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第8話

 駐車場に出ると、佐藤さんと阿部さんは自分の車にエンジンがかからないか試しているようだ。

 道路には放置された車が溢れているから、動いたとしても運転は難しいかもしれないが。


 俺は近くにいた阿部さんに声を掛けた。


「エンジン、点きそうですか?」


「いえ、無理そうです。

 本来、車は地磁気ぐらいでは壊れないはずなんですが…

 余程ポールシフトの際に発生した磁気が強かったのか、それとも別の要因があるのかもしれません」


 考え込む様子の阿部さん。

 もしかしたら機械類に強いのかもしれない。


「阿部さん、少しお話しが」


「真理亞で結構ですよ。

 息子もおりますので」


 阿部さんに話しかけようとしたところ、名前呼びを許容してきた。

 阿部という苗字は晴明くん含めて二人いるから仕方ない。


「えっと、では真理亞さん。

 話というのはステータスのことです」


「存じています。

 それがあった方が、この先生き残る可能性が高くなれるのでしょう?」


「はい。

 なので、もし戦闘になった場合、敵を攻撃できるような状況を作るので、可能でしたらお願いしたいんです」


 真理亞さんは少し悩む素ぶりを見せるものの、晴明くんの手を大事そうに握り、すぐに首肯した。


「分かりました。

 こちらからもお願い致します」


 話が付いたのと同時に、佐藤さんと吉良さんが駆け寄ってくる。


「ダメだ。

 エンジンがかからないようだ」


「こっちもです。

 仕方ないので、カートを押しながら歩いて行きましょう。

 俺のスキルで危険な場所は分かりますので」


「ええ、そうしましょう」


 真理亞さんが頷く。

 他の二人もそれで構わないようだ。



「では、佐藤さんのアパートを目指しましょうか」


 4人がそれぞれカートを押して進んでいく。

 カラカラと音が鳴るが、今の所危険目視スキルによる赤い色は見えない。


「そういえば、お二人は職業を取得したことでステータスに何か変化はありましたか?」


「戦士を選んだら、筋力と生命力という項目が2上がったかな。

 それ以外は1だけ上がったよ。


 あとは戦闘技術とかいくつかスキルが増えたよ。

 それと、魔法というものが一つ増えた」


「魔法、ですか?」


「うん。

 ええっと、アドレナルといって、精神力を5消費して発動するみたいだよ。

 五分の間、筋力上昇0.5・痛覚耐性0.5・呼吸安定0.5・忘我0.5を得るらしい」


 魔法。

 そんなものがあるのか。


「なるほど。

 戦いになったら使ってみてください」


「ああ、あと僕に敬語は使わなくても大丈夫だよ」


「…

 分かった」


 佐藤さんは敬語は要らないとのことなので、了承した。



「あ、私にも敬語は大丈夫ですよ」


 と、女子高生の吉良さんが言う。


「了解。

 吉良さんは何か変わった?」


「私は精神力と魔力が2増えて、残りは1ずつ増えました。

 あとは手品とか平常心とか収納技術とかみたいなスキルが増えています。

 …加えて、フォーカスとマジカルシルクハットという魔法が増えています」


 吉良さんは空中を注視するようにして答える。


「その魔法はどういう効果?」


「はい。

 フォーカスが、うーんと…

 精神力を3消費して、自分が直前まで触れていた物に相手の視線を集めることが出来るそうです。

 マジカルシルクハットは精神力を2消費して不思議なシルクハットを出現させるそうです。

 シルクハットの効果は使用者の魔力によって変わるそうです。」


 シルクハットは未知数だが、フォーカスは使い方次第でかなり使えそうな予感がする。


「なるほど。

 フォーカスは敵の注意を引きたい時に使おう。

 あ、この道は左の方が安全です」


 現在、佐藤さんの自宅を目指してカートを押しながら歩いている。

 前衛職の佐藤さんが道案内も兼ねて先頭を歩き、俺がその後ろ。

 背後に真理亞さんと吉良さんが一応後方を警戒しながら付いてくる陣形だ。



 結構歩いたが、スキルのおかげでモンスターと遭遇はしていない。


 真理亞さんの息子さんも頑張ってついて来ていたが、疲れた様子だったので途中から俺がおんぶして移動している。

 この状況でも泣かないとは、この子は我慢強い子だな。


 やがて目印であるコンビニのセブンレイブンが見えてきた。

 7羽のカラスがトレードマークの看板は、遠くからでも視認性が良い。


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