第9章ー45
「のお、サダメ。やはり新たな道を開拓するわけにはいかぬのか?」
自分達が困り果てているなか、マヒロがさっきの案を再び提案してくる。この際それでもいいんじゃないかとも思ったが、色々問題があって簡単には頷けなかった。
「駄目に決まってるだろ。ここがどの辺りかも分からないからどこに道が繋がるかも分からないし、今までの階層よりも更に地下なら永遠に掘っても意味がない。もし繋がったとしても一番の問題が…」
「地盤沈下、ですよね?」
「そう」
「じばんちんか?」
マヒロから自分への問いかけを代わりに答えてくれるソンジさん。彼女の言う通りだ。まず、ここがどの辺の位置にあるか分からない以上、本来の道に戻るかどうかかなり怪しい。どれだけの深さに落ちたかも分からないし、下手すれば地図に書いてある所よりも更に深い場所にある可能性も充分ある。そうなればいくら掘ったところで無駄骨に終わる。それどころか、体力と時間を無駄に消費して本格的に詰みになる。
そもそもの話、一番の問題は地盤沈下にある。計画性のないトンネルを掘るとなると一番気にしなければならない問題だ。マヒロはよく分かっていないようだが。
「それならダンボールで説明しようか。もしダンボールの中身が…」
「だんぼーる、とはなんでござる?」
「…そういやこの世界、木箱が主流だったわ。いい例え話思いついたと思ったのに」
「?」
「…」
彼女に分かり易く例え話をしようとするソンジさんだったが、不幸なことにダンボールという概念はまだ存在していなかった。ここにきてまた世界観のギャップが立ちふさがってくるとはな。ジェネレーションギャップならぬワールドギャップだな。いや、普通にカルチャーショックと言った方がいいのか。
「よ、要するにこれ以上下手に穴を開けたら上が崩れて大変なことになりかねないってこと。お分かり?」
「う、うむ。なんとなくは理解したような気は? するでござる」
「うん。今はそれでよろしい」
せっかく思いついた例え話がおじゃんになったソンジさんは一言で要約しマヒロを納得させていた。彼女もソンジさんの言いたいことをなんとなく理解したようでソンジさんもとりあえず一安心。あまり悠長に解説している時間もないし、今は新しい道を作るという危険性さえ理解できれば充分だろう。
「して、これからどうするのでござる。穴が掘れぬ以上、来た道に戻らねばならぬのだろう? ミオだけでは負担も多かろう。拙者の水龍も使うでござるか?」
「…いや、それせいぜい二人乗りでしょ。しかもそれで上目指すってなると、乗る方は色々不安でしかないと思うんだけど」
「おろ?」
道の開拓を諦めたマヒロだったが、代案として水龍を使って上に昇ることを提案する。が、それも残念ながら却下される。まあ、当然といえば当然だと思うが。




