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秘訣?

「容子、怪我人がいたら見てあげてくれないか」

「ん、わかった」

 良二に頼まれ容子が倒された兵士のケアにかかる。

「大丈夫ですか? すみませんねぇ、()()()()、加減が下手で」

 なにか背中にゾクッとくることを言われた気がした良二。

 その間に、ブレーダーが残りの部下を引き連れて歩み寄ってきた。

 午前の謁見時でもひときわ目立つ大きなガタイではあったが、目の前で対面すると本当に天を見上げるほどの大男である。

「吾輩は魔界国防軍を預かっておる覇王ブレーダーである。お初にお目にかかる、異世界の戦士よ。我が軍の歓迎の儀はいかがなものだったかな?」

 ああいうのを歓迎とか言っちゃうノリ……脳筋の臭いプンプン。

 良二は漫画や小説辺りでしか見たことが無いので、どちらかと言うと引いてしまうところであるが、

「エスエリア王国魔導戦闘団特別遊撃隊隊長セイイチ・クロダ少佐であります。先の質問につきましては、むしろこちらがお聞きしたいですなブレーダー閣下。我々は魔界軍の皆さんの胸を借りて訓練させて頂くに値するレベルであったかどうか? 是非とも」

とまあ、こちらもその辺は負けてはいない隊長を抱えちゃっているワケで……

「ふはははは、貴官は夜王殿から聞いた通りの仁のようだな、クロダ少佐。その答えは部下共の目を見て頂ければ分かるであろう」

 そう言われて良二も誠一と共に連中の顔を見直してみた。

 人間界よりバラエティに富んだ種族構成が見られるが、どいつもこいつも自分たち相手に再戦したくてウズウズしている、そんなガチ脳筋の目ばかりである。

 まあこちらも訓練・レベルアップが目的だから悪い事では無い。

 エスエリアの軍隊でもそう言う傾向はあったが、こちらの方が気合の入れ方が数段上という感じである。


 訓練は1対1の組み手から始められた。

 遊撃隊の先鋒はシーナ。相手はオーガ族であろうか? 一見、人族と変わらない風貌だが、赤色が強めの肌で額上の角と若干長い八重歯が鬼族の特徴だろうか。

 踏み込みと剣をふるうパワーはオーガ君の方が上回っていそうだが、俊敏性・先読みはシーナに分があるらしく、まずまず良い勝負になっている。

「最近思うんだけど、シーナってあれほど剣さばき上手かったっけかな?」

 組み手を見ながら良二が、シーナの動きに感心しながらメアに聞いた。

 二刀流で剣をふるうシーナの姿は狐族の特性も相まってか、まさに剣の舞と言っても良いくらいの動きは実に鮮やかで、艶やかにすら見える。それでいてオーガ君の斬り込みをかわし、流している姿も華麗という言葉が似合いそうだ。

「あいつもかなり訓練してたからねえ。あの(しな)やかさを活かしてクロさんが二刀流を勧めたんだけど、それがバッチシ決まったみたいで」

「最初は押しかけ女房でメイドに収まるだけの娘かと思っていたんだけどなぁ。化ければ化けるもんだね」

 狐だけに。

「それにしてもここ1~2カ月くらいの間の上達ぶりはすごいわよ。ナル村の時はまだ魔獣を倒すと言うより、追い払うって感じで剣振ってたもんねぇ。そうそう、シーナだけじゃなくメアもよ。まるであたしたちの魔素ブーストみたいに俊敏に動くじゃない?」

「光栄っす、美月さん。まあ、あたしも自分の動きが速くなって来たのは感じてるっすけど、格別何か訓練方法変えたってわけじゃないし……ここ2カ月の変化と言うと……あ?」

