23: ルミナイトの回収
ヴェイリルは顔を上げ、ソルが立ち止まっているのを見て、その反応を聞いてすぐに機嫌が良くなった。
「今晩!ここで待ってますから!」
ソルは返事もせず、ただ歩き続け、群衆の方へ向かっていった。ヴェイリルは気分が良くなり、近くの高い枝に飛び乗ってそこに座り、下の様子を静かに見守っていた。
前方で、レイカはソルが近づいてくるのを見つけ、飲み物を手に取って彼の方に歩み寄った。
「ソル、どこに行ってたの?ずっと探してたんだけど…」
彼女は飲み物を手渡し、ソルは何も言わずにそれを受け取った。
「少し前にヴェイリルと話してた。」
レイカは瞬きをして、朝以来ヴェイリルを全く見かけなかったことに気づいた。
「彼女はどこにいるの?」
ソルはただ特定の木を指さした。
「そこだ。」
ヴェイリルが隠れているかもしれないと気づいたレイカは、自分の能力を使って、紫の目がかすかに光る。強化された視力を通して、レイカはヴェイリルが木の枝に休んでいるのを見つけた。
「ドラゴンっていつもゴロゴロしてるのが好きなのか…?」
肩をすくめて、レイカはその場を離れた。
「今回は彼女にサボらせておくか。今は特に助けが必要なこともないし。」
レイカは群衆の方に向かって歩き出し、ソルは黙って後ろをついてきた。
空気は笑い声と会話でにぎわい、村人たちはレイカの教えから得た経験や洞察を共有していた。新しい知識を得たことに感謝しており、それが新しい集落で生き残り、繁栄する助けになることを知っていた。
午前中が過ぎ、すぐに午後が訪れた。
待ち合わせの場所で、ヴェイリルは同じ枝に座って、熱心に周囲を見渡していた。遠くにソルが近づいているのをようやく見つけた。彼に自分の存在を確認させるため、ヴェイリルは姿を現した。
ソルが到着すると、ヴェイリルは翼を広げて、彼を迎えるために降りてきた。
「ソル様、お越しいただき、助けを申し出ていただきありがとうございます…」
「道案内をしてくれ」とソルは唐突に言った。
それ以上の言葉はなく、ヴェイリルは振り返り、ゆっくりと飛びながらソルを自分の巣の場所へと案内した。
...
プリンク!
水滴の音が洞窟内に響き、浅い水たまりに何度も落ちていった。午後の一筋の光が上のひび割れから差し込み、暗い空間をかすかに照らしている。
地下の尖った岩柱からは鍾乳石が突き出しており、天井からは鍾乳石が吊るされている。滴は尖った形の岩を伝い、鍾乳石から鍾乳石へ、最後に石の床に落ちていった。そのゆっくりとした、リズム感のある音が洞窟に不思議なほど静かな雰囲気を与えている。
洞窟の中央には奇妙なクリスタルが横たわっていた。長さは人間の腕の半分ほどで、その光を放つことはない。
クリスタルの中でかすかな光が瞬いていた。それは弱く脈打ち、その光はほんの数センチメートルしか広がらなかった。
ここに戻ってきてから二日が経った…
その光は、小さな自我を持つ光の球体であり、何時間も動かずにクリスタルの上に留まっていた。動かぬまま内部にとどまりながらも、思考は渦を巻き、数日前の奇妙な出来事を繰り返し思い返していた。
「それにしても、なぜ突然あの人間の潜在意識空間から弾き出されたのか、未だに理解できない… あの直後に見た少年の仕業だったのか?」
その球体は過去の記憶を思い出し、その記憶に触れただけで怒りが湧き上がった。
あの戦争から何時代が過ぎただろう… 私は無数の年月を、追っ手から逃げながら、存在を変えながら生き延びてきた――死んだ後ですら追われ続けているというのに…!
苛立ちがかすかに波打ち、光の球体から一瞬だけ光が広がったが、すぐにその輝きは薄れていった。
もしあのとき、奴らの手に落ちていなければ… 私はこんな無様な状態にはなっていなかった。奴らは長年かけて私の魂体を蝕み、記憶と、今はもう使えなくなった能力しか残さなかった。
あの竜こそ、理想の器だったはずだ。私はその魂を鈍らせ、存在を感知されないように長年かけて準備を整えた。だが、あいつの抵抗力は私の想像を超えていた。何千年もの努力の末、ようやく魂の三分の二を削ぎ落とすことに成功したというのに――その瞬間、別の誰かの手によって竜は死に、私の全ての計画は水の泡となったのだ!
