幸せになってね
私は自分が見た夢があまりにもリアルだったので文章に書き起こしてみることにしました。
あなたがもし余命宣告をされたら一番に何を考えますか?
私は大好きな人のことを考えました。
私が心から好きだった人。
私が初めて好きになった人。
そして私の最初で最後の彼氏。
小六の夏。運動会の練習に日々追われてた。そんな時貧血になることが何度かあった。前から熱中症になりやすい体質だったからそんなに気にしてなんかいなかった。頑張りすぎてるだけだって。やる気が足りないんだって思って頑張ってた。そんな日が続いてしばらくした時学校で気分が悪くなって倒れてしまった。目が覚めたらお母さんが泣いていた。そのあとお医者さんから説明があった。そこからはもうドラマも世界だった。グレード1の脳腫瘍。切除をしたら治ると言われた。「治る」その言葉で頑張ろうって思えた。
中一の球技大会前日。大好きだったなな先輩の名前を忘れてしまった。競技かるた部で百人一首を覚えたのに忘れてしまった。記憶力はいい方だと思ってたのに。夜眠るのがすごく怖い。朝起きたら何もかも忘れてしまってたらって怖くて。とうとう中学から入ってきた友達の名前を忘れてしまった。授業にもついていけなくなった。怖くて怖くて自分だけではどうしようもなくなってお母さんに相談した。病院に行くことになった。何かが起こりそうで怖い。またあの時みたいな病気になってるんじゃないかって。検査が終わった。再発だった。グレード2の脳腫瘍。怖いな。どんどん今までできていたことが失われている気がする。このまま死んじゃうのかな。
中一の二月。おばあちゃんが亡くなった。大好きだったのに。みんなにも愛されていた人だった。どうして優しい人は死んじゃうのかな。どうして「生きたい」って思ってる人ほど生きられないのかな。おばあちゃんが死んじゃった実感がわかなくて生きているって信じてた。その頃から頭痛が続いてた。考えすぎだって言い聞かせてた。その時すぐ病院に言ってれば未来は変わったかもしれない。頭痛が始まってから二週間後おじいちゃんの住んでいる県に引っ越すことになった。おじいちゃんはショックでいろんなことを忘れてしまっている。一人暮らしは危険だからっていうことでおじいちゃんの家から十五分ほどのところの一軒家に引っ越した。引っ越しが終わってひと段落ついた時、またあの時の頭痛が頭を襲った。忙しすぎて痛みに気づかなかったのかもしれない。新しい病院を紹介してもらって行くことにした。そしたら8センチの腫瘍があってこのままでは取り除くことができないから放射線治療と抗がん剤治療で腫瘍を小さくしてから切除することに決まった。
中二の六月。新しい学校生活が始まり楽しく過ごしている。初めての好きな人ができた。席替えで斜め後ろになった彼は一目惚れだった。これが好きって気持ちなんだね。初めてわかった。脳の腫瘍は2センチの大きさまでになり切除できることになり先月手術をした。でも新しいガンができてた。グレード3。一年生きられるかだって。そんなことってある?好きな人もできたのに。初めての恋だったのに。あと一年って。何もできないじゃん。病気を宣告された時お母さんとお父さんの前では泣かなかったけど自分の部屋で一人で泣いた。息を殺しながら。
中二の九月。最近頭痛もなくずっと調子が良かった。治ったのかと思って病院に行ったらグレード4に悪化してた。いつ死んでもおかしくないって。悪性化しやすいみたい。まだ若いから。病気が告げられる前彼に告った。私にとって死ぬ前のビックイベントだと思う。告白の返事はお願いします。だった。多分いつ死んでもおかしくないってわかってたら告らなかった。だって彼のことが好きだから。クラスメイトが死ぬより彼女が死ぬっていうのはもっと辛いと思う。私のために悲しんで欲しくなかった。私の親友かりんちゃんとその彼氏のあきらくんには病気だってこと余命を宣告されたことを伝えた。でも彼にだけは知られたくなかった。だからかりんちゃんに私に何かあったら彼に渡してって一つの手紙を託した。内容こそかりんちゃんには言わなかったけど別れを告げる手紙だ。嫌いになるはずがない。好きだった。