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アリにもキリギリスにも、またいつもの週末が訪れる

金曜の午後、仕事帰り、女が一人甘栗を売っている。

「いい天気ですね」オレは声を掛ける。

「そうですね」女はちょっとオレを見る。やっぱり警戒されているのかな?表情が固いような・・・。

「オレの友達が君のこと、栗娘、栗娘、って言うんだけど、本当の名前何て言うの?周りに聞いても誰も知らないんだよね」

「どうせ私はただの栗娘ですよ!」

怒られた。余計に名前を聞き出しにくくしてしまった。でも本当はそんなこと、こっちは最初から期待してはいない。話を切り出すきっかけさえつかめればいいのだから。

「君をネタに短い小説書いてみたんだけど、メールで送るからちょっと読んでみてくれない?」「小説?!」

唐突な発言に明らかに困惑の表情。オレは自分のメールアドレスを書いたメモに、こんな言葉を添えて小さく畳んで渡した。



  あなたの本当の名前を教えてください。オーロラの話も聞きたいです。

  「オーロラより君の方がきれいだ」って、何人くらいに言われた?

                             ミスター・パラダイス 



「エッチな小説じゃないでしょうね?」

「違う、違う、全然違うよ。結構お洒落だって噂だよ」

「お洒落?それって誰が言ってる噂?」

「オレなりの噂」

「ハハハハ」笑う彼女。今日も彼女の笑顔が見れて気の済んだオレは、甘栗を買ってとっとと退散した。

夜、メールが届いた。


「チャオ!私はオーロラ輝々。小説、あんまり期待しないで待ってます。ではよい週末を。アディオス!」


キキ?テルテル?相手は相当手強い。甘栗、一度に30袋くらい買わないと、このゲーム勝てそうにない。


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