第9章ー68
「そうだギリスケ君。頼めるのは現状君しかいないんだ」
「え? え?? えー???」
ギリスケを指差し、一方のギリスケは戸惑いの顔を隠せずにいる。そりゃあ自分が選ばれるとは思ってなかっただろうな。
しかし、今頼れるのはギリスケ以外にいない。ソンジさんが片方担うとして、ミオも動けないし、フィーも後を控えている以上そっちに集中することはできない。消去法でいくなら必然とそうなってしまう。
「いやいやいや!? 無理無理無理!! 俺があそこまで行くなんてとてもじゃないが出来っこねーよ。自慢じゃないが、運動神経はよくて中の下なんだぜ!?」
「うん。それは知ってる」
「知ってるんかい!?」
いきなり指名されて困惑しているのか、ギリスケは身振り手振りでソンジさんの提案を断ろうとしていた。まあ、急に言われても厳しいだろうな。
ギリスケは決して運動神経が高いわけじゃないし、魔法もロクに使ってるところを見たことがない。ぶっちゃけこの男、なにが出来てなにができないのかいまだに把握できておらず、どう扱ったらいいのかわからん部分が多い。任務中もすぐ寝たりうまいことサボったりするし。
そんな男に白羽の矢が立っていて皆も終始困惑していた。選択肢がない以上、動いてもらわないと困るけど、本人が無理だと言っている以上、どう説得していいのかわからん。
『こういうときいつも「俺に任せとけよな子猫ちゃんたち。俺が華麗に皆を助けてやるぜ」みたいなこと言うくせに?』
「フィーちゃんは俺のことそんな風に見えてんの?」
「いや、実際それっぽいこと言ってるだろおまえ」
フィーが似てないギリスケのモノマネを見せると、なぜか余計にダメージを負うギリスケ。若干盛り過ぎな部分もあるが、あながち彼女のイメージは間違ってはいないような気がする。こいつなら言いそうだが、状況が状況なだけあって流石のギリスケもいつものおふざけするほど心の余裕はなさそうだ。
「いやいやいや!? ホント無理なんだって俺なんかじゃあ! 誰か代わってくれよー?!」
「代わってって言われても、ソンジさんもここで指示出しする必要あるし、俺とマヒロは二人で行動しないといけない。ミオも動けないしフィーもここでソンジさんとタイミング合わせるからってなるとお前以外に動ける人は…」
嫌がるギリスケをなんとか説得しようとするが困ったものだ。せっかくミオが覚悟を見せたというのに、どうしたものだろうか。
「…仕方ない」
「ソンジさん?」
そのとき、ソンジさんがなにか言いたそうな顔をしていた。もしかしてなにか秘策でもあるのだろうか。
「この作戦に協力してくれたら、一つだけ『どんなお願いでも聞いて』あげようじゃないか!!」




