


俺は朝七時、時間ぴったりにミライアの家の前に着いた。

約束は約束。言われた通りに来る男、それが俺。


コンコンコン

「すみませーん、ペルノと申しますが……ミライアさんいますかー?」


ガチャリ

「あらぁ、昨日の。ミライアちゃんのお友達ね?」


ミライアの母親が顔を出した。

そういえば昨日も思ったけど、この人、髪も目もミライアとは全然違う。

柔らかい茶髪に二重で、優しげな顔立ちだ。


ミライアは父親似なのか?


「ミライアちゃーん! お友達来てるわよ〜!」


「はいはいはーいっ! とっととっとっと……わあっ!!」


どたどたどた——バッタン!!


勢いよく階段を下りてきたミライアが、そのまま壁に激突した。

寝癖でボサボサの黒髪。目もまだ半分眠そうだ。


……こいつ、昨日“朝七時に来なさいよ”って言ってたくせに、自分はギリギリまで寝てたな


「なによ!しょうがないでしょ!」


ミライアはあわてて髪をとかしながら言い訳を始める。


「昨日は占いのことで色々あって、夜更かししちゃって……ゴニョゴニョ」


いや、俺なにも言ってないんだけど……


「ミライアちゃん?昨日も十時には寝てたじゃない?」


「ママ!シーッ!!なんで言っちゃうのよ!」


普通に寝坊しただけかい……

まったく、“国一番の占い師”とか言われてるわりに、ただのポンコツじゃねえか。


「もう!これからお仕事するんだから、あっち行っててよ〜!」


「はいはい。しょうがない子ね〜」


母親は苦笑しながらキッチンの方へ引っ込んでいった。


「……まあ、こっち座りなさいよ」


「お、おう。ありがとう」


促されてリビングの椅子に腰を下ろす。

思ったより整った部屋だった。

白い壁に、古びた木のテーブル。

窓際には小さな花瓶が置かれ、淡い光が差し込んでいる。


なんか……“占い師の家”っていうより、ごく普通の家庭って感じだ。


「お母さんと仲いいんだな」


「まあね。いまは二人暮らしだし。

 ……わたしたち、ほんとは血繋がってないんだけどね」


「そうなのか?」


たしかに顔は似てないと思ったけど……。


「私の本当の母親は、私を産んですぐ亡くなったの。

 お父さんが今のお母さんと再婚したんだけど、

 お父さんも四年前に事故で亡くなったのよ。

 だから今は二人暮らしなの。……って、ごめん、朝から辛気くさい話しちゃった」


「そうだったのか。……なんか悪いな、

 知り合って間もないのにそんな話させちまって」


「なによ。ぼうやに気を使われる筋合いなんてないわよ」


「ぼうやじゃないわ!」


……なんだよ、気ぃつかって損したわ。


ニャァーン


その瞬間、ダイニングのほうから気の抜けた鳴き声。

昨日あんなに苦労して探した三毛猫が、

いつの間にかテーブルの上に乗っかっている。


「こら〜!ダメでしょ、テーブル乗っちゃ!」

ミライアが慌てて駆け寄る。

猫はわざとらしく尻尾を立てて、ニャっと短く鳴いた。


…確信犯だな、こいつ


「さてと。じゃ、今日の作戦はどうするんだ?」


「まずは——飼い主について、占いで探してみるわ」


「そんなことできるのか!?」


すげえー!!占い師っぽい!!!


ミライアは腰に手をあて、ふふんと鼻を鳴らす。


「まあね。これでも、国一番の占い師って言われてますからね〜」


……いや、さっきまで寝癖バッサバサだったやつが何言ってんだ。


そう思いながらも、

机の上に置かれた“手のひらより二回り大きい水晶”にミライアがそっと両手をかざす。


その瞬間——

窓の向こうから差し込んだ朝の光が、水晶に反射した。

透き通る光が、机の上をきらきらと照らす。


水晶に朝の光が差し込み、机の上をキラキラと照らす。まるで、何かが始まる合図みたいに。


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