第5章ー㉛
「マートス先輩は…」
「ああ、そういうのいいよ。一学年上って言っても授業には参加してないし。家名だと言いづらいだろ? ソンジでいいよ。それとも、君だけ特別な呼び方で呼んでも…」
「いや、ソンジさんでいいです」
「あ、そう?」
お互い自己紹介を済ませ握手を交わした後、室内へと案内される。冗談混じりの会話をしつつ辺りを見渡す。暗くて中に何があるのかよく分かってはいないが、とりあえず彼女の後についていく。
「授業に参加してないって、どういうことですか?」
後についていきながら、彼女の事について質問を投げる。学園に居る訳だから当然不登校というわけでもないだろうし、何故彼女が授業に参加していないのか純粋に気になってしまった。
「私、こー見えても特待生なんだよねー」
「特待生?」
自分の疑問に対して答えた彼女の回答は意外なものだった。この学園に特待生制度があったとは正直考えもしなかった。名門校なのだからあり得ない話ではないな。
「そ。授業とか諸々免除されてるし、空き教室の一つを私専用の部屋にして貰ってるわけ」
「えっ?! マジですか?!」
しかし、驚くべき事に彼女は授業の免除を受けているだけでなく、学園の一室まで貸りているという好待遇まで受けていた。特待生ってそこまで優遇して貰えるとは驚きだ。
「けど、空き教室なんて貰って何をしてるんです?」
だが、そこで新たな疑問が浮上。空き教室を借りて彼女は何をしているのか気になる。さっきも何か作業しているようだったし、一体ここで何をやっているのだろうか。
「ふふふ、そんなに気になるかい? いいね。君みたいな純粋に興味を持ってくれる子は好きだよ」
「はあ、どうも」
しかし彼女はどことなく勿体ぶるような反応を返して来た。こんなに勿体ぶられると余計気になってしまうのが普通の反応だと思うが。
「いいだろう。特別に見せてあげよう。生徒に見せるのは君が初めてだ」
かと思いきや、彼女は自分に全貌を見せる為、立ち止まってすぐ横のスイッチを押して明かりを点けた。
「んっ」
すると、部屋が一気に明るくなり、暗闇を暫し歩いていた自分は眩しくて思わず目をつぶってしまう。
「サダメ君、目を開けてごらん」
「…」
数秒程経って彼女から目を開けるよう促された自分はゆっくりと瞼を開けた。まだ少し眩しいが問題はなさそう。
「…ッ!? これは…」
目を開けた先には彼女の白衣下着姿と、その後ろにはズラッと並ぶモニター達が視界に入った。




