第9章ー50
「うおっ!?」
「くっ!? なに…この音?!」
「音、というより遠吠えだね。にしてもデカすぎる!?」
『なんか地面まで揺れてるし!? どうなってんのこれ?!』
「わからぬ!? けど、間違いござらん。下から何か、くるでござるよ!」
下から聞こえる破壊音と遠吠えが大きくなっていき、その音が耳がつんざけそうなほどまで近づいて来ていた。
それと同時にドンッ、ドンッと激しく地面が揺れ始める。揺れているというより思いっきり叩かれているに近い気がする。
「こ、このままじゃマズイ。ミオ君、早く飛ぶんだ!」
「ッ!? は、はい!?」
流石に危険だと感じたソンジさんは急いでミオに脱出するよう促す。それを聞いたミオはハッとなって至急魔法を展開しようと両手を地面に向けて伸ばす。
「運べ上風よ、【風足の運び屋】!」
ミオが魔法を唱えると、自分達を囲った風は自分達を乗せて浮上していく。
「急げ!!」
空洞へと向かっていく中、焦るあまりソンジさんが大声を上げる。言葉が強くなるのも無理はない。鬼気迫っている状況では平常心も失ってしまう。
今、『なにか』が物凄い勢いで迫って来ている。その『なにか』が近づいてくる前に一秒でも早く上に向かわなければ。
もし、その『なにか』と接触してしまったら…
「…ん?」
下の様子を見ながら嫌な想像を抱いていると、チラッと光が点滅するのが見えたような気がした。位置的に見てどうやらマヒロが刺した切れ目からなにか光が漏れ出ていたようだ。
光が漏れ出る? 『なにか』が何かしようとしているのか? 一体何を?
「ッ!? まさか!?」
光った理由を考えていると、とんでもない結論に至る。マズい。この光は…
「駄目だ!! 避けろミオ!!!」
「えっ!?」
嫌な予感がし、急いでミオに浮上を中断させ、回避しろと促した。ミオもいきなりのことで困惑の表情を浮かべていた。
「何言ってんだサダメ!? もう少しで穴に入れる…」
自分の急な指示にギリスケが反論。脱出口までもう少し。だが、そこに入ったが最後、
「攻撃がくる!! 急いで回避しろ!!!」
などと思いながら必死にミオを説得していた矢先、さっきの点滅していた光が一気に地面を明るく照らす。
そして次の瞬間、氷の地面がど真ん中から大きく割れ、青白い巨大な光が空洞目掛けて飛んでくる。
「避けろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
自分の叫び声とほぼ同時に青白い光は柱のような直線を描き、そのまま空洞を通過していくのだった。




