第9章ー63
「う、ウソだろ? まさか、さっきの攻撃で?」
あまりの恐ろしい光景に皆も絶句している。ギリスケの口もかなり震えていた。たった一発の攻撃で洞穴が完成してしまったのだ。よく見ると、自分達が守られた箇所以外の地面は抉られるように削れていた。穴の規模からして、上の洞穴と同じくらいのサイズだ。もしかして、この空洞はやつが逃げ道に作った場所ということか。
「…あれほどの威力の攻撃、もう一度きたら防ぎきれないぞ。ミオ君の魔力や体力だって今のでかなり削られたようだし」
唖然としながらも少しずつ冷静さを取り戻すソンジさん。だが、その発言には焦りを感じる。彼女の言う通り、あれをもう一発防ぐ余裕なんてこっちにはない。ましてやミオだって…
「がはっ!?」
「ッ!? ミオ?!」
などと思っていた矢先、ミオの様子が急変。膝から崩れ落ち、苦しそうに咳をしていた。さっきので魔力を一気に消費して身体に無理が生じたのだろう。今の彼女にこれ以上魔法使わせるのは非常に危険だ。少し休ませなければ。しかし、
「くっそ! あいつ、俺たちのこと見下ろしてやがる。降りてきやがれこんちくしょー!!」
今は休んでいる場合ではない。銀鏡の翼龍は未だに上空でこちらの様子を見ている。ギリスケが全身動かして罵倒するが、当然やつは降りてくる気配はない。このまま自分達を追い詰めるつもりだろうか。流石に連発はこなさそうではあるが。
だが、それも時間の問題。時間が経てば必ずやつはさっきの一撃を撃ってくる。ミオも動けそうにないし、タイムリミットは刻一刻と迫ってきている。どうする。
「おのれ。ならば拙者がその翼を斬り落として…」
「待つんだマヒロ君!? 空中戦じゃあ私達に勝ち目はない!」
「安心せよソンジ殿。空中戦ならば拙者も一度は制しておる。なんとかなろう」
『いや、あれは向こうのミスがあったからであって、また同じように上手くいくとは限らないよ』
「では、どうするのでござる? サダメ、なにか良い策はござらぬか?」
「…」
マヒロも焦っているようで、期末試験のように空中戦に臨もうと動こうとするが、ソンジさんとフィーに止められていた。フィーの言う通り、あれは建物があったり向こうのミスで事がうまくいっただけだ。ここには壁はあるものの、それを使って登ったとしてもやつが反対側に行けば届かない可能性が高い。向こうが同じミスをしてくれるとも限らないし、得策ではない。
「…どうにかして、やつを地上に落とす、いや、近づけさせれば…」