あの時、私はあの人間の少女に出会った。彼女の魂は脆く、平均的な人間よりもなお弱かった。私は、彼女を容易く支配できると確信していた。だが、私は失敗しただけでなく、なぜか自らの能力を切り離し、それを他人の身体に置き去りにしてしまったのだ――自分から分離した直後に!
光の球体がわずかに動き、その形を変えながらゆっくりとクリスタルの内部へと染み込んでいった。
「もし、あの少女の隣にいたあの威圧的な人間がいなければ…! 追い出された直後、その少年はすでに数メートル前にいて、沈黙のままこちらを見つめていた。あの目つき…まるで今にも私を喰らい尽くそうとしているかのようだった!」
恐怖と混乱に圧倒され、私はとにかく遠くへ逃げた。だが意外なことに、彼は追ってこなかった。私はなんとかこの場所に戻ってこられた…
「くっ…! そして今また、こんな惨めな場所に身を隠しているとは!」
光の球体は再び振り返り、その視線をクリスタルに定めた。
運よく、ここにルミナイトがあることを思い出した。この場所に満ちた霊的な力の濃縮によって形成されており、私の能力が断たれた際に失った魂の力の一部を回復することができた。完全に吸収するには数日かかるのが残念だが…今はその時ではない。
光の球体はクリスタルの上に浮かび、決意を新たにして脈動していた。
「一刻も早く、あの少女を見つけ出さなければ。私の能力を、そして彼女の身体も取り戻す。そして再びここへ戻り、このクリスタルを吸収して魂を強化するのだ。」
球体は洞窟内を見回し、出口を探し始めた。
――どこだ…?
見上げると、闇を貫くかすかな光の筋が差し込んでいた。
迷うことなく、球体は洞窟の入口へと上昇していく。しかし、開口部に近づいたその時――
外から轟音のような咆哮が響き渡り、その余韻が洞窟内にうねるように広がった。
「……今のは何だ?」
好奇心に駆られた光の球体は速度を緩め、慎重に洞窟の入口へと漂っていった。
――今の咆哮…この山の中腹を徘徊している「巨熊」のものではないか? 縄張り争いか何かか…?
洞窟の出口にたどり着くと、眼前には「ドリス大森林」の広大な景色が広がっていた。濃密な緑が四方に広がっていたが、球体はその景色には目もくれず、騒ぎの発生源に意識を集中させた。
すると突然、再び山を揺るがすような咆哮が響き渡り、それに続いてけたたましい悲鳴と複数の混乱したような鳴き声がこだました。球体には何が起きているのか把握できなかった。
「……あっちで一体何が起きてるんだ?」
その視線の先で、一匹の「狂狼」が森の奥から飛び出してきた。命からがら逃げるように開けた草原を走り抜けていく。その背後には、木々の陰に潜む未知の脅威の気配があった。
球体はひっそりと身を隠しながら、目の前で展開される光景を観察していた。獣たちの咆哮やうなり声は次々と途絶えていき、それはまるで何かが彼らを容赦なく屠っているかのようだった。数分後、最後の轟音が森に響き渡り、それきり静寂が訪れた。
「思ったより時間がかかったな…」茂みの中から、誰かの声が低く漏れた。
一人の人物が闇の中から姿を現し、洞窟の入口の方へと歩みを進めてきた。その距離からでは、球体にはその顔をはっきりと確認することはできなかった。
「マスター・ソル、あなたが途中で強い奴らを片付けてくれたんだから、こんな雑魚どもくらい私一人でも十分でしたのに。」
その人物の後ろには、見覚えのある使い魔の姿があった。その姿を見た瞬間、球体の記憶の奥底がざわついた。
――あれは…人間か? それにあの使い魔…どうしてここに…?
