表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
3章 逆襲編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/752

第3章ー9

 「『作戦会議は終わりましたか?』」


 自分がミオへ策を伝え終えた時、エイシャはすでに魔法を放てる体勢でこちらを見据えていた。

 余裕そのものの態度。――当然だ。純粋な実力差だけを見れば、こちらが勝っている要素など皆無に等しい。


 奴にとって自分たちは、逃げ回る兎程度の存在なのだろう。


 だが――その慢心こそが、こちらの唯一の勝機。


 見せてやる。

 舐めた兎が、牙を持っていることを。


 「いくぞ、ミオ!」


 「うん!」


 背後で自分にしがみつくミオへ合図を送る。

 同時に、彼女の周囲から渦巻く風が発生し、自分たちを包み込んだ。集中しているせいか、抱きつく腕の力が強まり、肋が軋む。しかし今は気にしていられない。


 「『黒影ダーシャ……』」


 詠唱が始まる。

 それを見た瞬間、自分は脚へ魔力を叩き込み――


 「はあっ!!」


 脱兎跳躍ラジャスト

 地面を蹴り抜くようにして、真上へ跳び上がる。


 「ううっ!!」


 直後、ミオの風魔法が解放され、暴風が背中を押す。

 自分たちは夜空へと射出されるように上昇し、空気抵抗が肌を切り裂く。


 ――速い。想定以上だ。


 「『多槍メニスピア!』」


 「ッ!?」


 エイシャの声と共に、黒い槍が空を裂いて現れる。

 しかも正面だけではない。背後、真下――影の中から無数に湧き出していた。


 気づくのが一瞬遅れていれば、背中から貫かれていた。


 「『なるほど。上へ逃げましたか』」


 エイシャの影魔法は、地面を媒介に発動する性質が強い。

 不意打ち、死角攻撃、魔力感知のすり抜け――厄介極まりない。


 父はそれを読み切って戦っていた。

 だが、今の自分に同じ芸当はできない。


 ならば発想を変える。

 地面を捨て、空へ逃げる。


 空中なら、影は「見てから」対処できる。


 「『しかし、上へ逃げたところで――この数を避けきれますか?』」


 「くっ……!」


 問題はそこだ。

 黒い槍は執拗に追尾してくる。射程は不明。高度はすでに十階建ての建物を超えているはずだが、それでも追ってくる。


 これ以上上へ逃げれば、寒さと酸素の薄さで自滅する。

 ――ここで決めるしかない。


 「業火の炎よ。鉄より硬き剣となり、我が元に顕現せよ――

 【業火剣ヘルファード】」


 詠唱と共に、灼熱の剣が掌に現れる。


 「ミオ、解除!」


 「う、うん!」


 風魔法が解除され、身体を包んでいた暴風が消える。

 一瞬の浮遊感の後、自分たちは重力に引かれ下降を始めた。


 「……ふぅ」


 息を整え、視線を迫り来る黒槍へ向ける。


 ――ここからは自分の仕事だ。


 空中で槍を捌き、隙を作り、奴へ一撃を叩き込む。


 夜空の中、無数の黒い槍が自分たちへ殺到してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