天世之自由世界
「ここが、試合を勝ち残った存在が来れる世界。天世之自由世界か」
私が、彼の私世界から出るのと同時に、彼はそう呟いた。
「そうみたいね……それにしても、すごいわね」
私は空を見上げながらそう言った。太陽も月もある。雨だって降るし晴れだって。空気が循環している証拠である風が心地よく肌を抜けていく。
――まるで元居た単一世界のようだ。
「ああ、すごい世界だ。無限という表現も適切ではないほどにね……。この草一本ですら、僕と同等の規模がある。これが無限の上、天世の世界」
「そうみたいね、この世界に存在する"原子"ですら、無限×無限の規模を優に超える天世の存在になっている。おそらくフェルト、あなた以上の存在も多くいるはずよ」
「へぇ、楽しみだね」
「それで、これからどうするのかしら?」
天世之自由世界、私たちはこれからこの自由の世界を旅することになる。そして、おそらく彼はこの世界で神になろうとするはずだ。つまり、この世界で出会った存在と戦うことになる。それも私達とは比べ物にならない存在達と。
「この世界は、天世の規模で動いている世界だ。見かけを単一世界にした、あくまで無限もしくは天世の規模を原子程度に凝縮して生み出された世界。この星以外にも多くの星が夜空に見えることを考えれば、単一世界と同じ法則と考えて6×10の23乗個の星。そのすべてに生命体が居るとは思えないから、さらに法則通り絞ったとして数億の星に数億の生命体。ここも試合と同じような目的で作られているなら、この世界で勝ち残った存在が神になれるはずだ、だけどこの世界には、あの試合の時のように"今"作られた気配はない。おそらくは、ずっと前から存在して、この世界で生命の営みが行われている。つまり、君も考えているように僕達を越えた存在が当たり前に居る世界で、神にならないといけない」
彼は天世之自由世界を改めて見渡しながらそう言った。
「僕自身、天世に至れているかは微妙なところだ。それにスキルもリセットされてる。通用するのは私世界内における全能くらい。おそらく天世未満の規模で得た能力は全て、ここでは使えない。またスキルを一から獲得する必要があるみたいだし、面倒なことに"寿命"のタイムリミット付きだ」
「それって」
「ああ、この天世之自由世界には、寿命"ルール"が課せられている。僕たちが私世界で概念を作り法則を作るのと同じようにね。おそらく、〈不老之存在〉のスキルをこの世界でも獲得しないと、話にならない」
「ということは、スキルポイントを集めるところから始めないといけないわね」
「そうなるね、ただそのためには生命を殺したりして何らかの方法で自分の私世界を強化しなければならない。スキルの容量もそれに付随するわけだし。つまり、僕らがまずやるべきことは」
「この世界の生命体を殺しながらスキルポイントを稼ぐ……そういうことね?」
「そのとおりだよ」
「なら早速始めましょう?この世界では、全てが有限よ」
私はそう答えた。この天世之世界に存在していられる時間はそれほど長くない。それはおそらく彼も同じだろう。
「そうだね、じゃあ行こうか」
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