プロローグ
あまり本は読んだことありませんし、作文自体、小学生の読書感想文以外書いたことありません。
文章を書くにあたってのルールも把握していないので、目を通して頂いた方を不快な気持ちにさせてしまうかもしれませんが、どうかご容赦下さい。
書きながら勉強していきたいと思っています。
「おい、段差気を付けろよ!姫様の戴冠式だぞ、せっかくの晴れ舞台でへたこいたりした日にゃ俺たちなんか即死刑だ!慎重に運べ!」
「ひぃっすみません!」
そんな声が聞こえてくる。
ーー紆余曲折あり、願いを叶えるために異世界召喚された訳ですが、いきなりピンチです。
焦るな、冷静になれ、俺。出来る男だぞ、俺は!
まず、真っ暗でなにも見えない。異世界召喚あるあるだからまだ分かる。
そして、自分が仰向けで寝ている。これも分かる。
周りがどうも騒がしい。慌ただしく、カチャカチャ動き回っている。トントントントンと、まな板を叩くような音が聞こえるあたり、きっと厨房なのだろう。
さっきから聞き耳を立て、聞こえてくる会話から察するに、今日はこの国の王女様の戴冠式らしい。めでたいことだ。
王女様は甘い物に目がなく、ケーキが大好きなのだと。可愛らしいことだ。
そして、国の中でも選りすぐりのパティシエ達が集まって特大ケーキを用意したそうだ。ぜひ味わってみたいものだ、どれ、一口失礼して。うん、美味い!背中の下で潰れているケーキを右手ですくいとり頬張ると、幸せな甘さに包まれたようだった。いや違う、実際に包まれている。と言うか、埋もれている。ケーキに。最悪だ!最甘で最悪だ!
現状を整理しよう。俺は異世界に召喚された、王女様のために作られた特大ケーキの皿の上に。ご丁寧に蓋がしてあって誰もケーキの異変に気づかない、気づいてくれない。
問題はそれだけではない。どうやら俺は服を着ていない。全裸だ。本当にシンプルに肉体だけ召喚されたらしい。さあ、どうしたものか、蓋を蹴り上げて逃げたい所だが全裸では逃げようもない。八方塞がりだ。
……どうしろって言うんだよ?!異世界で願いを叶えてくれるって言うから二つ返事でOKしたものの、もっとあるだろ!召喚する場所!適材適所!いきなり詰んでるじゃねえか!バカか!
それで、ほーらね、台車が動き出した。ゴロゴロと音を立てて運ばれていくケーキ(俺)を乗せた台車。時間がない。手詰まり。どうする?!どうすればいい?ああっ、もう本当。
……一つだけ思いついた方法が、ある。
扉が開き、歓声があがる。
姫様の前に到着したようだ。
「姫様、この度の御即位まことにおめでとうございます。ささやかですが私共からのプレゼントにございます。どうかお気に召して頂ければ嬉しいのですが……どうぞ蓋をお開け下さい」
「ありがとう、セバスチャン。幼い頃からあなたには世話を掛けました。いつも感謝しています。これからも私の側近として助力お願いしますね」
「もちろんでございます。微力ながら尽力させて頂く次第です。さあ、姫様どうぞケーキを」
「セバス、急かさないで。こういうのは開ける時が一番の楽しみなのよ。ドキドキするわ。それじゃあ、開けますね!」
ーー盛大な拍手とともにパンドラの蓋が開いていき、光が差し込む。聞こえてくる歓声が痛い。心にささる。これしかない。これしかなかったんだ、最悪の最悪を回避するには。これしかッ!
突如、静寂に包まれる会場、絶句して凍りつく煌びやかなドレス姿の姫様。隣で唖然とした表情で呆けている執事のような格好をした初老の男。みるみるうちに顔が青くなっていくコック帽の男はきっとシェフかパティシエだろう。俺は異世界にきてさっそくにフリーズの魔法を使ってしまったようだ、早々に魔法を習得してしまうなんて幸先が良いーーわけがない。
蓋をあけるとそこに現れたのは、それはそれは見事なケーキ……ではなく、股間に高々と生クリームの山を盛りそのてっぺんには苺をちょこんと乗せている全裸の変態(俺)だった。
姫様はケーキ(俺)に蓋をした。臭いものには蓋を、という言葉があるが文字通り醜いものに蓋をした。
何を思ったか、もう一度蓋を開ける姫様。
受け入れたくないのは分かりますが現実は変わりませんよ、姫様。
沈黙に耐えきれなくなり
「……お姫様!その、おめでとうございます★」
満面のスマイルで親指を立てお祝いしておく。
姫様が泡を吹いて倒れた。
ああ、イヴ様。話が違う。
明るく楽しい物語を書いていきたいです。