虹の色/Spectrum
思い付きの雑談。
場面としては、飲み会に挿入しようかと。
よろしくお願いします。
「宇宙は、このように銀河の積層構造となっている」
「おぉっ!?綺麗ですね。虹みたいだ」
トリアさんが静かに差し出した、美しく彩られたグラス。
赤、緑、無色、青、オレンジ、黄緑が色鮮やかに積み重なっていった。
「プース・カフェと呼ばれるカクテルだ。それぞれの比重の違いを利用し、色分けしているんだ。互いに干渉しなければ、美しくも見える。だが、」
カチャッ。
部長はトリアさんから受け取ったマドラーをグラスに挿し、
カチャカチャカチャ……。
くるくると、かき混ぜる。
「破壊。私は、こういうのも好きだな。飲んでみろ」
口に含むと、
「んっ!?……むぅっ……ふぅっ。まずい!」
「ははっ、素直な感想だ。プースカフェは見た目を楽しむ酒だからな。味は二の次だ。
自然界でも色鮮やかなモノは毒を持つことが多い。
では、お前が例えた『虹』は、どうなんだろうな?」
「光の屈折ですよね?ん-?……あぁ、確かに、紫外線もあるかもしれませんね」
「プリズム。……ふむ、紫外線、か。様々な色が混ざった光を、分解することができる」
「そりゃ波長が違うんですから。分かれますよね?」
「それを使えば、お前が考える毒、紫外線もカットできる。
では《善悪の天秤》を用いて、波長の合わないヒトをカットする、取捨選択したらどうなると思う?」
「えっ……?」
「それをローズはやろうとしているんだ」
悪意に晒され続けたローズには選民思想が生まれた。
ヤツは疲れてしまった。
自分は何のために、生まれてきたのか。
セラスに来て、集合知である星の総意に触れた。
星の総意と協力し、セラスに知識を広めようとした。
【導師】ローズ。
だが半端に知ったことで、悪用するモノが現れた。
知識を持たないヒトを食う。
結果として、己を滅ぼすことになるとも知らず。
それはまさに、餓鬼の群れだった。
「黒野、これから先、どんなことがあっても優しさだけは忘れるな」
「んー?よく分かりませんが、少なくともオレに、悪いことはできそうも無いですね」
「ありがとう、愚痴に付き合ってくれて」
「はぁ、そもそも愚痴だったんですか?」
この子たちは、守らねばならない。
どっかで整理したい。




