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異世界冒険部  作者: ノラえもん
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デザイナーベビー

超短いです。よろしくお願いします。

統一計画。


圧倒的なカリスマ性を備えた人物のもと、その名の通り、『アース』を統一する計画。


世界の代表となるべき存在を、人為的に作成する計画だ。



利権を求める『我が国』は、この計画に食いついた。

国の潤沢な支援のもと、この計画は進んだ。



実験体No.01 【勇者】


実験体No.02 【姫】



そして二人を導く存在として、



実験体No.03 【賢者】



遺伝子修飾技術を応用し、三つの受精卵の作成に成功する。



【勇者】は、『計画責任者』の妻に、


【姫】は不妊に悩む資産家の妻に宿された。


【賢者】は、胎児まで人工子宮で育てられ、『主任研究者』の家に託された。



計画を管理しやすいよう、プロジェクトチームおよび協力者は、研究都市内の一区画で生活することにした。




―――



三歳まで育った実験体たちは、ごく自然な流れで、幼馴染となる。


近所での冒険(保育園や公園での交流)を経て、絆を深めてゆく。



―――



六歳まで育った時に、別のプロジェクトチームから打診があった。



『【聖女】を加えてみないか?』と。



面白そうだと思い、実験体たちが遊ぶ公園に【聖女】を向かわせる。



【勇者】が女の子に気付き、幼馴染の輪に加えていた。




成功だ。




【聖女】の特性で、より盤石な計画となるだろう。




―――



九歳まで育つと、実験体たちの能力が発現しはじめた。


実験体同士の関係は概ね良好だ。




【勇者】は、その容姿と才能で小学校の中心的存在となっていた。


誰にでも優しく、困った人がいれば、手を差し伸べる。


喧嘩があれば上級生にも臆することなく仲裁に入り、イジメは絶対に許さない。



カリスマ性、素質は申し分無い。




だが、少々、




【賢者】に構いすぎではないか?


引き篭りがちとなった【賢者】の家に、毎日のように通っている。



……関係は良好なのだ。 良しとしよう。

定期メンテナンスにて、こちらに不都合な記憶領域を書き換える。




【姫】は、優れた両親や家庭教師の指導もあり、魅力的に育っている。


【勇者】との関係を進展させたいのだが、


【勇者】、【聖女】と一緒になって【賢者】を引っ張り出そうと躍起になっている。


今日も今日とて自室に引き籠り、PCと向かい合う【賢者】。


「ケ~ン~ト~く~ん、遊び~ましょ~」

『うるさーい!さかしい手を使いやがって!』


ノーリスクで相手のホームに上がり込む魔法の言葉。


「ケントー!公園いこー!」


ガチャガチャ!


「あれれ~?おばさ~ん!ドアが開かないよ~?」

「困った子ねぇ……ちょっと待ってね、夏姫なつきちゃん」


『外部アクセスを感知』

(げっ!?)


ものの数秒で、


『お使いのPCはロックされました』

ケントのPC画面に表示される文字。

ご丁寧にロック画面を俺たちの集合写真に変えてある。


『うおおおおおおい!かあさあああああああん!』

「母に勝とうなんざ百年早いのよ。作業中だった構文をちょっとだけ添削しておくから、みんなと遊んでらっしゃい」


これまで一度たりとも母のハッキングを防げたことがない。


渋々部屋から出てたところを、ナツキに腕を掴まれ公園へドナドナされるケント。


「おばさん!ケント借りますね!いってきま~す」

「いってらっしゃ~い、暗くなる前に帰るのよ~」



【お転婆姫】だった。




定期メンテナンスで調整が必要だ。


調整で記憶領域の書き換えを試したが、あまり性格は変わらなかった。


言動が『気持ち』穏やかになったので良しとしよう。







【聖女】は、皆から愛されている。



驚いた。



東雲博士の試作品は完璧だった。


表情や仕草の一つ一つで周囲の心を癒し、愛されている。


出資者からの評価は上々だと『彼』は話していた。


私たちも負けてはいられない。








【賢者】は、チームの計画を大きく超える成長をみせた。




神童とも呼べる頭脳で、物理、数学、プログラミングに高い適正を示した。


チームの『主任研究者』である父の権限で、国が保有する未公開の論文を【賢者】に提示すると、


一読するだけで、スポンジが水を吸い込むように、理解してしまった。



『アーリィ・ウィザード』



感動した。




同時に、恐ろしいことに気が付いた。





計画を悟られてはならない。





定期メンテナンスで調整に加えて暗示をかけることにした。





『興味を持つな』





成功だ。




神童は凡人となった。




【勇者】と【姫】が完成した時に、暗示を解除しよう。





―――





計画は順調に見えたが、イレギュラーな存在が介入してきた。



【賢者】リリィ博士と【帰還者】ローズウッド博士だ。



学校に新たな部活動を立ち上げ、実験体たちに接触している。



計画を知っているのか?



『我が国』や『マザー』からの連絡が無い。黙認せよとの意味か。





―――



「リ~ダァ~ぁ?ちょいと困ったことになりましたぜぇ?」

「この時間に連絡とは珍しいな。主任、どうした?」


「ウチの実験体がさぁ、明日、『ファクトリー』に行くってさぁ」

「ふむ……。内容は聞いているか?」


「さあ~ぁ?リリィ博士のとこじゃないとだけぇ」

「『マザー』には協力を要請しておく」

「後はヨォロ~ぉ、晩酌の時間だあ~ぁ」


そこで通信は途切れる。



手は打っておく。

いくつかフラグ回収。異世界では成長の様子を描きたい。

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