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異世界冒険部  作者: ノラえもん
18/25

円形闘技場/Amphitheatrum

出来たところでぶん投げ。後から修正。

よろしくお願いします。

部長に連れられて王宮を出る。


外へ踏み出し、大きく伸びをしながら、

「んっ、んんーーーーっっ!これが異世界かーっ!」


と、折角俺が感慨深げに言ったものの、


「アースと何も変わりませんね」


キョロキョロと見渡し、眩しそうに空を見上げてナツキが一言。



青く突き抜けた空には一つの煌めく太陽。


白い雲。


そうなのだ。

太陽が二つあるとか、島が浮いているとか、空の色が違うとか、そんなことは無かった。



ちょっと期待していたのは内緒だ。



「これから行うのは、『セラス』を楽しむための訓練だ。アースとの感覚の違いに慣れておけ。お前たちはいつもVRのゲームで遊んでいるんだったな?認識力は鍛えられているはずだから、あとはそのアウトプットを全身に馴染ませろ」


VRMMO、キャラクター性能により、目まぐるしく状況が変化する高速戦闘。トッププレーヤーたちは全ての操作を反射に近いレベルまでに昇華させていた。





普段は競技大会の時にしか使われていない、円形闘技場を貸してもらった。


周囲より少しだけ高い石畳、直径百メートルほどだろうか、円形の闘技台に、みんなで集合する。


アースから来た俺たち、そして補佐に抜擢された皆さんを一目見ようと、王宮の様々な役職の人たちが、仕事や訓練を休止して観戦に訪れていた。


王様までちゃっかりいるし。


「なぁに、緊張せずとも、普段の部活動の様子をみせてやればいい。ローズの代わりは私が務める」


「まずは、基礎体力の確認からだ。その場で思い切り垂直跳びをしてみろ」

「うっす。んじゃ、」


深く腰を落とし、グッと大地を踏みしめる。


「ふっ!」


ぴょーーん


(は?)


いつもより高く跳んでおります。


すとんっ……


「なんじゃこりゃぁ……」

「レベルアップした効果、そして重力の差も多少はあるな」


VRMMOでは二メートル、三メートル、それこそ建物を跳び越えるジャンプも経験したことはある。しかし、だ。


いざ自分の脚で跳んで、約一・五メートル。この高さは、些か戸惑う。

横目で見てたけど、ナツキは二メートル近く跳んでたな……


どたばた飛んだり跳ねたり走ったり、『セラス』での感覚を確認してゆく。





「さて、各人の能力を見てもらおうか。怪我は私が治してやるから、存分に力を発揮せよ。まずはヘルヴォル、アレックス、前に出ろ」


「ハッ!」

「承知致しました」


どちらも右手に剣、左手に盾の組み合わせだが、


各関節にプロテクターを装着したライトメイルの、ヒーターシールドと美麗なサーベルを持つヘルヴォルさん。

対する、フルプレートアーマーの、タワーシールドと無骨なスクラマサクスを持つアレックスさん。


(あれで、動けるんだろうか……)


カツカツ……

ガシャンガシャン……


ある程度距離を取って対峙する二人。


スッと、軽く互いに礼をし、


「始めっ!」


ふっ……!


部長の合図と共に、体を沈み込ませるヘルヴォオル。


相手アレックスを睨み、


(≪前進フォルヴェルツ・Ⅴ≫!)


グンッ!!!


開幕から、トップスピードへと加速する。


(ふんっ!)


盾を前面に構え、


衝突の瞬間、歯を食いしばる。


「グっ!!!」


シールドチャージ。


ギャガシャッッッ!!!!


静かに立ち塞がるアレックス


盾と盾が衝突して響く金属音へ、裏打ちされた木材が爆ぜる音が雑ざる。


下段から大盾を弾き、体勢を崩そうと狙うが、アレックスの涼しげな視線は微動だにしない。


「グッ!」


(砕けたかっ!?だがっ、まだっ!!)


