第9章ー74
「…え?」
しかし、彼女の次の発言にさらに困惑させられる自分。驚きすぎて言葉の意味を理解をするのに数秒時間が掛かってしまった。
「拙者達の目的はあやつの撃退。結界で落とし、ソンジ殿達が縄を使ってあやつの足止めをしてくれておる。即ち、攻めるなら今が好機とは思わぬか?」
「ッ!? そうか」
どうやらマヒロは自分達の動くタイミングを伺っていたようだ。それに対して自分はハッとさせられていた。マヒロのやつ、自分なんかよりもずっと理解が早くて判断力も高い。その発想は自分の頭の中から抜け落ちていた。
そうだ。この作戦がうまくいくなんて初めから思っちゃいない。むしろイチかバチかの賭け、無謀にも近いような作戦だ。失敗する可能性は充分あった。それを理解したうえで決行したのも事実。
失敗したのなら次の作戦に移ればいいだけの話。今、ソンジさんとギリスケが必死にやつを抑えてる。けど、それも時間の問題。いつロープが切れてもおかしくないし、これ以上ロープでやつを引きずりおろすのも不可能に近いだろう。
となれば、自分とマヒロでやつを地面に叩き落す。そうするほかあるまい。
「けど、マヒロの水龍じゃやつに届いても傷一つつかないし、俺もあそこまで飛べる魔法なんて…」
しかし、問題は七十メートルほど上空のやつにどうやって辿り着くかだ。もともとやつを地上に落としてから倒すという目的のもと、この作戦を決行することになったのだ。
マヒロの水龍があれば多分届くのかもしれない。ただ、そのあと彼女がどうやってやつを地上に落とすのか。水龍の刃は通らないのはさっきの攻撃で経験済みだ。赤鬼も効果はいまいちだった。やつに乗ってひたすら攻撃するという考えもあるにはあるだろうが、その前にやつがロープを解いて振り落とそうとするだろう。
となると、なるべく一撃で決めたいところ。せめてフィーの魔法圏内に入れば、そこから更に追い打ちを掛ければまだ可能性はある。
「そこも問題ござらんよ」
「?」
だが、マヒロには策があるようだ。一体どうする気なのだろうか。今のところ皆目見当がつかない。
「…抜刀、【赤鬼】」
彼女がどう出るのか暫し様子を見ようとしていると、彼女はどういうわけか静かに魔妖を抜き、赤鬼を発動させる。艶のある緋色の髪をなびかせ、燃えるような紅い瞳には高揚感を漂わせている。凄いやる気を感じさせてはいるが、ここからどうするつもりだ?
「サダメ。拙者が貴殿をあやつのところまで送り届ける」




