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31話 異世界人事務所本部 2/3

パレ・リブッカーに連れられ、地下二階の魔術訓練場に来た。学校の校庭くらいの大きさで、ガラスのような物が四方を覆っている施設がいくつか点在していて、僕達は近場の訓練場に入った。


中では子供達が皆和気あいあいと話していたのも束の間、レザージャケットを羽織り、サングラスをかけた筋肉モリモリマッチョマンが子供達に近づいてきた。


<マッチョマン>

「準備は良いか!!」


<子供達>

「サーイエッサー!」


<マッチョマン>

「聞こえないぞ!!」


<子供達>

「サーイエッサー!」


なにこの殺伐とした感じ!子供達がビシッと大男に向かって敬礼している。それに声がめっちゃデカい。僕と子供達のいる場所は結構離れていたのにメガホンから出てるくらいデカい。


<パレ・リブッカー>

「サーイエッサー!」


お前もやるんかい!


<マッチョマン>

「そこの君!」


<シリウス>

「はい!」


反射的に返事をしてしまった。

マッチョマンがこちらに近づいてくる。


<マッチョマン>

「見ない顔だな、ここは初めてか」


<シリウス>

「はい」


<マッチョマン>

「では最初に握手だ」


恐る恐る手を伸ばすとガシッと掴まれてしまった。感触だけでわかる、筋肉が詰まったまさに漢の手だった。


<マッチョマン>

「いい手だ。俺は連盟軍教官、北条嶺繰度だ」


    連盟軍 首都総本部 教官

   Bランク魔術師 北条峰ほうじょうれい 繰戸くりど


<北条峰 繰戸>

「そしてここでの返事はサーイエッサー!だ!

分かったな!」


<シリウス>

「サ、サーイエッサー!」


教官は僕の手を引くと、子供達の横に並ばせた。

なぜか奴も付いてきてるし。


<北条峰 繰戸>

「魔術とは力、それ即ち使い方によって人を助けることもできれば、傷つけることもできるということ、だから扱うには細心の注意を払わねばならない」


<子供達>

「さー!」


<北条峰 繰戸>

「前回の復習だ!魔術師の必須魔術三つを答えろ!」


<……>

「はい!」


<北条峰 繰戸>

「パレ・リブッカー!」


お前が答えるんかい!


<パレ・リブッカー>

「回復魔術、防御魔術、斥力魔術です教官!」


<北条峰 繰戸>

「正解だ!まずは自分の身を守らねばならない。回復魔術は自分に使用できるように、相手に使えるようになったらなお良しだ!防御魔術は相手からの攻撃を防ぎ自分の身を守る。斥力魔術は物を浮かせる魔術、自分の体重以上のものを浮かれられれば自分が高い所から落ちても、上から物が落ちても問題なく対処できる。この必須魔術を使えて初めて魔術師の免許が与えられられる。いくら他の魔術が使えようともこれらが使えねば魔術師に非ず!さらにこれに加えて魔弾と空間拡張魔術、二つを合わせた五つが連盟軍にとって基本となる魔術だ」


魔弾しかできない僕にとってはかなりのハードルだ……それにしても炎や水を出すのが魔術師だと思ってたけど、何というか実用的というか。


<北条峰 繰戸>

「お前達はまずDランク、基本となる3種の魔術を練習してもらう、残り2つ、さらに固有の魔術を使えるようになればCランク、筆記と実技試験に合格出来ればBランク、そして俺の試験を越えられればAランクになれる!Aランクになるにはアルティメイタムかそれと同等の魔術の習得が必須となる!ひよっこ共長い道のりだ、覚悟して臨めよ!」


<子供達>

「サーイエッサー!!」


<パレ・リブッカー>

「師匠お久しぶりです」


<北条峰 繰戸>

「おお!!パレ、元気してるか?飯ちゃんと食ってるか?」


<パレ・リブッカー>

「ええ、お陰様で。教官がこちらに来らていると聞きまして」


<北条峰 繰戸>

「定期的に連盟軍に入りたいっていう異世界人を鍛えてやってんだ。まだ予備兵だが、本隊に配属する年頃には優秀な兵士になっているだろうよ。お前みたいにな」


この子達は未来の連盟軍なのか。こんな小さな時から訓練させる事に少し恐怖を感じる。


<北条峰 繰戸>

「最近景気良さそうじゃねえか、モリタミの頭領一人やったって聞いたぞ。上層部はお前をSランクに引き上げようとしてるって噂だ」


<パレ・リブッカー>

「師匠、いえ教官の教えの賜物です」


<北条峰 繰戸>

「この小僧は?」


奴が教官に耳打ちでコソコソと話す。


<北条峰 繰戸>

「そうか、お前の”甥”か。そりゃ悪いことを言った。敵を笑うのはあくまで見えない所でってな、魔王軍の奴らは別だが、すまなかったな」


<シリウス>

「いえ、別に……」


僕が捕虜って事を言ったのだろう。モリタミ達と敵対してるとはいえ、彼らと対峙しているとなんとも言えない不思議な感覚になる。


<北条峰 繰戸>

「お詫びのついでだ。俺が鍛えてやるぞ」


<パレ・リブッカー>

「教官それは……強くなったら厄介では」


<北条峰 繰戸>

「別に殺すって決まったわけじゃねえだろ、それにヘッドハンティングって線もある。それに今のお前になら御し切れるだろ」


<パレ・リブッカー>

「まぁそうですが………」


<北条峰 繰戸>

「じゃあ決まりだ!」


そうして子供達といっしょにマッチョマンの教官に稽古を付けてもらった。


—————


<シリウス>

「やっぱり魔術できない……」


魔術の訓練を受けていたのだが、拘束具のせいで変身もできず、魔弾も撃てない。


<パレ・リブッカー>

「そんな可愛い声で言っても外さんぞ」


<北条峰 繰戸>

「卑怯だ!卑怯者!解放してやれ!」


<パレ・リブッカー>

「教官もなにしてるんですか」


<北条峰 繰戸>

「ついついな、子供には甘くなってしまう」


結構厳しかったと思うんだけど………

練習場100周とか腕立て腹筋反復横跳び100回とか。途中から誰もついていってなかったけど。

そして数時間後———


<北条峰 繰戸>

「今日の訓練はここまでとする。皆お疲れ!」


<子供達/シリウス>

「はぁ、はぁ、ありがとうございました!」


<パレ・リブッカー>

「だいぶ扱かれていたな、昔を思い出す」


<シリウス>

「普通に疲れた」


僕達は再び一階に戻ってきた。


<パレ・リブッカー>

「さてそろそろ帰るとするか」


<シリウス>

「あの人……」


さっき転生室にいた男性がベンチに座っているのが見えた。


<シリウス>

「話してきてもいいですか」


<オースノン本部長>

「ぜひどうぞ」


<パレ・リブッカー>

「っておい!」


<オースノン本部長>

「せっかくですし同郷の方と話すのもいい機会かと」


<シリウス>

「こんにちは〜!」


<男性>

「君はさっきの……」


<シリウス>

「はじめまして、シリウスっていいます」


次回は12/19になります!

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