第8章ー16
「結局今日は外に決定か」
「しょうがいないよ。今回の件はいい教訓だったって事でプラスに考えよう」
「そうでござるよサダメ。それに、野宿は野宿でいいものでござるよ」
二泊三日の一日目の夜、自分達は人気の少ない砂浜でテントを設営し終えた所だった。昼飯を食べ終えた後も数件探していたがどこもかしかも満室。満室じゃない所もあるにはあったが、男女六人ともなると部屋が別々である必要があったし人数もそこそこ多い為、いい条件の宿が見つからず、今晩は野宿となった。
この村の宿は結構な数はあるものの、基本二人部屋が多く、大人数の部屋は当然値段も張るから自分達の金銭では一泊泊まるのも勇気がいる。帰りの事も考えるとここで金欠は困るしな。
そんなこんなで日が暮れる前にテントは立てておきたいと思い、貸し出ししてくれるお店から二つ程借りて現在に至る。人生初のキャンプ用テントの設営で少々苦戦を強いられたものの、日が落ちる前に立てられてほんとよかった。これもソンジさんが経験者だったのが幸いだったな。意外とアウトドアとか嗜むタイプだったとは知らなかった。実は前世ではパリピな陽キャだったりするのかな。
「みんなー、食材買ってきたよー!」
『はあ…はあ…。お、重い』
「ミオ、フィー。おかえり」
自分が下らない事を考えていると、夕飯の買い出しに行っていたミオとフィーが帰って来た。自分達がテント設営に勤しんでいる間に前もっておつかいを頼んでいたのだ。昼飯の時とは違い、食材が多めだからフィーが息を切らしながらやっとのことで持って来てくれたようだ。テント立てるには人手と力が必要だったから致し方ないとはいえ、申し訳ないことさせたな。
「二人共おつかれさん。買い物多めに頼んじゃってごめんね」
「別にそれはいいんですけど、これだけの食材買って何するんです?」
ソンジさんが自分達に代わって謝罪してくれた。それに対しては特に気にしているようではなかったミオだが、大量の食材を見てふと疑問をぶつけてきた。そういえばミオも知らないんだっけか。
買って来た食材を確認すると、魚は勿論野菜に肉、パンまで買ってきてくれたようだ。紙袋が破けそうな程の量を三つも買ってるんだ。そりゃあ重い訳だ。
「ふっふっふー! キャンプといえばバーベキューは鉄板だからね。この際だから食事も楽しまないとね!」
「は、はあ」
ミオの疑問に声高らかに答えるソンジさん。どことなくソンジさんの鼻が伸びているように見える。実はバーベキューするの楽しみだったのかな。
その後、自分達はひたすらバーベキューを堪能するのだった。




