神之天使長-ミカエル-
はるかどこかの空間――天界の広間に二つの影があった。
「神之天使長様、ご報告があります」
一つは背中から天使の翼が4枚生えた白いドレスを着た長い銀髪の眼鏡をかけた女性――秩序之大天使。
「なんだ、秩序之大天使。我は忙しいんだが……」
もう一つは12枚の羽を持った男性――天軍総帥・神の代理人 神之天使長である。
「神之天使長様、崩壊之天使の現世への顕現を感知いたしました」
「……堕天使之再誕が近づいているのだろうな」
「再度、堕天戦争が起こることを危惧する必要があるでしょう。私の〈秩序之最適化〉による堕天使の封印も、一度再封印の段階へと移行することも考慮したほうがよいと思われます」
「いや、構わん。もう慈悲は与えんつもりだ。封印ではなく消去、我が主 神様の創造物であったから、一度は見逃してしまった。だが、その必要はもうないだろう。愛心之大天使には、反対されるかもしれんがな」
「さようでございますか……」
「そういえば、無価値之堕天使とは、もうよいのか?」
「はい、すでに別れは済んでいます。もし、堕天使之再誕で出会うことがあっても、決して容赦致しません」
「そうか、お主にとっては辛いものであっただろう。すまないな」
「いえ、私の使命は秩序の維持です。神之天使長様には、なんの落ち度もございません。私情を持っていたことこそが、問題だったのです」
「そう責めるな、お主はよくやってくれているではないか。神様が遺した世界をこうして守っている。神様は、我らの可能性にも賭けてくれたのだ。その行動もきっと――」
*
「報告ありがとう、秩序之大天使。神之天使長様はあの計画を遂行なさるのね……」
「智慧之大天使、あなたも心の準備を……」
「ええ、わかっているわ。それに、もう……済んでいるはずだから」
そう言って、秩序之大天使からの報告を聞いた彼女は、寂しそうに呟いた。
「あなたと再開する日も近そうね、知恵之堕天使……」
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