天空界議-堕天使之再誕-
天界――天空界議にて、崩壊之堕天使の出現から二年……神之天使長は感じた。
堕天使之再誕の予兆を。
「愛心之大天使よ、いつまで下界を放置しておくつもりだ?」
「お言葉ですが、神之天使長様。敬愛之隷兵や聖騎士団を使うにも限界があります。過度な干渉を止めている以上、私の私兵だけでは全ての問題には対処できません」
愛心之大天使によって、人類同士の争いは最小限に留めることができていた。しかし、二年前下界で起きた破滅之降臨による大量殺戮は予期せぬ事態であった。それを起こしている者の存在はもしかすると堕天使以上の脅威になるかもしれない。
既に悠長なことを言っている暇は、天使にはないのである。
「分かっている、だが堕天使之再誕を待ち下界に降りるでは遅すぎる気がしてならんのだ。もう一度、星をリセットする時間はない」
「たった今、待つ必要は無くなりました」
神之天使長の懸念に反応したのは、秩序之大天使であった。
「まさかと思うが――」
「はい、想定した中で最悪の事態でしょう。私の秩序之最適化が完全に効果を消失しました。おそらく、堕天使之再誕が――」
「予兆が実現してしまったか。秩序之大天使、全ての天使を呼べ、堕天使を滅ぼしに行く」
「はい、そのように……」
秩序之大天使は、神之天使長に一礼すると、その場を去り天使を神殿へと招集した。
「神様により創世された天使諸君よ、我らは今、未曾有の危機に直面している。神様は眠りにつき、我らに託してくださった。今こそ、神様がお戻りになるまで、この星を守り抜くのだ!!」
神之天使長がそう宣言すると、堕天使殲滅計画について説明を始めた。
「我が妹、堕天之王が完全に復活していない今、やらねばならない。智慧之大天使は天界の守護を、秩序之大天使は無価値之堕天使を、愛心之大天使は下界を頼む。我は、天使を率いて堕天之王の分裂体を完全に今度こそ消滅させる」
神之天使長は、そう言うと天界から飛び立ち下界へと降りる。
「さて、征くぞ。3000年前の決着を付ける」
かくして、堕天使と天使の全面戦争が幕を開けた。