第9章ー69
「…は?」
ソンジさんの発言に皆、耳を疑った。今、『どんなお願いでも』って言いましたかね、この人。
「ちょちょちょっ!?」
言葉の意味を一瞬考えた後、慌てて彼女に詰め寄る自分。今の発言は少々マズイ気がすると思ったからだ。
「ソンジさん。今の発言の意味、分かって言ってます?」
なるべくギリスケに聞こえないよう耳元で発言の意図を聞き出そうと小声で問いかける。よく『なんでも言う事聞きますから』とは聞くけど、『どんなお願いでも』と言われると余計言葉に含みを感じてしまう。
「ああ。分かってるよ。彼にやる気を出させるためにはこれぐらいしないと」
「なっ!?」
しかし、それも彼女は承知の上での発言だそうだ。ギリスケにやる気を出させるためとはいえ、いくらなんでも覚悟を決めすぎてるぞこの人。
「本当にいいんですか? あいつ、絶対エロいこと要求しますよ? なんならそっちの方でやる気満々になると思うんですけど」
一応念押しで確認しようと質問の意味を明確にする自分。ギリスケのことだ。奴は絶対この権利をエロいことに使うつもりだろう。下手したらマジでする気だろうな。
ふと奴の顔を見てみると、案の定目をギンギンにさせて彼女を見てやがる。あいつ絶対エロい妄想してるな。だが皮肉なことに、それが現実味を帯び始めている。だから彼女にさっきの発言の撤回を要求しようとしているのだ。このままでは彼女の貞操の危機でもあるし。
「…うん。覚悟はできてるさ。けど~、そのまえに~、キミがワタシの初めてをもらってくれるとウレシーんだけどな~?!」
「いや、ふざけてる場合じゃないでしょ。それに、それだとあんま変わんないでしょ?」
「…さらっと厳しいこと言うよね、君って」
しかし、彼女の意思は変わらない様子だが、急にいつもの悪ふざけモードに入り、甘い声ととろんとした上目づかいで自分を誘惑してくる。どうやら彼女はあまりその辺の危機感は感じていないようだ。なんかまじめに話してる自分が馬鹿馬鹿しく思えてくる。人が心配しているというのにふざけないで欲しいものだ。仮に自分が彼女の初めてをもらったとして、それはギリスケとするのとなんら変わらんと思う。
「まっ。なるようになるさ。今は彼の力がどうしても必要なんだ。私の貞操で皆のピンチを救えるなら安いもんだよ」
「…」
結局、彼女の提案は変わらず、どんなお願いでも一つだけ聞く事を条件にギリスケの協力を得る事となった。本当に大丈夫なのだろうか。