「ルミナイトの特徴はもう伝えてありますので、あとはあれを手に入れて、私に任せてください!」
ソルは静かに頷いて返事をした。
「了解。」
人間がこちらへ向かっているのを見て、球体は洞窟の隙間へと身を潜め、その奇妙な男の動向を注意深く見守った。
使い魔はこの男を「マスター・ソル」と呼んでいた……ということは、彼があの使い魔の主か。
男に気づかれることを恐れた球体は、さらに奥深くへと退いた。そのため、彼が数日前に自分をレイカの体から追い出した人物だということに気づくことができなかった。
数秒後、球体はそっと外を覗くと、そこには男の背中だけが見えた。その正体を知らぬまま、球体は慎重に彼の後をつけ始めた。
だが突然、男の奇妙な行動に気づいて、球体は足を止めた。彼の動きから察するに、何かを探しているようだった。
――この暗い洞窟で、いったい何を探している…?
そう考えながら、球体は再び彼の後を追い続けた。そして洞窟の最深部に辿り着いたとき、男の視線が前方の結晶に注がれた。
「これが……ヴェイリルが言っていた結晶か。」
その瞬間、球体は彼の本当の目的に気づいた。
「つまり、彼はルミナイトを奪いにここへ来たのか!」
驚いた、その球体は近づいてきた。しかし、それが彼に近づくにつれて、彼が何かを感じ取ったかのように微妙に反応するのに気づいた。
球体はすぐに大きな岩の後ろに隠れ、完全に静止した。
その一方で、ソウルは何かが変だと感じた。彼は少し迷い、何をすべきか分からずに、行動を決めた。ゆっくりと振り返り、周囲を見渡した。
「…解放。」
その瞬間、球体はついに彼を認識した。ソウルが振り返ったとき、球体は彼の顔をはっきりと見ることができた。
あれ…あの日会ったあの少年だ!
しかし、それは遅すぎた。二人の視線がついに交わった。
球体は本能的に逃げようとしたが、それが反応する前に、周囲の世界が変わった。瞬きのうちに、球体はソウルの目の前にテレポートされていた。
「フッ?!」
「お前は誰だ?」
球体はあまりの驚きに反応できなかった。混乱がその中に押し寄せ、言葉を奪った。
ど、どうして…!?
その時、球体は彼の目を見た。
その目には感情がなかった—何もかも。だが、その空っぽさが球体を根底から震えさせた。
その瞬間、ただ一つのことが頭の中で繰り返し響き、何があっても行動を起こさせようとした。
逃げなければ!
球体はできる限り速くソウルから離れた。しかし、驚くべきことに、再び元の位置に引き戻されてしまった。
「何をしている?」とソウルは尋ねた。
球体は彼の質問を無視し、逃げ続けた。しかし、何度逃げても、いつも元の場所に戻ってきた—まるで地面に跳ね返るボールのように。
「ンギィィィ!」
なぜ…なぜ…なぜ…なぜ…なぜ?!どうして、俺は彼から逃げられないんだ?!
必死に自由を求めて、球体は躊躇なくソウルエネルギーをソウルに放った—最後の手段で彼を振り払おうとした。
「グッ?!」
鋭い痛みが球体を襲い、その表面にひびが入った。
これって…ソウル攻撃?!
信じられずに、球体はもう一度ソウル攻撃を放った。しかし、その攻撃がソウルに当たると、代わりに自分の魂の欠片に痛みが走った。
どうしてこんなことが…?!彼がダメージを受けるのではなく、私が傷ついているのか?!
それでも、球体は止まらなかった。何度も何度も攻撃を繰り返し、必死に逃げようとした。毎回の攻撃が魂に新たな痛みを与えたが、それでも球体は諦めなかった。痛みなど何も意味しなかった—何としてでも自由にならなければならなかった。
その攻撃は絶え間なく続き、球体は絶望に駆られた。しかし、苦痛がその存在を引き裂く中、別の感情が浮かび上がった。それは憎しみだった。何世代にもわたる怒りと復讐心がその記憶の中に埋もれていたが、それが前面に押し寄せ、心を飲み込んだ。
「グガァァァァァァ!」
球体は必死にもがき、決して屈しなかった。しかし、何度も自由を求めて試みるうちに、その魂の欠片はもはや保ちきれなくなった。ひび割れは修復不可能なほどに蓄積していた。
私の魂のフラグメント…!




