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異天神話 Wall of Fiction  作者: あんず
概念世界
6/10

崩壊之天使

 数億年前、この星を含めた単一星団規模を支配・管理する神の私世界(マイワールド)内で作られた"この星"の管理を任されているのが天使であり、堕天使は3000年前の堕天使生誕之日(フォールンバースデー)時に堕落した天使のことを指す。

 堕天使が生まれたということは、この星の管理機構(システム)が崩壊寸前であるこを示しており、崩壊が進んでいるとはいえ、そんな管理機構(システム)の一端を担っていた元天使の存在(堕天使)が弱いはずがない。


 そして、堕天使の中でも強力な六之堕天使の一翼である崩壊之天使(パラドクス)が、いま僕の敵として立ちはだかっている。



「一気に決めるしかない……天雷滅殺(てんらいめっさつ)!」


崩壊之波デストラクション・ウェーブ


 天雷滅殺(てんらいめっさつ)は、天空から巨大な雷を召喚し、対象に落とす魔法で、その威力は岩石を砕きクレーターを作るほど。だが、その魔法は崩壊の力によって威力を減衰させられ、〈崩壊之波デストラクション・ウェーブ〉で完全に打ち消される。


「っち、もう一発だ」


「無駄なことが分からないの?」


 再びの魔法も崩壊させられるが、気にしない。足場を大きく蹴り上げると、崩壊之天使(パラドクス)へと一直線へと迫る。そして、崩壊之天使(パラドクス)が反応したその瞬間、今度は転移魔法(テレポーテーション)を使い崩壊之天使(パラドクス)の視界から消えるとそのまま背後へと回り込み、そして最大威力の魔法を発動する。


神殺之雷(メギド)!」


 先ほどとは比べ物にならない赤い稲妻を生み出しながら、ゼロ距離で、無数の稲妻が崩壊之天使(パラドクス)を襲う。


「〈次元崩壊之波デスト・ディメンション・ウェーブ〉」


 だが、神殺之雷(メギド)も彼女の身体に触れた瞬間消滅してしまう。


「これも、だめか」


「つまらない攻撃だわ」


 ……さて、どうするか。崩壊に対する耐性がないと〈崩壊之波デストラクション・ウェーブ〉で攻撃は崩壊する。物体化する攻撃が、通用しないとわかった以上、攻撃は無意味だ。なら……。


「ユリア」


 僕はそう呼びかけると、彼女の手を取りこう言った。


「君の持つその-能之貿心(スキルレート)-で僕のスキルを限界まで削ってくれ。あとは、それで得たスキルポイントで――」


「……わかったわ」


 そうして、ユリアは聖遺物-能之貿心(スキルレート)-で僕のスキルを削り始める。


崩壊之天使(パラドクス)、お前ら堕天使はまだ力を取り戻しちゃいないだろ?」


「……それがどうかしたというの?」


 堕天使は一度、堕天之王(ルシファー)率いる堕軍として神之天使長(ミカエル)率いる天軍と戦い――天界大戦争に敗れている。その戦争で生き残ったのは、堕天之王(ルシファー)の分裂体の2翼と、崩壊之天使(パラドクス)を含めた4翼の計6翼の堕天使のみであり、生き残ったそれらの存在も秩序之大天使(ガブリエル)が生きている限り力を完全に扱うことはできない。

 だから、崩壊の力の根源、スキル〈崩壊之憂国デストラクション・パトリオ〉を完全な状態で使うことはできないはずだ。


「簡単なことだ、管理機構(システム)の存在と言えども無敵ではない。確かに無類の強さを持っていることは事実だが、その力も今は封印されている。となれば、〈崩壊之憂国デストラクション・パトリオ〉の力も完全ではないんだろう?」


「ええ、だけれど、あなたを崩壊させることなんて簡単よ」


「なら、試してみるか?」


「遊びに付き合ってくれれば、もう少し長生き出来たでしょうに……。〈崩壊之領域デストラクション・フィールド〉、そしてさようなら――〈崩壊之爆発デストラクション・エクスプロージョン〉」


 -能之貿心(スキルレート)-によって数百のスキルを犠牲にして〈無限再生〉を取得したのとほぼ同時に、崩壊之天使(パラドクス)は、この空間ごと僕を殺すために、その力を開放する。

 だが、不完全な崩壊の力は再生能力を無視できないのは、神殿に来る途中で把握していた。崩壊之天使(パラドクス)の崩壊攻撃を〈無限再生〉で耐えると、もう一つのスキルを使う。


「〈一撃必殺(ワンショットキル)〉」


 僕はそう言って、大抵の防御・スキルを無効化し、標的を一撃で無力化するスキル〈一撃必殺(ワンショットキル)〉を発動すると、崩壊之天使(パラドクス)の方に向き直る。そこに居たのは、原型を上半身しか留めていない肉塊だけだった。


「なぜ?どうしてなの……?」


 まだ意識だけが残っているのか小さく声が聞こえる。


「お前の崩壊を再生力で耐える。崩壊の力を根拠とした防御に絶対の自信があるお前なら、〈一撃必殺(ワンショットキル)〉も避けないと思ったよ」


「……あり得ない、わたしが負けるなんて」


「そう言わないでほしいな、僕もお前を完全に殺すことはできないからさ」


 僕はそう言って、崩壊之天使(パラドクス)の頭へと手を伸ばす。


「"〈愛牢制限(ラヴァール)〉"」


「……え?な……なにをしたの?」


「惚れさせた」


 "〈愛牢制限(ラヴァール)〉"によって彼女は僕に惚れてしまった……と思う。管理機構(システム)を破壊するスキルを得ていない現段階では、これが僕のできる限界だ。


「お前の主人はユリアにしておくから、少なくとも彼女は殺せなくなった。じゃあ、とりあえず僕たちはここから離れるけど、せいぜい天使に捕まらないようにね」


 そう言って僕はユリアと二人で神殿から去るのだった。

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