第4話
テレビのニュース内で少し動きがあったようだ。
ぼろぼろの格好の男性が、慌てた様子でアナウンサーへと一枚の紙を渡す。
『えー、ただ今最前線で戦う自衛隊員から緊急のメッセージが届いたようなので、読み上げます。
「まず、突然の事態に国民の皆様のことを守れなかったことをお詫び申し上げます。
しかし、我々が命を賭して得たとある情報をお伝えしたいと思い、このメッセージを思い付く限りの場所へ送信致します。
良く聞いてください。
怪物を一体でも倒したら[ステータス]と呟くと、不思議な力が得られ、生存の可能性が上がると思われます。
信じて頂けないかも知れませんが、どうかお試しください。
繰り返しますが、[ステータス]です。
それと、我々の駐屯地の多くは非常に強力な怪物としか言いようのない生物のようなものに破壊され、奪われました。
我々自衛隊が怪物を抑え込んでいますが、いつまで保つか分かりません。
なるべく自衛隊の駐屯地からは離れるようお願い致します。
ですが、現在の日本、いや世界に安全な場所は確認できていません。
なるべく頑丈な建物の中に避難をしてください。
最後に、本来国を守るべき我々が皆さんをお守りすることが出来ず、忸怩たる思いであります。
皆さんのご無事をお祈りしております」
以上です』
アナウンサーは動揺を隠し切れない様子で、そう伝えきった。
ステータス、か。
『私たちもこれで避難しますが、どうか皆様も避難して……生き延びて下さい。
では、失礼します』
放送が切れたのか、画面は黒くなってしまった。
これは……。
世界に安全な場所はない。
言い知れぬ絶望感が俺を襲う。
それより気になることを聞いた。
俺は身を隠す為に高級車の中に入ると、先ほどのニュースで聴いた単語を呟いた。
「『ステータス』」
途端、視界に文字の羅列が浮かび上がる。
Lv.1
名前:オノ ユウジ
職業:[選択してください]
生命力:10/10
精神力:8/8
筋力:10
魔力:1
敏捷:11
耐久:8(+5)
抗魔:3
◯スキル
順応性2.1 直感0.9 棒術0.4 短剣0.3 隠密0.3
◯固有スキル
危険目視
「なんだこれ…」
あまりに非現実的な光景に、思わず乾いた笑いがでる。
まるでこれはゲームのシステムウインドウのようじゃないか。
試しにスキルの順応性という項目を触るような動きをすると、新たな文字の羅列へと変化する。
順応性
熟練度2.1
環境の変化に柔軟に対応することができるスキル。
どうやら、触れると説明が出てくるようだ。
今のところ一番気になるのは職業の部分の、[選択してください]という箇所だろうか。
俺がそこに意識を向けていると、
現在取得可能な職業
・冒険者
・戦士
・隠者
・自由人
という表示が現れた。
本当にゲームみたいだ。
ステータスの操作は触れなくても意識を傾けるだけで操作できるらしい。
選択肢は4つ。
Web小説ではこういうのは最終的に暗殺者系が強かったり便利だったりするよな。
大抵冒険者は基本職の器用貧乏、戦士は前衛職、隠者は恐らく隠密特化の暗殺者系統かな?
自由人はよく分からんけどゲームの遊び人みたいなものか?将来化けるのかもしれないが、今選ぶのはリスクが高そうだ。
こういうのは早めに選んだ方が良さそうな気がするし、どうしようか。