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異世界冒険部  作者: ノラえもん
21/25

休憩時間/intermission

雑で短いです。よろしくお願いします。


休憩時間。


「あいつらホント元気だなー、朝練もやっただろうに」


窓から中庭を見ると、キャッチボールをしている橘肇エース黒柳十三キング


授業が終わると同時に、



『キング~?行くで~』

『……ウス』



と、連れ立って教室を出て行った。


ナツキとアコ、愛田さんはあっちで女子トーク、

オレとハル、零士はこっちで男子トーク(?)をしていたところに、


「うひー、疲れたー」

「お帰り、ベニー」


馬場先生から職員室への呼び出しを食らっていた紅永次郎ベニーが戻ってくる。


隣の席にドカっと座り、そのまま突っ伏した。


「ねちねち煩いのなんの、ゆーかちゃん『また』婚活失敗でもしたんかね。イライラをおれっちに向けなくてもいーのに。あー、眠っ……」


馬場優香先生、年齢不詳。悪気は無いんだろうが、ベニーはよく先生を怒らせている。


「なーなー、ベニー?次はオレもパーティに連れてってくれよ、ハルも来るからさ!オレもお姉さまたちと遊びたいよ!」


机に突っ伏してるベニーに切実な願いを訴えると、


(あちこちから複数の冷たい視線を感じた気もしたが気にしないことにした)


突っ伏したまま、眠そうな顔をこちらに向け、


「いいけど、お前らいつも部活あるじゃん?」

「うっ、部活終わった後と、か……」

「ふーむ……?」


むくっと体を少しだけ起こし、顎に手を当て考える素振りを見せ、


ビシっと、


「勇春は言い寄られてストレス溜めるだけだろうし、賢冬は……悲しくなるだけだろうし(小声)、うん、やっぱお前ら来なくて正解じゃん」

「ぐはっ!?夢くらい見せろよ!!」

「ハハッ……」


バッサリ切られた。


お零れくらい……あってもいいじゃん……


「まぁまぁ、ところでベニー?『今回の』はどんな集まりだったの?」

「んー……、まぁいっか。といっても、どこまで話せばいいんだ?」


零士の質問に、言い淀むベニー。


「一緒に遊んでた女性たちと、どういう関係か、くらいは教えてくれてもいいんじゃない?」


零士の促しに、


「そかー、彼女たちは、時々遊びに行ってるゼミの先輩でさ。実験が一段落ついた!お疲れさま!パーティだったんね。結構なギャラあった、あっ、これオフレコでヨロっ!んでお世話になった『色んな関係者』も呼んでたんよ」

「マジかよベニー!?もうゼミに所属してんの!?って、そんなとこにはお邪魔できないな……」


驚いた。高校の生徒でも知識を求めて大学の研究室に入り浸る者も少なくない。

大学が同じ敷地内にあるため、趣味が高じてふらっと門戸を叩き、そのままゼミに所属する、という感じだ。

自発的な学びへの意欲は大いに推奨されており、こっちの授業を休んで、大学の講義を受けても単位に影響しないよう配慮されている。


しっかし、不真面目なベニーが、と意外だった。


「いんや?特定のゼミには所属してないよ。俺っち、色んなことに興味あってさ、あちこち摘まみ食いしてまわってるのよん。それで昨日は盛り上げ要員に呼ばれたってワケ」

「摘まみ食い……それって(ゴクリ」


女性をとっかえひっかえしてるベニーを想像した。


「ふふっ、こう見えて、ベニーは特定の女性とお付き合いしたことないし、ガードは固いんだよ。ボクたちと同じで新品だからネ?」

「リスクマネジメントは大事ですよねー、は・る・く・ん?」

「ハハッ、僕を巻き込まないでくれ……」


苦笑するハル。うん、俺たちみんな童〇で安心し……た……?


ふと、視線が零士の股のあたりに引き寄せられる。


こいつは、本当に童〇なのか、いや、処〇の可能性が未だに捨てきれん。


「ふぅん?そうだっ、ベニー、一緒にトイレいこ?」


悪戯っぽい表情、唇をペロっと舐め怪しい流し目を送る零士。


うん、エロい。


「うひょー、おれっち女子トイレには入れねーよん」

「ボクだってツイてるんだからね?」


もじっとする零士。うん、目覚めてしまいそう。


「へいへーい、んじゃちょっくら行ってきますわー」


連れだって教室を後にするベニーと零士。


あいつら、もしかしてそんな仲!?




「紅永くんのやんちゃ攻め!?川背くんの誘い受け!?」

「急に弱気になってしまう紅永くんを川背くんが強気に受け、いや、攻める可能性も!!」

「リバもアリってことですねっ!妄想がとまりませんわぁ!」


一部からキャーキャー声が聞こえた気がした。





―――






教室での(一部の)賑やかさとは打って変わり、静かな空き教室。



「それで、どんな実験を撒き餌にしたの?」

「限定環境下における、情報が与える思考パターンの変化、みたいなもんかな?わんさか寄ってきてホント笑いが止まらんかったなー」


入り口のドアから離れた席に腰かけ、向かい合う二人。


「へぇ、ベニーはそういうの、好きそうだね。具体的にはどんな内容?」

「ななみんの姉ちゃん通してターゲットのアイドルグループに協力してもらったんだけどね、ライブ会場のVR映像をネット上で配信するんだけど、そこでお金を払うと、楽曲のパート毎に一定時間お気に入りの子に近付いて映るようになる仕組みを作ってみたんだ」


「あ、もう嫌な予感がしてきた」

「それで、他の人が別の子にお金を投入すると、次はその子に一定時間カメラが寄るの。多少調整はあるけどね」


「視聴者同士で争わせるのね」

「匿名で大きなお金が動くと、色々と勘ぐられたりマズいから、複数の著名人に依頼して、名前を出してドカンっと投入してもらったり」

「なるほど、それで依頼料を回収するわけですね」

「そゆこと。こっちは経費として計上できて番組は盛り上がるし、著名人も目立ってオファーが増える」


交わされていたのは愛の言葉などではなく、悪巧みだった。


「ふーん?それで実験結果は?」

「匿名の時と、SNSと連携した時の変化が分かったよ」


「お金の動く桁が変わった、とか?」


「それもあるんだけど、人間性の表面化だね。こういうネット上で顔の見えない場では基本的にアンチが出現して盛り下げようとするんだけど、あ、『調整だろ?騙されんな』『運営乙』みたいなヤツ。普通はブロックで終わるんだけど、はっきりとヒトが見えて勢いがあれば、突っ走ってしまうんよね。

冷静であれば、相手しないと思えることでも、狂騒状態に持ち込むことができれば、人間性が引き出されてしまうわけさね。SNSでは暴言の応酬になり、逮捕者もわんさか出た。歴史に学ぶことは多いですなぁ。うんうん」


「予備軍の炙り出しまでしてたわけですか。で、本命はどうだったの?」

「大体の繋がりは分かったよん。確定の証拠はさっき優香ちゃんに渡してきたトコロ。そんな素振り感じられなかった人までもが繋がってて、データベースを調べたら既に載っていたと云う、ね。全く、怖いなー、お上の情報網は」

「お仕事お疲れ様、ベニー。馬場先生に言ってないこともあるんでしょ?あとは我らが女神様に頑張ってもらいましょう。『どうしても』の時には、ボクも手伝うよ」

「さんきゅー、そんな時は来ないのが一番なんだけどな。頼りにしてますゼ、女王さま?」



静かな空き教室、




人知れず悪い笑みを浮かべる二人がいた。




いつか修正。

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