第6章ー⑩
「でも先生、殺しに来る相手を無力化するっていっても、今の私達じゃあとても…」
「ああ、そうだろうな。だから今回、こんなものを持ってきましたー」
賊と接敵した場合による対応を不安に感じていたミオが先生に助言を求めようとしていた。すると、先生は教壇の机から何かを取り出した。
「…木刀?」
取り出した物は、ごく普通の木刀。たしかにそれならマヒロの魔剣のように人を斬らずに済むが、それだけでなんとかなるものなのか?
「この木刀は特殊な加工が施されてて、これにちょっと魔力を込めると…」
「ッ!?」
と思っていたが、先生が木刀の柄を握り、魔力を少し流すと木刀からバチバチと電が流れ出て来た。まさかのスタンガン式なのかそれ。
「これなら相手を殺さずに無力化出来る。因みにだが、許容魔力量はあまり多くないから魔力流しまくると壊れちまう可能性がある。だから使う時は相手に触れられそうなタイミングで使え」
「それはいいんだけどさー、俺、剣術なんて習ってないからもっと短めの方がいい気がするんですけどー?」
「残念ながら今はこれしかない。剣に自身がないなら今から素振り一万回すれば多少扱えるようになるだろ」
「いやいやいや、一万回って。今からじゃあそんな回数振れないって…」
「嫌なら俺が直接身体に教え込んでやる。前に出ろ」
「が、がんばりまあぁすぅ」
使い方の説明が終わると、剣術を習っていないギリスケはコンパクトサイズのものを要望するが、どうやら今はこれしかないようだ。ギリスケは先生の圧に負けて引き下がってしまったが、たしかに素人には扱いづらそうではあるな。ミオやフィー辺りもきつそうか。
「まあ、お前が居ればなんとかなるだろ。ほれ、試しに振ってみろ。剣術に長けたお前の意見も聞いておこう」
「う、うむ」
試しに先生はマヒロに木刀を渡し、テストするよう促した。腕の立つ彼女なら扱えて当然だろうが、魔剣とは勝手が違うだろうし、はたして大丈夫なのだろうか。
「ふむ。長さは魔妖より少々長めでござるな。重さもこっちの方がある故、素人では少々手こずるであろうな。現に拙者も鞘のない刀を扱うのは不慣れであるからして、ちゃんとものに出来るのに暫し時間を要するでござる」
「そうか。改善の余地あり。後で開発の者に伝えておこう。今からならギリギリ調整してもらえるかもしれないしな」
「流石に間に合わせてくれねーと困るんですけど」
「こればかりは専門外だ。一応間に合わせて欲しいとは伝えておくが、出来るかどうかは開発者本人次第だな」
彼女は渡された木刀を構え、素直な意見を述べるが、彼女自身も使い心地はよくなさそうだ。剣術において右に出る者が居ない彼女が言うからには間違いないだろう。はたして、任務当日までに完成品が間に合うかどうか。にしても、木刀に雷を発生させるという発想は中々いい案だと思うが、まさかこの武器作ったのって。




