第9章ー46
「うーん。もうこれ以上いい案は出ないか。しょうがない。本当は君の負担を考えると使いたくはなかったんだが、最終手段でいく。申し訳ないけど頼んだよ、ミオ君」
それからしばらく色んな脱出方法を考えてみるものの結局いい案は出て来ず、とうとうソンジさんは最終手段であるミオの風魔法で落ちてきた空洞から上に戻る判断を取った。これ以上考えていても埒が明かないと理解してしまったのだろう。こればっかりは仕方あるまい。ここから皆で脱出するには彼女の魔法以外頼りになる者がいないのだから。
「分かりました。今すぐ準備するんで、皆近くに集まってもらっていいですか?」
ミオもそれを承諾。少しでも魔力の消費を抑えるためか、皆を一か所に集まるよう促してきた。それでどれだけ変わるか知らないが、何もしないよりかは幾分かマシにはなるか。
『…』
「? フィー殿? どうかしたのでござるか?」
言われた通りに皆がミオの周囲に集まり出すなか、フィーだけは少し離れた場所で棒立ちのまま自分達が落ちてきた空洞をボーっと見上げていた。それにいち早く気づいたマヒロが声を掛けるも、全く動く気配がない。急に体調が悪くなったというわけでもなく、なにか考え事をしている様子。
「フィーちゃん?! どうしたのー?! 早く行くよー!?」
『んー?』
ミオが大声で呼び掛けるも、上を見上げて首を傾げるだけ。彼女は一体なにを考えているのだろうか。自分には全く見当がつかなかった。
「フィー君。何か気になることでもあるのかい?」
彼女の行動を不審に思いつつ、今度はソンジさんが問いかける。彼女がここまで考え事をするのはかなり珍しい気がする。しかもこの状況でだ。彼女にとってよっぽど気になることでもあったのだろうか。
『…いやー、今さら気にするほどのことじゃないかなーとも思ったんですけど、一度気になってからなんかずーっと気になっちゃってて』
「?????」
しかし、ソンジさんの問いかけに意味深な返し方をするフィー。大したことはないというものの棒立ちして考え込んでしまう彼女の行動にますます疑問に感じ、今度は自分達の方が首を傾げていた。そういう割には随分もったいぶるなとは内心思いつつ、何も言わずに話の続きを聞き届けることにした。
『ここだけなんで魔物が生まれないんだろーって』
彼女の何気ない疑問に自分達はハッと気づかされる。そして、それがとんでもない事実だというのはもう少し後になって知ることとなる。