別れるなんてこと絶対したいって思ったけど彼のことを考えると普通のクラスメイトに戻った方がいいかなって思っての決断だった。あとから聞いた話彼には言ってないがクラスメイトにはお母さんが病気ってことを伝えていたらしい。彼に病気のことが知られないまま一週間が経ったある日学校で倒れてしまった。救急車で搬送されるってなった時彼が乗ってくれようとした。でもかりんちゃんに前から私が弱ってるところを見せたくないって言ってたから泣きながらも必死になって止めてくれた。彼に伝えたいことは「ごめんね」と「ありがとう」の二つだ。結局救急車には担任の先生とあきらくんが乗ってくれた。病院に搬送されて集中治療室に入った。先生は今日が山だろうって。意識が戻らないままかもしれないって言ってた。最期かもしれないっていうことから親戚が集まってくれた。また生徒代表としてかりんちゃんと彼がきてくれた。やっといつもの四人が集まった。二人がきてくれるのを待っていたかのように私は意識を取り戻した。呼吸器をつけていたのも外してもらえゆっくりだが話せるようにまで回復した。誰もが山は超えただろうと信じた。でもそう現実は甘くなかった。人間死ぬ間際になると急激に元気になったりするらしいが山は超えてはいないらしい。最期の時間は私の好きなように過ごせる。私が望んだのは四人で私の家に集まってテレビを見たり話したりと今までと同じような普通の生活を過ごすことだった。すっごい楽しい時間が過ごせて三人は帰ることになった。ちょうどポストを三人が曲がった時前から救急車のサイレンが近づいてきた。三人は嫌な予感がして私の家に戻ってきてくれた。そしたら嫌な予感は的中し私が横たわって救急車で運ばれる時だった。親戚の車に三人ものり病院に向かった。先生によるともう手の施しようがないため心臓が止まるまでしか生きられないことだった。私はたくさんの私を愛してくれてた人に見守られながら天国に旅立った。私が死んでから十分後三人にあるビデオメッセージが届いた。それは私が生前撮ったものだった。
かりんちゃんへ これを見てるってことは死んじゃったってことだよね。ドラマの世界のものだって思ってたのに実際やるときがくるなんてびっくりしてる。友達になってくれてありがとう。初めてあったあの日から私たちは気があってたよね。100均行ったりプリクラ撮りに行ったり喧嘩もしたけど、それも今となっては最高の思い出です。かりんちゃんにお願いしたいことは幸せになって欲しいっていうことです。私的にはあきらくんと結ばれて欲しいんだけどその願いが叶わなくても私は祈ってます。私のことを忘れちゃうかもだけど一年に一度いや同窓会の時とかでもいいから思い出してくれたら嬉しいな。かりんちゃんはいつまでも私の大切な友達です。
あきらくんへ 二人が付き合いはじめた時も言ったけどさかりんちゃん泣かせたらマジ幽霊になって怒るから!かりんちゃんはさあきらくんに好かれてないんじゃないかって心配になっちゃうときがあるからそういう時は思いを伝えてあげてね二人は最高のカップルになれると思う。相談乗ってくれてめちゃくちゃ感謝してました。末長くお幸せに!二人の結婚式行けなくて残念ですw
〇〇へ あなたは私にとって最初で最後の彼氏になりました。普通こういう台詞ってそのまま結婚する人が言ったりする言葉なのかもしれないけど使います。私は幸せでした。病気のことは悲しませたくなかったから言いたくなかったの。ごめんね。私はあなたと付き合えてよかったって思ってます。最初の頃は少し重くなったりして迷惑かけたけどそんなことがあったからこそ楽しく過ごせたんだと思う。せっかく付き合えたのにこのまま死んじゃうんだったらもっと前に告ればよかったって後悔しかないです。でもあなたに出会えて幸せだった。あなたと過ごせた日々は私の宝物です。最後に私からのお願いはあなたにしあわせになってもらうことです。今までありがとう。幸せになってね私は14歳と3ヶ月という物足りない生涯を終えた。たくさんの人に愛されながら過ごせた日々は私が最後に自慢することができるものだ。
病気の知識などが不十分なため現実と違うところがあるかもしれません。
この夢は実際ドラマのように五日間にわたって見ました。
あくまでも夢の話です。