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転生勇者が死ぬまで10000日  作者: 慶名 安
7章 期末試験編
289/496

第7章ー㉔

 「ピエ――――――――!?」


 「くっ!?」


 魔妖はたしかに大鷹の腹に突き刺さった。しかし、深くまでは刺さらず、大鷹が致命傷を避けようと上空に飛ぶと、刀はスッポリ抜けてしもうた。しまった。これでは傷が浅い。地上に落とすには足りぬでござる。


 「ピエ――――――――!!!」


 「…」


 上空に逃げて行く大鷹。折角掴みかけた好機が逃げていく。これ以上上に行かれては手が届かぬ。一体どうすれば…


 「ッ!?」


 よいかと策を巡らせようとした刹那、師範の言葉を思い出した。拙者に剣術を教えてくれた師範が言っていた。攻撃魔法でも応用方法はいくらでもある。使い方次第でこの刀でも空を飛ぶ事も可能である。故に、何事も一度は試してみるがよいと。


 空を飛ぶ、今拙者が必要としているもの。それをこの刀で?


 今居る建物以上に高い所はござらん。脱兎跳躍を駆使したとしても恐らくあやつの元には届かぬ。なら、それに魔妖の能力を足したならばどうであろう?


 魔妖に付与された能力は七種類。どれも飛行能力は有していないが、強いてこの中から飛べる可能性がある能力といえば…


 「…これでござるな」


 一つだけ。正直不安要素はあるが、試してみるしかないでござる。


 「…ふぅ。いくでござるよ」


 一度深呼吸をしてから体勢を整える。刀を収め、準備は整った。一か八かではござるが、やってみせるでござる。


 「ふっ!」


 崩れかける足場を飛び、上に散乱する建物の瓦礫達を伝って行く。少しでも距離を稼ぐ為のせめてもの抵抗。しかし、これも飛距離を伸ばす為には重要な事。決して馬鹿には出来ぬ。


 「よし、今でござる!」


 最後の瓦礫に飛び乗り、脱兎跳躍を行使。瓦礫を砕く程の勢いで蹴飛ばした。これだけでは到底足りぬ。だからこそ、この技で飛距離を更に上げる。


 「抜刀! 鎌鼬!!」


 宙に浮いた拙者は刀を抜き、地面に向かっていつも以上に力強く鎌鼬の斬撃を放つ。


 鎌鼬は風の斬撃を放つ、いわゆる風魔法の部類に入る。ならば、斬撃の風圧で飛ぶ事も可能なのではと思いついたのでござる。


 「ふんぬっ!」


 「ッ?!」


 力加減が良かったのか策は思いの外上手くいき、斬撃の風圧で上昇する事に成功。それに気づいた大鷹は下を見て再び驚愕の表情を浮かべていた。まさかここまで追いかけて来ようとは思わなかったでござろう。


 「ピエ――――――――!!!」


 「ぐっ!? 今度こそ、逃がさぬでござるよ!」


 しかし、大鷹は更に上空に逃げようとしておる。速度は圧倒的に向こうが上。追い付くならここしかござらん。次こそ捉えてみせるでござる。

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