接点
「あの... もしかして、LoL...やってるんですか...?」
「え...? ろ、ろる?」
ろる?何の話だ…?
ろる... ろる...
突然気になっていた子に話しかけられて困惑している所に朝からの寝不足も加わり、その口から発せられた単語の意味がよく分からない。
ろるってなんだ?
そう言えば覗き見するつもりはなかったともいっていたな。
覗き見、、、。
そういえば俺は今スマホを手に持っていた。
覗き見といえばスマホの画面を見られてしまったのかもしれない。
あれ... 何か変な物画面に出してたかな...
恐る恐るスマホの画面へ目を写し、何が見られたのか確認してみる。
そこに表示されているのは当然、さっき何となく見ていたOP.GGの対戦履歴の画面だった。
OP:GG…
ろる…
となると…?
LoL... まさか... League of Legends!?!?!?
「うえっ...!?はっはい!やってます、けど...?」
そんな...まさか...
「そ、そうなんですね...!」
「...えっと?」
「...あの、私も好きなんですよ、LoL...!」
「そ、そうなんですか!?」
「は、はい...!」
ろ、LoLが好き?
こんなに可愛い子が?
う、嘘だろ…
なんかそれ逆に残念なんだけど、、何だけど、、、
どうしよう…!
驚くあまり言葉が出てこない。
彼女がlolプレイヤー?
しかも見る限りでは彼女はかなり興奮していて、その様子からどうやら相当lolが好きである事が分かる。
「ま、まじかよ...」
日本には殆どいない貴重なLoLのプレイヤーが同じクラスに2人も?
どのぐらいの確率であるんだこんな事。かなり低いに違いない。
「す、すごい、、奇遇ですね」
「は、はい...!私もちょっと...驚いてます...!」
それにしても高校で初めての会話のきっかけがlolだなんて思っても見なかった。
lolの話ができるなら話題には困らなそうだけど、現実でlolの話なんてした事ないからなんて切り出せばいいか分からない。
いや、でも彼女がlolプレイヤーなら少なくとも1つ、伝えたい事がある。
それは俺がダイアモンドである事だ!
上位たった数%視界ない現実では神話クラスの実力者。
上がったのはつい昨日だけど...
でもこれを教えれば、彼女はかなりビビるだろう。そして俺の事を慕ってくれるかもしれない。
俺のレート、是非言いたい!
「いやぁ、えっとぉ...」
でもどうやって教えよう。
「俺ダイア何ですよ!」っていきなり言うのもそんなに悪くないけど、ちょっとキモイか?
OPGGのプロフィールをチラ見せ... いや、もっとキモイな。
〜「俺のランク? まあ、ダイアだけど…」
そんな感じでクールに言えるのがベスト。
しかしどうやってその流れにするか...
って言うかまさか彼女もダイアってことはないよな。
「あの…これから宜しくお願いしますね…!」
俺が色々頭の中で考えているところで彼女はそう言って来た。
今どこにいるかなんてもはや失念していた俺はその言葉の意味が分からなかった。
なんだ突然「よろしくお願いします」って、まさか、一緒にDuoをしようって事か!?
「よ、よろしくお願いします...!?」
「ああ、あの…席が近い者同士…」
俺が少し困惑しているのを見ると説明が足りないと思ったのか少女は一言付け加えてくれた。
ああ、そうだった、そうだよね、これから高校生活が始まるんだもんね、忘れていた。
「こ、こちらこそよろしく...」
ちょっと恥ずかしい気持ちになりながらも挨拶を返す。
会話は取り敢えずここで終わり、俺は前に向き直った。
それにしてもまさか芸能人レベルで可愛い後ろの席の子と趣味が同じなんて。
ドキドキとした高揚感が胸の中で膨らんでいく。
俺の高校生活、何か始まってしまったか?
「はーい、皆さん静かにしてくださーい!」
さっきの若い先生がこれから生徒に配る大量のテキストを教室の中に運び終えたところで教卓に立って話を始めた。
「このクラスの担任になった佐倉ゆみです。宜しくおねがいしまーす!」
女の先生はやはり担任だったようだ。
パチパチパチパチ!
優しそうな担任の先生が当てられてみんな嬉しそうに拍手する。
男子も女子もニコニコとしながら拍手している。
優しそうな先生が担任で、普通だったら俺もかなり喜ぶところだが、もっとすごい事が起こった直後となった今では、その嬉しさは些細なことに感じられた。