盾を持つ左手を放し、ヘルヴォルは更に体を沈め、


スルリと地を泳ぐように、

アレックスの大盾の死角から背後を取るべく回り込む。


その眼前へ。


ヒュっ


迫るグリーブの踵。


(≪上昇オーベン・Ⅴ≫!)


ギュンッ!!!


咄嗟に、跳ぶヘルヴォル。


うっぐぅうううう!!!


急激な軌道変更に脳を揺さぶられ、意識を手放しそうになるが、


ゾッ


視線プレッシャーを感じ、本能で、


(≪前進フォルヴェルツ・Ⅴ≫!)


グンッッッ!!!


ピリッ……


刹那、不可視の衝撃が、背後の空間を射抜いた。


緊急回避。


(フっ!ぅうう……っ≪後退ツルーク・Ⅲ≫!!≪上昇オーベン・Ⅰ≫)


制動を掛け、速度を緩和させる。


ズダンッ!


混濁する意識のなか、石畳の境界、闘技台の端ギリギリに着地した。


「ツぅっ!んっぐ」


吐き気を呑み込み、ふらつきながらも背後の気配を薙ぎ払おうと……。


カツンと、軽く肩口に載せられる、武骨な刀身。


「降参です」

「よく、躱しましたね」


(全てが、誘導されていた……これが【管理者リリィ】様の使徒、か……)


一瞬で決着したようだ。


「……今の何?えっと、開幕ダッシュ攻撃、ブロッキング、回り込みキャンセル回避からの空中ダッシュ?」


↓↘→→強P、↘、↑↑、→→


みたいなコマンドが脳裏に浮かぶ。


「ヘルヴォルさん、凄かったね……まるでアクション映画だ。ワイヤーワークばりに駆けて。だけど、だからこそ、アレックスさんの動きの違和感が際立って、何と云えば……そうか、重さがない……」


シールド・チャージ後の動きを予測していたのか、下段への右後ろ回し蹴りを軽く放った、いや、――置いていたアレックスさん。二人のやりとりも、離れていたため辛うじて視えた。


ヘルヴォルさんの顔面に、鋼鉄のグリーヴが突き刺さるかと思った瞬間、ジャンプで回避していて、そこから空中での加速である。


上方へ飛びあがったヘルヴォルさんを一瞥し、空中で離脱する彼女を、そのまま回れ右で追った、ことは理解できたのだが、


アレックスさんは、初手の重そうなぶつかり合いが幻だったかのように、


音も無く、ふわっと跳び、追撃した。


重力に縛られない。そう、自由だった。



だけど、それじゃヘルヴォルさんの戦い方はまるで、


(……操り人形マリオネット



「これが魔法を駆使した高速近接戦闘だ。力場ベクトルを発生させる魔法を状況に応じて使い分けている。火や氷などの現象を発生させるより、発動が簡単で燃費が良いのが特徴だな。ヘルヴォルが見せた咄嗟の回避、あれは魔法を体に刻み込んだ近接戦闘魔法師だからできた芸当だ。

次は現象を発生させる魔法を見せてやろう。ヴィルツ、トリア。頼んだぞ」


「了解です!」

「承知致しました」





「おい、アレックス」

「はい」


「お前、飛び道具を使ったな?」

「存分に力を発揮せよ、と命令されましたので」


「ふんっ!」

ベコンッ!


アレックスさんの金属鎧に、部長の力強い正拳が突き刺さっていた。


「八つ当たりですか、マスター?」

「分かっていても……、やらねばならんトキがあるんだ」




先にヴィルツが動いた。



「≪ファイア・バレット≫!」

「≪アイス・ニードル≫」


火弾を氷針が打ち抜き、


「これなら!≪フレイム・ウェイブ≫!」

「≪フロスト・カーテン≫」


熱波を寒波が包み込む。


(チィッ!)


全ての攻撃を、静かに、弾かれる。


トリアは、開始の合図から一歩も動いていない。





圧倒的なまでの実力差。


せめて一矢だけでも!


雁字搦めの、オレには、


自由な風の力は、使えないことも分かっていた。


だけど、願わずにはいられなかった。



……フゥ



(おっと?)



