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32話 パレ・リブッカーといっしょに!②

シャワー後 第三駐屯地 居間


<シャトレ>

「アッハハハハハハハハハハハハ!そりゃ事情知らないんだからびっくりるよね」


<パレ・リブッカー>

「おい、そんなに笑うなよ」


シャワーから上がり、居間で寛いでいると、治療が終わったシャトレさんが話しかけてきた。奴がシャワー室に入ってきた事を言うとゲラゲラ腹を抱えて笑っている。


<十三番隊 補佐 ダッカイ>

「隊長お疲れ様です」


<パレ・リブッカー>

「お前達もすっかり元気になったな」


奴の隣にいた連盟軍の人達。彼らも治療から戻ってきたようだ。


<十三番隊 補佐 エニカ>

「お陰様で。どうしてシャトレさんこんなに笑ってるんですか」


<十三番隊 補佐 ダッカイ/エニカ>

「「あーーー」」


<パレ・リブッカー>

「なんだその分かる分かるみたいな顔は」


<十三番隊 補佐 ダッカイ>

「風呂に隊長が入ってきた時やばかったよな」


<十三番隊 補佐 エニカ>

「なまじプロポーションがいいからドギマギするんだよね」


<十三番隊 補佐 ダッカイ>

「みんな鼻血出してたよな」


<パレ・リブッカー>

「私で抜くのは構わんが、私の目のつかないところでやれよ」


<十三番隊 補佐 ダッカイ/エニカ>

「滅相もありません」


<シャトレ>

「どういう事なんですか……?」


<シャトレ>

「ああ、言ってなかったっけ。彼は”男”なんだよ」


こいつが…男?姿はどう見ても女の姿だったけど……

ミスガイが脳裏によぎる。彼のようにこいつにも何かあるのか?


<十三番隊 補佐 エニカ>

「しかし、この子が」


<十三番隊 補佐 ダッカイ>

「俺達を吹っ飛ばすなんて凄えじゃねえか!おい、おい!」


そう言って頭をぐりぐりされた。ちょっと痛いけど、敵意みたいなのはあんまり感じなかった。


<パレ・リブッカー>

「お前達が弱いだけだ。こんな奴にやられてるようでは副隊長の座はまだ遠い。リーンもあの世で叱っているぞ」


<十三番隊 補佐 エニカ>

「全くです。また一から研鑽かな」


<十三番隊 補佐 ダッカイ>

「そうっすね。今度は負けねえからな!」


<シャトレ>

「いいねぇ。こういう熱いの僕は好きだよ。いい部下がいるじゃないかパレ」


<パレ・リブッカー>

「分かっている。もう夜もふけてきた、私達も寝る。お前達も寝ろ」


奴が立ち上がると、僕も奴に引っ張られる形で着いていく。兵士達はぶっきらぼうな奴の背中を



<パレ・リブッカー>

「…………あの時は助かった。これからも頼む」


<十三番隊 補佐 ダッカイ/エニカ>

「「はい!」」





<シリウス>

「はあ〜今日は疲れたな………というかなんでおんなじ部屋なんだよ」


用意されたベットに伏せる。何故かツインベッドで隣に奴も伏している。


<パレ・リブッカー>

「拘束具を付けているとはいえ、変な動きをしないよういつでも見張ってなければな」


<シリウス>

「はいそーですか」



<シリウス>

「………………男っていうのはどういう事なんですか」


<パレ・リブッカー>

「しおらしいな。まあ仕方ないか、変に気を使われても困るし」


<パレ・リブッカー>

「私が男というのは別に女に生まれて男の心を持ったって訳じゃない。ある日突然女の体になったんだ」


<シリウス>

「それってどういう」


<パレ・リブッカー>

「大体八十年前くらいか。私は男として生まれ、ロッカーリって町で家族や友人達と仲睦まじく生活していた。しかしある日、私の町は突然モリタミの襲撃にあって親も友人もそこで死んだ。だから私はモリタミを憎んでいる。私達の町を壊し、皆を奪った仇敵だと」


<シリウス>

「そんな……モリタミが襲撃なんて。だから奴らを殺すのか?」


<パレ・リブッカー>

「憎しみはある。だが戦う時は押し殺して戦う。命のやり取りをする以上、私は相手と対等とでいたいと思っているからだ。あいつらを殺したのは王命だからだ。それは忘れるな」


<シリウス>

「でも王命だけで人を殺すなんて、良心は傷まないのか」


<パレ・リブッカー>

「それが兵士というものだ。敵が愛する者であっても命が出たなら殺さねばならない。それが我らが王であればそれは飲み込むしかない」


奴の言葉を信じられない。憎しみを押し殺して戦うなんてそんなの出来るはずがない。

僕が初めて奴と会った時、奴に殺されそうになった時を思い出す。

——————すまない

本当にそう思っていたのか?………分からない。


<パレ・リブッカー>

「話が逸れたな。私は運良く生き残って、今の連盟軍に助けられた。治療の後、間もなくして体の異変に気付いた。自分の体が女になっていると。

子供の頃はあまり気にしなかったが、成長と共に体が変化していくにつれて心と体のアンバランスさに悩んでいた。そんな時声を掛けてくれたのがシャトレだったのさ」


<シリウス>

「シャトレさん……」


<パレ・リブッカー>

「あいつは、お前がパレ・リブッカーってことには変わんないだろって言ってくれた。単純な話だ、だけど私はそれに助けられた。以来私は性別に囚われずに生きている。それ相応の配慮はしているがな」


ミスガイの事を思い出す。彼も自分の心と体、年齢のアンバランスさで悩んでいた。こいつも同じだったというのか。こいつも悩んで、周りに助けられて胸を張って生きている。自分を肯定できているのか。


<パレ・リブッカー>

「話は終わりだ、さっさと寝ろ、明日も早いんだから」


奴は布団を被って寝てしまった。

今日だけで首都に来て、街を見て、転生の瞬間にも立ち会って、奴は男だったし情報量多くて眠れない。


最近自分の記憶について考える。

転生したての頃は生きるのに必死で考える余裕もなかったけど、転生した時に失った記憶、自分が自分でなくなってしまうような感覚を今も覚えている。ぽっかり穴が空いたように何か大切なものだったんじゃないかって思う。

それになぜあのデバイスの名前が咄嗟に口に出たのか。iDeasは僕にとって重要な物だったのか。


本部長さんも言ってた。過去に囚われずこの体の人生を生きるか————

周りなんて関係ない、自分らしく生きる……考えが纏まらない。色んな思いが頭をぐるぐるする。僕はどうすればいいんだろう………




パレ・リブッカーに拘束され、首都に連れられたシリウス。残る首都の階層はあと四つ。最上層には世界の王が彼らを待つ。シリウスの運命はいかに——




時はシリウス捕縛直後へ遡る————————


数日前 ある街の郊外 シリウス、パレ・リブッカー戦場跡


<ファリア>

「さてどうしたものかの」


<……>

「おーい!おーい!」


<パレ・リブッカー>

「お主は」


<……>

「はっはっ、はあ、良かった!無事だったんだね!」


<パレ・リブッカー>

「はて、誰じゃったっけ?」


<……>

「覚えてないの?!ミスガイ、ミスガイ・トライアスだよ!


次回は1/10になります!

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