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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
2章 脱出編
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第2章ー⑳

 「はあ…はあ…」


 村の中央付近で大きな爆発音のような音と火煙が上がっていた。多分サダメが動いたんだと思う。魔物達もその音と火煙がする方に向かっている。行くなら今がチャンス。


 私はサダメの指示通りあの結界を解除するため、魔造種を蓄えている倉庫の方へと向かっていた。魔物の人達にバレないように周りを確認しながら進むせいで道のりが少し長く感じる。


 「おい、なんかあっちで爆発してるみてーだけど、俺達も行った方がいいのかな?」


 「いや、念の為にここら辺にいとけ。もしかしたら奴等がここを通るかもしれん」


 「…」


 爆発で向こうに注目が集まっているものの、持ち場を警戒して動かない人も当然いる。二人とはいえ見つかったら大変。私なんかじゃすぐに捕まって殺されちゃう。作戦を成功させるためには一瞬たりとも油断できない状況だった。






 「…よし。ここは誰もいないみたいね」


 なんとか倉庫の所までたどり着いた。幸いにもこの付近には魔物の人達はおらず、なんなく倉庫に侵入することに成功。


 「んっ!?」


 しかし、倉庫に入るや否や気分が悪くなってきた。相変わらずものすごい魔力の圧。こんな所に普通に長居したら吐きそうになる。この付近の警備が薄くなる理由もなんとなくわかる気がする。


 「風の精よ。うちを汚す邪気からわが身を御守りください。【風来の加護(ウィンテクション)】」


 このままではマズいと思った私は、魔力酔いを抑える魔法を唱えた。これで吐く心配はない…かもしれない。これだけ禍々しい魔力が漂っているといつまで持つかわからないからなるべく早めに見つたい。


 「さて、どこにあるかなー?」


 そう思った私は早速倉庫内を探索することにした。





 「んー、暗くてよく見づらいなー」


 しかし、探索して間もなくして、想像以上に難航しそうな気配がしてきた。主な原因の一つとして、倉庫内の暗さが上がった元々薄暗い所だけど、夜というのも合わさって視界がほぼ真っ暗。


 「きゃっ?!」


 暗すぎるあまり足元すらおぼつかず、魔造種の入った箱にどうしてもぶつかっちゃう。今も箱の角に足が引っかかって転びそうになった。


 「うぅ、もういやぁ」


 あまりにも箱にぶつかってちょっと嫌気が差してきた。いちおうサダメがくすねてきたライトを念の為に持たせて貰ったものの、明かりを点けて魔物の人達にバレてしまったら作戦の成功率をぐんっと下げてしまう。あくまでこれは見つかったときの目くらまし用に置いておかないと。


 「でも、どうしよう。この暗さじゃ儀式に使った魔法陣なんて見つけられっこないし」


 けど、この暗すぎる部屋で魔法陣を探すのは非常に困難。手探り状態で探してはいるものの、魔法陣がどういうものなのかも具体的にわからないし、見て判別がつくのかどうかも不安になってきた。


 「…急がないと。サダメも一人で頑張ってるし、みんなも一生懸命頑張ってるんだから。私も頑張らないと!」


 しかし、不安になったところでもう時間は戻らない。私が頑張らないと皆の頑張りを無駄にしてしまう。それだけは絶対にイヤ。


 「こうなったら地道に探すしかないわね!?」


 そう思った私は這いつくばりながら舐めるように床を見つめた。地道な作業だけど、現状の最適解がこれぐらいしか思いつかなかった。これでもなんとか床の木目が確認できるぐらいの暗さなのよね。


 「ん~…いたっ!?」


 じっくりかつ素早く床を見回していると、また木箱に頭をぶつけてしまった。もう本当に最悪な気分。


 「あっ」


 それだけでなく、ぶつかった木箱がひっくり返ってしまい、木箱の倒れる音が部屋中に響いた。大きい音を立てるとマズいっていうのに。


 「…アレ?」


 しかし、倒れた木箱に変な違和感を覚えた。この木箱の中には本来大量の魔造種が入っていたはず。だけど、倒れた木箱の中身は空になっていた。


 「…」


 だれかが持っていた可能性もあるけど、なにか違和感を感じる。念の為に他の木箱も調べてみることに。


 「はあっ!」


 とはいえ、魔造種がパンパンに詰まっているはずの木箱を自力で持ち上げる事は出来ない。だけど、私には風魔法がある。風魔法の風を利用し積まれた木箱を一列だけ試しに浮かしてみることにした。


 「ッ?! これは…」


 積まれた木箱を降ろして並べてみると、さらに奇妙な違和感を感じた。

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