「ん? どうしたの? 何か思い当たる節でもあるの?」

「う~ん、いや、まさかねぇ?」

「なによ? 言って見なさいよ」

「いや、実は……」

 ちょっと戸惑うも、メアは美月の耳に近寄って、

ゴニョ、ゴニョ、ゴニョ

と。

「………関係あるのそれ?」

「確かシーナも同じ頃からだったはずだし、変わった事と言えばそれくらいしか……」

「何? なんか心当たりが?」

 良二が割り込んできた。だが美月はキッとキツい眼をして、

「良さん、ちょお~っと黙ってて。てか聞かないで!」

と、あからさまに牽制。

「なんだよ、キツい言い方するなぁ」

 唇を尖らす良二。そこに容子も入ってくる。

「なになに美月、なんて?」

「あのねぇ」

 ごにょ、ごにょ、ごにょん……

「………え~! 関係ないでしょ! いくら何でも!」

「おいおい気になるじゃ無いか、なんだよ?」

「聞かなくていい! てか良くんは耳塞いでて」

「ちょい! そういう言い方は……あ、もしか、し、て?」

 ここで良二の脳内は入国した辺りでの、誠一の薬が没収されて不満顔してた二人を連想した。そこで直感。

 なるほど、深く突っ込んじゃイカン話題だと。

「うん、わかった。黙る」

「よろしい」

「別に、リョウさんになら知られてもいいっすよ? あたしらとクロさんの仲は、みんな知ってるし」

「いや、でも!」

「リョウさん、耳をちょっと?」

 美月の時と同様に耳に寄せて来るメア。

 気心知れた身内はいいけれど、魔族連中には聞かれたくはないと? これはいよいよ……

「あたしらがクロさんとセックスするようになってからなんすよ、動きが変わったの」

 ああ、やっぱりそうなんだ。正に予想通りの……てか、直球かい! そこまでモロに言うかな! さすがに聞いたこちらが恥ずい思いだわ! 小声で言えばいいってもんじゃない!

 ……しかし、もしそれが関連あるのならどういう理屈だ? 自分はいまだに留年中でその辺りは分からないが、誠一がホーラやラーを夢中にさせた事とも関連があるのか?

 ぶっちゃけ誠一には掛け値なしで経験人数を聞いた事があるが、片手では足りないが両手だと随分余ると言っていたので答えは6人であろう。

 プロ込みの人数らしいからざっくり半分として、その程度の経験値ではとてもそんな手管を持っているとは思えない。

 これはやはり、地球人には魔素ブーストの様なエロ系チートスキルが!?

「良くん、妙~なこと考えて無いでしょうねぇ?」

 容子の目が怖いほど細くなっていく。それを見て良二くん、脳内に擡げてきたエロ思考をシャットアウト。場が場でもあり、余計な一言で藪蛇になってしまうのは予想するまでも無い。

 ところがそれに相反する様に、

「リョウジ!」 

メアに事情を聞いたカリンの目がらんらんとしてきた。

「これは聞き捨てならない情報だわ! もしホントなら私も大幅なレベルアップが可能になって、あなたたちと肩を並べられるようになるかもだわ!」

「いや、カリンは今でも十分強いし!」

「これはもう、私がリョウジの一番最初になるしか道は無いわね! とまあ、そう言う事だからヨウコ、御免遊ばせ!」

「なんで、そうなるかな!」

「ちょっと二人とも! 訓練中なんだし、今はその話やめよ! な、な!?」

 こんな場で痴話喧嘩などされてはかなわん! 良二くんは必死に鎮静化に努めた。

 ――もう~、俺の最初はライラと決めているのに~。言い出しづらくなっちゃうなぁ……

 ……しかし、いつ、そう決めたんだっけ? 決めたっていうのは間違いないんだが……

 ナルニカの時にもそう思ったが、どうにも思い出せない良二くんであった。


 などと外野でガヤガヤやってる内に、シーナとオーガ君の組手が終わった。結果はシーナが脇に一太刀喰らって負け、であった。

「参りました。最後の一太刀、身動き出来ませんでしたわ。完敗です」

「いやあ、ギリギリでしたよ。自分も切先を随分当てられましたから。実戦ならかなり体力を奪われてたはずですし、危うかったと思いますよ。また、お相手お願いしますね!」

 と、お互いエールを送り合う二人。うん、すがすがしい。

 次はダークエルフの青年とカリンが向き合った。カリンが、いつにも増してえらく気合が入っているように見えるのは良二の気のせいだろう、だろう……

 その組手を見ながら、双方の部下に話題を悟られぬ距離で並んで話し合う誠一とブレーダー。

 ブレーダーが胡座で座って、ようやく目線が合うってのは、誠一としても苦笑ものだった。

「二陣目で見せた貴官の剣の型は異質であるな? 相手が間合いに入るまで抜かないというのは異世界の剣技であるか?」

「居合いと申しまして、我が故国の武芸です。歴史も長いし、実用性その他にはいろいろ論議がなされてもいるようですが……刀身を見せないので相手は間合いを図りきれず、こちらは攻撃を流すのも初手を取るのにも良い結果を得てまして、アデスではそれでかなり命拾いしていると思っております」

「なるほど、間合いの一方的掌握とでも言うか……興味深いところであるな。一度、イアイ同士の手合わせも見てみたいものである」

 武人同士、武芸一般に関しては話の弾むこと。

 とは言うものの、誠一は刀剣より火器の方が知識が豊富なので、アデスでは宝の持ち腐れである。

 活かされたのは美月の装備する銃型の各種錫杖くらいだ。

 まあ、火器知識を使った、ちょっと派手な戦術は考えてはいるのだが。

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