↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
3章 逆襲編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/816

第3章ー18

 「はっはっはっはっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」


 狂気じみた笑いが戦場を揺らす。


 勇者とダークボルトの一騎打ち。始まってまだ一分も経っていない。それにもかかわらず、目の前で繰り広げられるのは――常識を完全に逸脱した戦いだった。


 剣と槍がぶつかり合う音だけが響く。だが肝心の“動き”が見えない。視界に映るのは、残像と衝撃波だけ。ほぼ零距離で応酬される超高速の攻防。互いの反応速度は、人の域を遥かに超えている。


 「へっ……これじゃ埒が明かねぇな」


 ダークボルトが不意に距離を取った。今のままでは決着がつかない――そう判断したのだろう。


 「こっからは魔法ありでいかせてもらうぜぇぇぇぇぇッ!!!」


 再び、黒い雷のオーラが噴き上がる。しかし先ほどまでの威嚇とは違う。これは――発動の前兆。


 「【疾風迅雷・黒死《こくし》】!」


 詠唱と同時に、ダークボルトの姿が消えた。


 疾風迅雷――風と雷のごとき速さ。消えたのではない。“見えなくなるほど速くなった”だけだ。


 「おらぁぁッ!!」


 「つっ!?」


 次の瞬間、黒雷を纏った槍が勇者の側面へ突き込まれる。右ではない。剣を握る利き腕の逆――左脇腹。防御が一瞬遅れ、槍先が肉を掠めた。


 「へっ。俺の本気の速度の前じゃ、その魔力感知も役に立たねぇみてぇだなぁ」


 ダークボルトは勝ち誇る。確かに勇者は、完全には対応しきれていなかった。


 「……勇者さん……」


 ミオが不安げに名を呼ぶ。軽傷――だが、この領域の戦いでは致命に等しい一撃。


 「ふっ」


 勇者は、笑った。


 「んん?」


 「どうしたぁ? 絶望しすぎて頭がイカれちまったかぁ?」


 嘲るダークボルト。しかし勇者の表情は崩れない。むしろ余裕すら漂っている。


 「いや。かすり傷程度で得意になっているのが、少し滑稽でな」


 「あ゛あ゛っ?」


 立場が反転する。怒気がダークボルトの全身を焦がす。


 「もう一度来い。今度は――確実に反応してやる」


 「……んだとぉ?」


 ダークボルトは再び距離を取る。次は殺す――そう言わんばかりの構え。


 「お望み通りだぁ! 今度はてめぇの身体を内臓ごと串刺しにしてやる!! 【疾風迅雷・黒死】ッ!!」


 黒雷が爆ぜ、姿が掻き消える。


 また見えない。魔力感知すら追いつかない超加速。


 ――だが。


 「……上か」


 「ッ!?」


 勇者は微動だにせず、呟いた。


 次の瞬間。


 頭上から振り下ろされる紅天画撃。ダークボルトは空から突き刺そうとしていた。


 だが――


 「くうっ!?」


 勇者の剣が正確にそれを受け止める。火花が散り、衝撃波が地を割った。


 「言ったはずだ。今度はきっちり反応してやると」


 剣を押し返しながら、勇者は静かに笑う。


 ――戦局は、完全に逆転し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。