闘技場に、一陣の風が吹き抜けた。




風の聲が、聞こえた。




「(お願い!今だけでいい!力を貸してっ!)」



それは溜息に等しかったが、


オレの炎を燃え盛らせるには十分だった。


「咲けっ!≪ピラー・オブ・フレイム≫!」


ポッ……


 ポッ


  ポッ

ポッ ポッ ポッ

 ポッ ポッ ポッポッ



トリアの周囲に無数の火種が現れる。


ザッ!


ブァッ!


考えるよりも早く、腰の麻袋から火薬をぶちまけ、


「届けっ!≪ワールウィンド≫!」


ヒュゥゥゥッオオオ!!!


旋風つむじかぜを呼び、


「焼き尽くせっ!≪フレア・トルネード≫!!!」


ドッ!ドッ!

ゴウッ!!!!!


闘技場に、爆発と炎の渦が巻き起こる。


「おぉっ!すっげぇっ!連携術!」

「だけど、……恐ろしくもあるね」


ゾクッ。


(バステトの気配。そして、ヌトですか?あなたは本当に、)


『世界』に愛されているのですね。


トリアの、静かな表情に、愉悦の感情が生まれる。


フフッ。


知らず、口元に笑みが浮かぶ。


ならば私も、


焔の螺旋に飲み込まれるトリア。


「せめてっ!一矢だけでもっ!」


石畳を焼き焦がす炎熱。



螺旋の中心には、


「これでもっ、届かない……のか」


透明な氷のドームに守られた、無傷のトリアがいた。


「無駄、です」



パリンッ。


砕け散る氷壁。


「それでは、こちらからいきます。受け止めてみせなさい」


カッ…


一歩踏み出し、


ヒュゥウウッ……


闘技場に漂う冷気。


周囲の気温が、ガクンと下がる。


(あっ……)


石畳には霜が降り、大気は輝く。


「≪スノウ・ホワイト≫」


ヒュオォォォッ!!!!!


真っ白な世界。暴力的なまでの氷姫の抱擁。


ゴッ!!!!



(やめッ……)



視界がホワイトアウトし、全身の体温が奪われる。


末端の感覚は、既に失われた。


喉は凍り付き、


「ハっ……っ……」


声までも。





突然、白のヴェールで包まれた闘技場。


「どう、なってるんだ……?」

「あれは……止めないと」


「むむむ……」


隣で変顔をしていた部長に、


「部長っ!あれヤバいでしょ!?」


「新たに生まれた感情ココロを、止めるか、止めないか。考えているんだ」

「こんなやり方はダメでしょっ!」

「ふーむ。総ては、自由であるべきだ、と思っていたが。確かに、これはやり過ぎだ」


(……ケント?)

(……ん?)


「そこまでだ、バカモノが!」


闘技場を支配していた冷気が、一瞬で霧散する。


晴れた闘技場には、倒れたヴィルツを必死に温めようとする火猫が寄り添っていた。






「はっはっは!楽しいなあ?弟者よ!」

「おう!兄者!」


繰り広げられる乱打合戦。


近衛騎士団総長であるウンギさんの強さはなんとなく予想していたのだが、国務大臣であるアギさんの強さにはみんな驚いたようだ。


二人とも隙が無い。


(だが、この絵面よ……)


白と黒のむきむきマッチョメンが笑いながら殴り合っていた。


「……そろそろ終わらせろ!」

部長の合図で、


「弟者!」

「兄者!」


クロスカウンター!


ゴッ!

ゴッ!



ドサッ


二人ともスッキリした笑顔で倒れていた。


「こいつらにも、息抜きの時間を与えたかったわけだ。ふぅ……お前たち!アギとウンギに頼りすぎだ!二人が背負う重圧を考えたことはあるか!」


部長が声を張る。



「ローズの至宝なんて呼んでいるそうだが、二人とも同じ、ヒトなんだ!」


「疲れもするさ!二人を休ませる意味でも、少し、貸してもらうからな!」


(なるほど)


「ハル?」

「ん?なに?」

「いや、何でもない」



魔法の打ち合い、どんな感じなのかな。

思いついた時に加筆。

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