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異世界冒険部  作者: ノラえもん
17/25

願い/Wish

のんびり見て頂けたらと。

雑で短いです。

よろしくお願いします。

「ぜぇっ、ぜぇっ……ふぅっ……疲れた……」

「お疲れ、ケント」



俺が五十五周(約二十五キロメートル)走り終わるのを、みんなは待ってくれていた、


はずもなく、


みんなそれぞれ、白河部長と茨木先生、そして葛西さんに鍛えられていたようだ。



ヘトヘトである。


「……って葛西さん!?何でいるんですか!?」


アロハシャツにサンダル姿、ひらひらと手を振っている。


「ははっ、歳を取ると、色んなお仕事を兼務するようになるんですよ。実は私、ここの学士課程部で教鞭を揮っております」

「葛西さんは若いでしょうに、これからまだまだお仕事は増えますからね」

「ひゃー、怖い。ブラック上司ですか。ブラックローズ先生?」

「ふふっ、私ほどホワイトな人間はいませんよ。ねぇ、ブラックリリィ先生?」


「はぁ……お前らな……内輪ネタは通じんからな?」


ちんぷんかんぷんである。


「私だけ短くて、その、すみません……」

おずおずと、申し訳なさそうなアコに、


「ヒトには得手、不得手があるからな。白山にしかできないこともある」

「そうです。それを見つけて、伸ばすのは私たちのお仕事です!」

「は、はいっ、頑張りますっ!」


部長と先生が応えた。


ふんすっ!


ぐっ!と両手を握りしめて息巻くアコ。


(うーん、癒される)



「ふぅっ……、ハルは何してたの?」


クールダウンのストレッチをしながら、俺より三十分ほど早くゴールしていたハルに尋ねた。


「あぁ、葛西さんから、『各筋群の作用および配置から考察される効果的な重力下トレーニング』ってのを教わっていたよ。今まで自己流でやってたけど、目的によって変える必要があるんだってさ」

「へぇ、難しいことやってたんだね」


「ケントッ!凄いよ、このトレーニング方法!そんな難しくないから、後で一緒にやろうよっ!」

「やーめーてー!もうヘトヘトなんだって!」


おもちゃを与えられた子供のように、キラキラした目でケントを誘うハル。





「さてと、そろそろだな。お前たち、セラスへ向かうぞー?」

「そういや、学園の≪デウス≫ってどこにあるんですか?」

「ふふふっ、ついてからのお楽しみだ」


ニヤリ。


(いやーな予感がしてきた)






『学園長室』


ババーン!



やたら立派な、木製のドア。


コンッ、コンッ


『合言葉は?』

「愛」


『恩?』

「永劫」


『よし、入りなさい』


んんんんんんん????????


めちゃくちゃ馴染みのある声が、中から聞こえた。


(いや?まさかな)




ガチャッ!



現れるエプロン姿の女性。





「いらっしゃ~い」

「母さん!!!!!!!!!!!!何やってんの!!!!!!!!!!!」


「驚いた?ねぇねぇ?驚いた?お母さん頑張っちゃった!」

「そりゃ驚くわっ!!!!何やってんだよ!!!!!」


「掴みはおっけぇ?それじゃ、ゲート開けるわね~。ポチっとな」


急な展開に理解が追い付かないまま、



突然、



ガコンッ




床が抜けた。


ひぇっ!?

ひっ?


ドサドサドサドサッ


クッションの敷き詰められたカゴに落とされ、



「いってらっしゃ~い」



ガタンッ!



ゴトゴトゴト……



トロッコに乗せられて、地下へと運ばれる一同。





「何だったんですか、今の……」

「この一発ネタのために、協力者たちが頑張ったんだ、楽しんでくれたか?」


(母ちゃん、なにやってんだよ……)


「ネタ詰め込みすぎて、混乱してますよ……」

「ははっ。後で直しておこう」




検査着に着替え、茨木先生による注射を終え、≪デウス≫のベッドに寝転ぶ。


「しかし、ここからセラス行きですかぁ……ヘトヘト状態で迷惑かけませんかね?」


体圧分散機能のついたベッド。





疲れた体にその感触が、




心地良い。




このまま寝てしまいそうだ。



『フフフ、またきっと驚きますよ?それでは皆さん、ボン・ヴォヤージュ(良い旅を)!』




目を閉じる。



ふわっと、



消える感覚。




―――




……





体が形作られる感覚。




そっと目を開くと、




「うおっ!?体が軽っ!!!」


(疲労感が全回復してる……)


「ははっ、これは驚いたな……」


「気分はリフレッシュできたか?これで楽しくセラスで遊べるだろう。よしっ、いくぞっ!」





『召喚の間』のドアへと向かい、堂々と進む白河部長。




その力強い姿は美しかった。




その背中を追う、部員たち。




世界を変えうる銀弾。




(潰されるなよ)





リリィは願った。





ノックの回数に迷った。

少しでも面白おかしく作れたら、と思います。

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