表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/44

第3話

 

 アナウンサーが発した信じられないような内容に、俺は愕然とした。


『報道ヘリからの30分前の映像です。どうか、落ち着いてご覧ください』


 その発言の後、画面が切り替わる。


『こちらは映画の撮影でもCGでもありません!

 巨人です!アメリカの都市を巨人が歩いています!』


 高層ビルを超えるほどの大きさの巨人が闊歩する。

 その体はまるで金属が寄り集まったかのように硬そうな質感をしていた。

 時折頑丈そうなビルがその体にぶつかるも、まるで何も無いかのように悠々と真っ直ぐ進んでいる。


 崩落するビル。

 瓦礫の雨が降り注いだことで、カメラは地面を写す。

 そこでは、殺戮が行われていた。


 黒い鎧を身に付けた象より大きい何かが、電信柱のような長さの大剣を振り回し、逃げ惑う市民を肉塊へと変えていく。

 拳銃を所持していた市民や警官らしき人物が弾丸を放つも、黒い鎧は物ともせずに大剣を振るう。

 戦いではなく、虐殺だ。


 俺はただただ唖然とする。


 そこでカメラに異変が起こる。

 空を、無数の何かが飛んでいる。


 あれは──、


「ドラ……ゴン?」


 鯨よりも巨大な赤い竜が、音速を軽く超える速さで飛来する。

 赤い竜は報道ヘリをちらりと一瞥するとすぐに興味を失ったようで、突如真上へと軌道を変える曲芸飛行を披露する。

 が、その風圧の余波だけで報道ヘリはコントロールを失い、付近のビルの屋上へ不時着することとなった。


 それでもカメラを離さないプロ根性を見せるカメラマンが、竜を探して上を見上げて何かに気がつく。


『あれは……?』


 空に。


 遥か高き上空に、巨大な城が浮いている。


 そして、城から発生する黒い靄のようなものが急速に空を黒く染め上げていく。

 同時に、映像が途絶えた。



 映像が切り替わり、額から血を流したアナウンサーが話す。


『信じられないかもしれませんが、この黒い霧のようなものが北アメリカ大陸全土を覆ってしまい、内部とは一切連絡が取れなくてなってしまいました。


 アメリカ合衆国は崩壊した、と海外の残存するメディアも報じています』




 馬鹿な。

 なんだアレは。


 まさか、

 いや、まさか、

 出現するモンスターの強さはその地域の人間の強さに対応している…?


 日本は銃や刃物の規制が非常に厳しい。

 故に日頃からナイフを持ち歩いているなんて人間も少ないし、ましてや銃を持ち歩いている人間などより少ないだろう。

 言うなれば丸腰に近い。


 対してアメリカは、治安の問題でナイフや銃の個人が所有率が高く、場合によっては携帯している人もいるそうだ。

 更に、世界を敵に回しても戦えるだけの過剰な軍事力がある。

 まさか、あの巨人やドラゴンはそのレベルに合わせた強さ…か?


 だとしたら、日本でも自衛隊の駐屯地やハジキ(・・・)を揃えたヤクザの屋敷なんかには高レベルのモンスターが出現している可能性が…?


 基準が分からないが、強い人間がいるところには強いモンスターが現れていると考えた方が良いかもしれない。

 自衛隊の駐屯地を目指すのは辞めておこう。


 どうやら、これからの行動を見直す必要があるようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「自衛隊の駐屯地を目指すのは辞めておこう」 自衛隊の駐屯地が近くにあるんだ。駐屯地なんて見たこともないよ。でも、近くにあるのだったら、その近辺と言うことで強力な魔物が主人公の近くにも徘徊して…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